「マッコウクジラの脳油を燃やしたときの白い光は、近代以前のどんな人工光よりも明るかった」

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巫俊(ふしゅん) @fushunia

弥生・古墳時代の人たちがマッコウクジラの脳油を使ってたか(使うことがあったか)問題ですが、文明史の本を読んでて「マッコウクジラの脳油を燃やしたときの白い光は、近代以前のどんな人工光よりも明るかった」と出てきたことが気になって、私の中で生まれた疑問でした。

2022-08-06 21:52:14
巫俊(ふしゅん) @fushunia

これほど「水中の火」神話を語る上で、ピッタリな「海からもたらされた火」は無いんですよね。しかも近世ヨーロッパの大規模な捕鯨と違って、信仰ベースの発想だから、「常世の国から漂着してくる火」の実物が存在することが神話の継承を強化する訳です。

2022-08-06 21:55:22
巫俊(ふしゅん) @fushunia

その鯨油を灯すのに使った土器?と私が思ってるのが、内側に煤(すす)が付着した痕跡がある「手焙(あぶ)り形土器」なんですけど、これは「弥生時代後期の後半から古墳時代初頭にかけてのごくわずかな時期にみられる特殊な土器」でした。短期間なのはマッコウクジラの脳油のストックが不足したからでは? pic.twitter.com/xstm3vBbkV

2022-08-06 22:25:36
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巫俊(ふしゅん) @fushunia

マッコウクジラの脳油は、獣脂のロウソクを燃やしたときの悪臭が全く無く、1頭のマッコウクジラの頭の中に1900リットルも詰まってるので、実際に漂着例があるように数頭の鯨が沿岸に漂着すれば、当分の祭祀に使う分は確保できたはずです。しかも中国正史に身体に光る穴がある倭国の鯨の記述があります

2022-08-06 22:48:34
巫俊(ふしゅん) @fushunia

マッコウクジラの脳油は「より完全に燃焼し、臭気が少なくて、クジラの脂肪よりはるかに貴重」で、「脳油で作られたろうそくはススが出なかったといわれて」るとありました。弥生・古墳時代の手焙(てあぶり)形土器は、その形状に反して「ススが付いてる土器が少なく」て考古学者を悩ませてきましたが、 twitter.com/fushunia/statu…

2022-08-08 00:08:11
巫俊(ふしゅん) @fushunia

1頭の成体のマッコウクジラからは1900リットルの脳油が摂れます。29度で液体から固形に変化するので加工しやすく、石油が発見されるまでヨーロッパ人の快適な生活を支えた人工光はマッコウクジラの脳油でしたが、現在は入手できないので、考古学では知られて無かったようです fakedisk.com/ja/article/202…

2022-08-08 00:16:03
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「脳油の成分は、70~95%が蝋エステル(エステルというのは、酸と水酸基を持つ化合物―アルコールなど―が結合してできた物質)、残りがトリグリセリド(3分子の酸と1分子のグリセリンが結合してできた油脂)」だとされ、合成された脳油(ミリスチン酸セチル、商品名スパームアセチ)なら販売されてました。

2022-08-08 00:18:47
巫俊(ふしゅん) @fushunia

弥生時代には既に捕鯨がされていて、古墳時代の例を含めると、捕鯨の場面を描いた絵画だとか、クジラの骨を加工した道具などが出土してます。マッコウクジラのような大きなクジラを仕留めるのは困難なようですが、弱って沿岸に漂着した個体から脳油を採取して、ストックした可能性があります。

2022-08-08 00:22:20
巫俊(ふしゅん) @fushunia

それに日本の古墳時代に当たる、中国の南北朝時代の歴史を記述した正史『梁書』の諸夷伝・倭の条には、「蛇皮堅不可斫,其上有孔,乍開乍閉,時或有光,射之中,蛇則死矣。」とあり、皮膚が硬くて削り取るのも困難な大型のクジラ(蛇と表記)の呼吸孔に矢を射ることで、仕留めていたと書かれてました。

2022-08-08 00:31:55