本当は重要な『耳をすませば』

ジブリ作品の中では比較的地味な印象のある『耳をすませば』についての呟きです。 (セルフまとめです)
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

宮崎駿脚本・絵コンテ、近藤喜文監督の『耳をすませば』を劇場で観た時は、つまらなくはなかったが、それほど心に残った訳でもない。むしろ、同時上映の短編『On Your Mark』にショックを受けた。 『耳をすませば』は「良い映画だが、私の人生には関係ない"正しい"人達の話だな」という印象だった。 pic.twitter.com/HcRIAhxjrJ

2022-08-27 00:41:11
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

その意味で『耳をすませば』に対する感想で最も共感したのは、押井守の「この映画に感情移入するような子供は、そもそもアニメなんて必要としていない」という言葉だ。 そう、これはいわゆる「アニメ」の持つ「現実逃避」や「いかがわしさ」と無縁の作品なんだよね。 正しい人生を歩む人のための映画。

2022-08-27 00:48:50
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『耳をすませば』に感情移入出来なかったのは、私が、宮崎駿のこの作品での問いかけに応えられず、挫折してしまった人間だからだ。 宮崎駿の「子供は夢が敗れ続けて行く悲劇的な存在だから語る価値がある。もう敗れきってしまった大人に、何も言う気はおこらないですよ。僕は」という言葉を思い出す。

2022-08-27 00:54:56
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『耳をすませば』は大ヒットしたアニメ大作であるにもかかわらず「マンガやアニメに、ただ逃避するな。正しい人生を恐れず一歩踏み出せ」と叱咤している、厳しい作品なのだ。 怠惰にフィクションに逃避し「まだ本気出してないだけだから」なんていう、私のような敗残者が共感できないのは当然だろう。 twitter.com/woody_honpo/st…

2022-08-27 01:29:35
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

子供の頃から勉強が大好きで「勉強の嫌いな子供の気持ちが分からない」ことがコンプレックスだった(東大出の)高畑勲は、『耳をすませば』について「勉強の苦手な人達は、観客として対象にしていない作品です」と語った。 これは、高畑勲の強烈な皮肉だったと思う。

2022-08-27 01:41:18
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

宮崎駿はインタビューで「勉強の嫌いな子供の気持ちが分からない高畑勲」のエピソードを(それが理解できる)自分との違いとして披露していた訳で、高畑勲としては「そう私を揶揄しておきながら『耳をすませば』ってなんだい?」と言いたかったのではないか?と、勝手に思っている。

2022-08-27 01:45:40
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

宮崎駿は「子供には、生まれた瞬間は無限の可能性がある筈なのに、成長するというのは、その可能性を切り捨てて行く過程なんです」と話していた。 だから、アニメでは、子供の信じる可能性に向き合いたいのだと。 実は、ニヒリスティックで冷徹な人生観の持ち主ではないのか。 twitter.com/woody_honpo/st…

2022-08-27 02:08:40
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

例えば『未来少年コナン』のコナンは「スーパーマン」と評されるが、宮崎駿は「コナンはスーパーマンじゃないんです。あの年頃(小学校高学年)の少年は、心の中では、世界とも戦えるし美女も救えるんです」と言い、そうした少年の希望(心象風景)の具現化としてコナンを描いたのだ、と話していた。

2022-08-27 02:16:17
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

それまで、現実に引き剥がされて行く子供たちの夢に寄り添っていた宮崎駿が、「いつまでも失われた夢を見ていないで、リアルな夢へ向かって一歩踏み出せ」と語りかけたのが『耳をすませば』ではないかと思う。 『耳をすませば』に「置いていかれる」ような感じを覚えるのは、そういうことなのだろう。

2022-08-27 02:57:13
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

子供の頃、聖蹟桜ヶ丘の丘の上に知り合いの家があり、時々遊びに行った。聖蹟桜ヶ丘の駅から、タクシーで丘をぐるぐると登って行くのである。 私は、その家に遊びに行くのが大好きだった。 私がその家に行ったのは70年代なのだが、『耳をすませば』の中の景色は、私が子供の頃に見た風景にそっくりだ。 twitter.com/JP_GHIBLI/stat…

