ドスケベうさぎメスケモとすけべする小説

ドスケベうさぎメスケモとすけべする小説だよ!それ以上でもそれ以下でもない!
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ヨコシマくん @QUIZcat

2022年9月、地球のアメリカにUFOが飛来した。 未知なる邂逅に地球中が湧き立った。兎から進化した獣人の様な姿をした宇宙人は「ラビノイド」と名乗り、地球人との友好を結ぶことに成功した。 発展した科学力と医療は地球に大きな恩恵をもたらし、例を上げるとHIVが根絶された。

2022-09-05 01:45:20
ヨコシマくん @QUIZcat

地球の言葉を覚え、人間社会に浸透したラビノイドは、またたく間に環境に適応した。 社会で仕事を持ち、地域にコミュニティを作り、人間の良き隣人として存在しようとしていた。 地球各地にラビノイドが移住するようになって数年後… 202x年、日本。

2022-09-05 01:45:20
ヨコシマくん @QUIZcat

学生の夏休み、というと遊び回ってて暇を連想されるかもしれないが、決してそんなことはない。勉学に励む時間がバイトに置き換わるだけだ。 金銭的余裕の無い大半の学生は労働に勤しみ、遊ぶ余裕なんてものは僅かしかない。3つのバイトを掛け持ちして学費を稼ぐなんてザラにいる。

2022-09-05 01:49:09
ヨコシマくん @QUIZcat

俺も例に漏れずバイトを掛け持ちしつつ貴重な夏休みと言う時間を削るように消費していた。 「お疲れ様でした〜お先失礼します」 「お疲れ様っす」 「はい、お疲れ様です。また明日」 夜21時、バイトが終わり僕は帰路につくことができた。夏の繁忙期の飲食店は目まぐるしい忙しさで、心身を酷使する。

2022-09-05 01:49:09
ヨコシマくん @QUIZcat

起きて、働いて、帰って、寝て、明日に備える。 それだけの繰り返しだ。特別なことはなにもない。 漠然と失われていく時間に焦りを感じないでもないが、そんなもんだと自分を無理に納得させて今日を無事に生き延びたことに感謝しなくてはいけない。

2022-09-05 01:49:10
ヨコシマくん @QUIZcat

「お疲れ、今日も忙しかったな」 「そうですね」 更衣室で先輩が話しかけてくる。悪い人ではないがなんとなく苦手な人だ。 「しっかしいっつもロングシフトで入って、遊んだりしないの?」 「特に遊ぶ友達もいないので」 「なんだよもったいねぇなあ、彼女とかいないの?」 「いないですね」

2022-09-05 01:50:52
ヨコシマくん @QUIZcat

「学生なんてさぁ、ヤリまくりの時期じゃん、夏なんて処女がバリバリ減る季節だぜ、俺も学生の時なんて飲み会の時とかさ、仲良くなった女口説いてさぁ…」 この先輩は、昔の女性関係の話をするのが好きで、よく僕に話してくるが、どうも僕はこの手の話題を好ましく思わない。

2022-09-05 01:51:24
ヨコシマくん @QUIZcat

女性に興味がないわけではないが、どうも僕は「陰キャ」とか言うタイプの人間で、女性とのご縁は今のところない。 自慢気に昔抱いた女の話などされても、笑顔で聞いて煽ててやろうなんて思う程、僕は世渡りが上手くない。 話半分で聞き、勝手に満足した先輩は帰っていった。僕も着替え終わり店を出た。

2022-09-05 01:52:24
ヨコシマくん @QUIZcat

また明日も仕事だ。 仕事、人間関係、乾いた日常。毎日毎日を嵐をやり過ごすように縮こまって生きているような、そんな生き方をしている。 その変え方も分からず、そんなもどかしさすら夜の帰宅ラッシュの雑踏に紛れて、僕の存在ごと消えてしまうような気がした。

2022-09-05 01:52:53
ヨコシマくん @QUIZcat

「やめてください!」 その声は夜の街にやたら響いて聞こえた。 声の出処を向くと、長い耳が揺れていた。 「離してください…」 「なんだよ、いいじゃねぇか、ラビノイドなんだろお前、スケベしようや」 ラビノイド。数年前に突然地球にやってきた来訪者。

2022-09-05 01:54:42
ヨコシマくん @QUIZcat

アメリカにやってきて、そこから数年の間に人間社会に溶け込んだ異星人は、今や地球の至る所で活動している。日本でも兎の耳がそこかしこに見られるようになった。 もっとも日本国内でラビノイドを受け入れるためにはまだ制度が整いきらず、距離感を模索しながら付き合い方を決めている最中だ。

2022-09-05 01:55:58
ヨコシマくん @QUIZcat

何故か来訪するラビノイドの多くは女性で、性風俗業に従事している者が多い。 兎は好色、という理由だけで説明できるものではなく、社会で受け容れる場所が足りてない為、彼女らがまともに働ける場所が少ないのも理由の一つらしい。社会問題としてネットニュースにも取り上げられていた気がする。

