うさぴょんの140文字小説

8月の中旬から八月末までにTwitterに発表した140文字小説です。
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うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

わたしは物書きだ。しかし最近はスランプで書けない。こうなったら文豪の霊を自分におろして代わりに書いてもらうしかない。早速、口よせ巫女を呼んで自分に霊を下ろしてもらった。しばらくして意識を取り戻すと、わたしはベットの中にいた。机の上には沢山の領収書、そしてまっさらのの原稿用紙。

2022-08-29 23:34:51
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

恋人が死んだ。毒入りジュースを飲んだことが原因だ。しかし妙だな。あのジュースはわたしが母に手渡しした物なのに、どうして彼女がそれをもっていたのだろうか。まあいい。今度も警察は毒を見つけられまい。どっちにしろ保険料は私の懐の中にはいる。

2022-08-27 05:18:02
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

藍色の水を讃える池の近くの河守神社は河童の手をご神体として祀っている。そんな神社から河童の手が消えた。方々を探してもまったく見つからない。それからというもの人が突然倒れて意識不明になる事件が多発した。被害者たちの共通点は一様に倒れる直前にお尻を気にする素振りを見せる事である。

2022-08-22 20:25:28
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

ネットで知り合った女の子と仲良くなった。実際に会う事に決まったが問題が一つある。私は所謂ネカマ、ネットでは女のふりをしている。そのことを彼女に言おうと思ったがタイミングを逃してしまった。 そして今日、赤いシャツを着て駅に来ている。向こうも赤いシャツを着ている筈だ。…。男だった。

2022-08-19 22:00:28
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

幽霊が夜道に立っていた。そこに一人の少女がやってきた。幽霊は少女の前に立ちはだかると「うらめしや~」と脅した。少女は驚くどころかニコニコしている。 「肝が座っているな。気に入った」 少女のお尻にはボンボンみたいな尻尾がついるいることに幽霊は気づいていない。

2022-08-16 22:34:27
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

ある日、空に巨大な飛行物体が現れた。フリスビーみたいなそれはどうやら宇宙から地球にやってきた宇宙船であると、各国の関係機関は結論つけた。 その7日後、突如、宇宙からのメッセージが各国政府にもたらされた。 「地球のみなさん、おっはー。宇宙からきた□○%△だよ。よろちくびー。」

2022-08-15 06:22:47
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

妹の手を引きながら、神社に向かう道を歩いている。妹はさっきから何も話さない。 その時、前から赤い着物の女の子が現れた。妹だ。 「遅いじゃない。もう。」 前にいるのは確かに妹だ。 今、私の手を握っているのも確かに妹である。 闇のなかで何かが笑う気配がした。

2022-08-14 17:37:15
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

「あたしたち、親友じゃない」彼女は目をつり上げて怒る。 「誕生日会に呼んでくれないなんて酷い」 「うん、ごめんね、それは本当にごめんなんだけど…」 そういって僕は言葉を飲み込んだ。言うべきかどうか。そもそも彼女、気づいてなかったりして。 「だって君、幽霊じゃない」

2022-08-13 06:16:43
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

「今日は満月です」 アナウンスを聞いた人々がベランダへ出てきた。真珠のような月が空に浮かんでいる。 人々は頬を寄せあって満足げな顔をしている。 幸福そのものといった光景だ。月も太陽も既になく、今はもう、どちらも宇宙ステーションの天井に投影されたものでしかないというのに。

2022-08-11 23:09:47