2022-08-27 08:37:28
スタジオジブリ STUDIO GHIBLI @JP_GHIBLI

『耳をすませば』の監督・近藤喜文さんの「近藤喜文展」(巡回は2019年に終了)のページです。 ghibli.jp/event/kondo/ pic.twitter.com/6HAJwSlhPF

2022-08-26 23:06:25
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

アニメ版『耳をすませば』は、90年代という設定だと思うが、原作通りに70年代と考えた方が相応しい。 物語の発端となる図書カードも70年代のものだし、読書家の少女がファンタジー用語を知っていることを骨董屋の老人が感心する件も、まだゲームのない時代なら分かるが、90年代には普通の知識だから。

2022-08-27 09:04:54
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

宮崎駿はゲームが嫌いだから、「ドワーフは、もう普通の知識」というのが、分からなかったんだよね。 ジブリには、それを宮崎駿に指摘できるスタッフはいないんだな…とも思ったけれど。

2022-08-27 09:07:07
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『耳をすませば』の重要な点は現代(制作当時)の東京を舞台にしていることだ。宮崎駿は「今の東京は嫌い。都会を描きたくない」とずっと言っていたのに。 宮崎駿は、ソ連崩壊で自分はある種の転向をしていて、その思想的転換に向き合った作品が『耳をすませば』と『もののけ姫』なのだと語っていた。 pic.twitter.com/B78LrM3AW2

2022-08-27 09:20:14
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

宮崎駿は「『耳をすませば』と『もののけ姫』は同じ思想的バックボーンから生まれた」「『耳をすませば』を作らなければ『もののけ姫』には進めなかった」と語っていた。 それは何か?と言えば、それまで宮崎駿が否定して来た「都会」や、その都会を生む「消費生活を望む人間の業」の受容ではないか。

2022-08-27 09:42:35
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『魔女の宅急便』の頃の宮崎駿は、若い連中に作りたい作品は?と聞くと「この東京で、若者がもがきながら生きる意味を見出して行く」みたいなことを必ず言う。それは、今の自分を許してもらいたいだけでしょう?だから駄目なんですよ!と力説していたのに、そういう作品を、ついに自分から作ったのだ。

2022-08-27 10:07:38
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『耳をすませば』の音楽は野見祐二だが、久石譲の後のインタビューを読むと「自分は外された」と捉えてショックを受けていたことが分かる。 実際は、監督が宮崎駿ではないので、いつもと違う作曲家を起用したのだと思うが、『耳をすませば』は音楽が重要なモチーフだし、久石譲はやりたかっただろう。 twitter.com/kinro_ntv/stat…

2022-08-27 10:20:58
アンク@金曜ロードショー公式 @kinro_ntv

このシーンは、最初にプロの演奏家に曲を演奏してもらい、その様子をビデオに収録。その映像を見ながら作画担当者が絵を描いていく「プレスコ」という方法をとったそうです。この3分2秒のシーンを作るために費やした期間は半年間😳約3千枚という30分のアニメに匹敵する動画が描かれたそうです。 pic.twitter.com/x9H5z0MaQ4

2022-08-26 22:06:44
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

主人公の父親の声に評論家の立花隆を起用したのは宮崎駿だ。糸井重里も庵野秀明も、宮崎駿の提案だった。 立花隆は、糸井重里や庵野秀明が名優に思えるほど下手だったけれど。 しかし、だからこそ宮崎駿が、声優的な「作られた演技」に、かなりフラストレーションを感じていたのが分かる。 twitter.com/ghibli_world/s…

2022-08-27 10:30:18
ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 @ghibli_world

雫の父親役は、作家の立花隆さんが声優を担当しています。 起用を提案したのは宮崎駿監督。演技ではない喋りと、水戸のなまった言葉がほしかったと語っています。 #耳をすませば pic.twitter.com/4Jth8HSVNv