2022-09-05 01:56:59
ヨコシマくん @QUIZcat

実際、性風俗業界で多く見かけるラビノイド女性を「そういう目」で見る男は多く、ラビノイド女性に対する偏見から強引なわいせつ行為を行う男も後を絶たないらしい。 無論、人権は地球人のそれと同様のものが与えられているので、ラビノイドに手を出して訴えられて捕まるバカも多い。

2022-09-05 01:57:25
ヨコシマくん @QUIZcat

目の前の男もそのバカの一例だろう。酔っ払っているようなので理性が働いてるかは怪しい。 「毛深いけど穴は空いてんだろ?いいじゃねえか一発くらい、溜まってんだよ。こんなおっぱいの谷間見せつけるような服着やがってよお、うわっおっぱいでっか」 「やだっ! 痛い!」

2022-09-05 01:58:07
ヨコシマくん @QUIZcat

男の手がラビノイド女性の胸を乱暴に鷲掴みにする。 「なあ、あんた」 反射的に声が出ていた。 別に正義感が特段強いわけではないが、仕事終わりの疲れと聞きたくもない先輩の話を聞かされて苛立っていたこともあり、つい声を発してしまった。

2022-09-05 01:58:33
ヨコシマくん @QUIZcat

発してしまってから後悔した。 どう考えても厄介事だが、出したものは引き下げられまい。 「ラビノイドにセクハラして捕まるやつが多いんだが、あんたもその手合か? 今すぐ警察に通報してもいいんだが」 「何だお前〜正義の味方気取りか? あ?」 「正義の味方」 思わず鼻で笑ってしまった。

2022-09-05 01:59:01
ヨコシマくん @QUIZcat

「"正義の味方"ねぇ。強いて言うなら、"あんたの敵"だよ。あんたの会社、八菱商事だろ?」 男の顔色が変わる。 「有名商社じゃないか。ご丁寧に襟に社員証のバッヂつけて、女に乱暴するとはな。あんたの顔写真は既に撮ってあるから、会社に直接これを送ってクレーム入れたらあんたやばいんじゃない?」

2022-09-05 01:59:39
ヨコシマくん @QUIZcat

これはハッタリ。写真なんて撮ってない。 「そこのラビノイドがどうなろうが俺の知ったことじゃあないが、あんたがクビになるかどうかってのは興味があるな。……おや、結婚指輪も嵌めてるな? 奥さんへの言い訳も考えておいたほうが良いんじゃないか?」

2022-09-05 02:00:11
ヨコシマくん @QUIZcat

が、酔っ払いの酔いを冷めさせるには十分効果があったらしく、モゴモゴとなにか言いながら逃げてしまった。 千鳥足で人にぶつかりながら逃げていく背中は、小さく見えた。 「肝の小さいやつだ」 胸がすくような気持ちになった。たまには善行をするのも悪くない。

2022-09-05 02:00:41
ヨコシマくん @QUIZcat

俺は満足して、その場を立ち去ろうとして 「あのお! ありがとうございます!」 ラビノイド女性に手を掴まれた。 モフッとした感覚が手を包み込む。その五指はピンクがかった白い毛に包まれており、暖かく柔らかい。グッと顔も近づいてきた。いい匂いがする。 「あ……どうも、別にお礼とかいいんで」

2022-09-05 02:01:36
ヨコシマくん @QUIZcat

「そういうわけにいきませんっ! お礼させてください! あ、私、アイリーって言います! あと連絡先教えて下さい!」 「あー……」 アイリーと名乗るラビノイド女性は、手を離してくれない。キラキラした目でこちらを見てる。 「ほんといいんで、大丈夫です……」 「せめて! お名前だけでも!」

2022-09-05 02:02:10
ヨコシマくん @QUIZcat

「あ、ダイスケです……」 「ダイスケさん! LINE! 交換しましょう! ぜひ! 交換しましょう!」 その後数度押し問答が続き、根負けした僕がLINEを教えてようやく開放された。 「絶対お礼しますから〜! ありがとうございました〜!」

2022-09-05 02:02:51
ヨコシマくん @QUIZcat

遠くで大きく手を振る彼女に、小さく手を振り返して俺はそそくさと逃げ帰った。 周囲の目線をすごく引いていたので気恥ずかしかった。

2022-09-05 02:03:24
ヨコシマくん @QUIZcat

LINEは間もなく飛んできた。ハートマークのついたスタンプがポンポンと飛んできたので面食らった。 「ラビノイドって、みんなこんなテンションなのかな……」 自宅で誰に言うでもなくひとりごちて、あとは既読無視して寝た。今日はもう疲れた。

2022-09-05 02:03:46
ヨコシマくん @QUIZcat

朝起きると、LINEの通知が偉いことになっていた。どうもこのラビノイド、距離感がバグってるらしい。 最初は、お礼させて下さい、とか、いつ空いてますか、とかだったのだが おーい 寝た? ねえ 怒るよ! ごめん、怒ってないよ 返事してよお! と、泣き顔のスタンプが連打された所で読むのをやめた。

2022-09-05 02:05:45
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