細胞の「清掃工場」が薬になる?
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今年4月から編集部に入った遠藤です。同僚の出村さんに続いて,編集部2人目の平成生まれです。アクアリウムと植物にハマっていて,自宅はジャングル状態です。
2022-08-06 14:17:31発売中の日経サイエンス9月号で,実用化間近な新しいジャンルの薬「タンパク質分解誘導薬」についてまとめました。実用化に最も近いのはがん治療です。何がそんなにすごいのか。ぜひ紹介させてください。 pic.twitter.com/hoI5OWHyY1
2022-08-06 14:18:06現在の薬の多くは,病気の原因となる異常なタンパク質に作用して,その機能を妨げます。でもその病原タンパク質自体は,細胞内に残っています。一方,タンパク質分解誘導薬は,不要になったタンパク質を分解する細胞内の「清掃工場」を使って,細胞内から病原タンパク質を一掃します。 pic.twitter.com/nlA3YR1Xzu
2022-08-06 14:21:15この清掃工場は非常に強力でどんなタンパク質でも除去できます。従来の戦略ではタンパク質全体の約3割しか標的にできませんが,タンパク質分解誘導薬はあらゆるタンパク質を狙えるようになります。これまで薬の標的にできなかった病因タンパク質を壊し,薬がない患者の治療に繋がると期待されています
2022-08-06 14:21:51開発は2000年代からスタートしました。現在では多くの製薬会社が臨床試験を進めており,抗がん剤については実用化が視野に入ってきた段階にあります。がんの他,アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患などにも応用が広がりつつあります。
2022-08-06 14:23:16ここ数年,科学の世界を離れていて久しぶりに戻ってきたのですが,その間に急速に進展しました。復帰したら必ず特集する!と決めていたテーマです。ぜひ手に取っていただけましたら幸いです。2022年9月号【特集:細胞の清掃工場を薬に】(遠藤智之) nikkei-science.com/202209_047.html
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