2022-08-26 21:35:28
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

ジブリが、次第に声優を使わなくなって行ったのは、鈴木敏夫による「有名人を使いたい」という商業的な要望もあるだろうが、一番の理由は、宮崎駿の、声優による「人工的な演技」をなるべく忌避したい、という欲求だろう。 それを、単に「下手だ」と切り捨てても、あまり意味はないと思うが。

2022-08-27 10:37:21
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

それに声優の演技は、70年代後半の「声優ブーム」の頃と比べても、むしろ、その人工性を強める方向に「進化」して行った。声優ファンは、その人工性をこそ愛しているように見える。 宮崎駿は『未来少年コナン』の頃から、声優の演技に不満を漏らしていたから、ジブリの声優離れは必然だったのだろう。

2022-08-27 10:56:07
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

宮崎駿は、ドラマ等の登場人物の恋の駆け引きみたいなものが苦手で「なぜ、もっと自分たちの気持ちをハッキリさせないんだ!」とイライラする、と話していたから「結婚しよう」と言わせたのだろう。 しかし宮崎駿も、実際には自爆した「杉村くん」だったと思う。大多数の少年は杉村くんだったから。 twitter.com/ghibli_world/s…

2022-08-27 12:47:40
ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 @ghibli_world

また、最近の若者は人との付き合い方が浅く、自分の気持ちを伝えられていない、と思っていた宮崎監督と近藤監督。若者にもっと自分の気持ちを言葉に出してもらいたい、という思いを込めて「結婚してくれ」に変更したそうです。宮崎監督は、このシーンについて「おじさんの逆襲だ」と言っていたのだとか pic.twitter.com/jqY1uvX2sV

2022-08-26 23:13:16
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『耳をすませば』の「結婚しよう」は批判されることが多いけれど、私はリアルだなぁと思った。私が知る中学生の恋愛は、あんな感じだった。 70年代頃は、中学生の恋愛はプラトニックで幼いので(高校生になると、ちょっとドロドロして来る)逆に、いきなり「結婚しよう」みたいに飛躍してしまうのだ。 pic.twitter.com/JQiUWO2cfn

2022-08-27 12:56:17
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

もちろん、私にそんな経験がある訳ではない。中学生で恋愛できる男子なんて、特権階級だったからね。 でも、そういう友人に夕方の公園で「相談」されたりするんだよ。 「オレはあの娘と、将来結婚するつもりで付き合ってるんだ」 「そうか、がんばれよ」 …とかね。 私は、杉村くんですらなかった。 twitter.com/ghibli_world/s…

2022-08-27 13:01:01
ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 @ghibli_world

杉村の告白シーンは、なぜか絵コンテだと聖司のような男前になっています。 絵コンテには、「いけ杉村!! いっちまえ!! おせっおせっ」と宮崎監督の応援コメントが書いてあります。 #耳をすませば pic.twitter.com/sP9wcI0mrd

2022-08-26 21:51:21
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

尾崎豊の『15の夜』に「恋の結末も分からないけど、あの娘と俺は将来さえ、ずっと夢に見てる」というフレーズがあるでしょう? あれですよ。 今の中学生は、違うのかな? twitter.com/woody_honpo/st…

2022-08-27 13:03:34
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『耳をすませば』の監督は宮崎駿ではない。宮崎駿や高畑勲の作品を支えた名アニメーター近藤喜文だ。 しかし、脚本・絵コンテは宮崎駿で、演出の領域にまで口を出している。普通の作品なら、宮崎駿が監督だろう。 しかし、なぜ近藤喜文なのか?それは「原画チェック」をしているのが近藤喜文だからだ。 pic.twitter.com/B01V2ic5Z6

2022-08-27 13:24:03
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

「原画チェック」が宮崎アニメの肝であることが認識されるべきだ。 宮崎駿は全ての原画を(作監の前に)自らチェックする。それは時に、チェックというより、殆ど描き下ろしに近くなる。 宮崎駿にとっては、この原画チェックこそアニメ制作の中心であり、原画チェックをしない演出などあり得ないのだ。

2022-08-27 13:35:28