高校物理はどうして息苦しいのか

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uroak_miku @Uroak_Miku

ボーア・モデルは高校物理で習う。こういうの。 pic.twitter.com/8LjrvPSN2i

2022-09-08 19:54:46
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uroak_miku @Uroak_Miku

中学化学(物理ではなく化学)ですでにこういうのを習っているので、ボーア・モデルを高校で習うと割とすんなり頭に入ってくれる。ところが、 pic.twitter.com/eI8xFRq7p2

2022-09-08 19:57:52
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uroak_miku @Uroak_Miku

電子が外殻から内側に「落下」すると光が跳び出す…というのも直観的には飲みこめるのですが、 pic.twitter.com/pacbxqJlbV

2022-09-08 20:00:00
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uroak_miku @Uroak_Miku

この輪っかの直径をめぐって、こんな式を覚えさせられるのです。  mvr = nh/2π 「電子の運動量(mv)かける電子軌道の半径(r) はプランク定数(h)の整数倍(n)を 2π で割ったものに等しい」

2022-09-08 20:03:14
uroak_miku @Uroak_Miku

ニールス・ボーアの論文を読んでも、どうやってこの式を導出したのかわからない。 pic.twitter.com/ruoVsjM2XO

2022-09-08 20:05:43
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uroak_miku @Uroak_Miku

プランク定数の考え方を応用したのは見ればすぐわかります。光つまり電磁波のエネルギーはある値の整数倍つまりデジタルに定まるという考え方です。ある定数 h を中核に、振動数 v (これは変数です)をかけたものがエネルギーの最小単位で、それをレンガ積みしていくとこの振動数の電磁波の

2022-09-08 20:24:10
uroak_miku @Uroak_Miku

エネルギーになるというのがプランクの考え方です。今、電磁「波」といいましたが、この考え方でいくと「粒」と解せるわけです。エネルギーの最小レンガ。

2022-09-08 20:25:31
uroak_miku @Uroak_Miku

ボーアはこれを元にこの式をひねり出したようです。  mvr = nh/2π n は整数倍を表し、h はプランク定数。ここにある v は振動数ではなく電子の公転速度のことです。筆記体の v で表記しないといけないのですがツイッターではうまく表示できないので便宜的に活字体 v で今は表示しています。

2022-09-08 20:29:13
uroak_miku @Uroak_Miku

論文には、電子が回転数 f の軌道に外部から入り込んでこの軌道で安定するまでのあいだに、振動数 v = f/2 の電磁波を放出するとしています。唐突なのですこの f 。そのうえどうして2で割るのかもわからない。

2022-09-08 20:36:34
uroak_miku @Uroak_Miku

どうやらプランクの  E = nhv と同じ形式になるよう工夫した末に、2で割れば実験データとだいたい合致すると考えて、その後クーロンの法則とニュートン運動方程式を等号でつないだ式に放り込んだら、

2022-09-08 20:39:58
uroak_miku @Uroak_Miku

先に紹介した(高校物理で習う)この式が出てきた。  mvr = nh/2π 繰り返しますがここにある v は本当は筆記体の v つまり速さです振動数ではなくて。うまく筆記体表示できないので便宜的にこの v を使っています。

2022-09-08 20:41:46
uroak_miku @Uroak_Miku

この式がどうして成り立つ、というか導出されるのか、すなわちボーアがどうやってこれをひねり出したのか、本当に説明できるひとは世界にひとりもいません。なぜって、本人が論文でそれを記していないからです。

2022-09-08 20:42:58
uroak_miku @Uroak_Miku

当時のボーアの計算メモ等から推測するに、とにかくプランクの説を原子の電子軌道モデルにあてはめれば、電子軌道が多重の輪っかのままけっして重なりあわない不思議さを、数式で説明できるだろうと考えて、あれこれ半ばあてずっぽうを繰り返しての結果だったと思われます。

2022-09-08 20:46:22
uroak_miku @Uroak_Miku

この閃きはノーベル賞ものの洞察でしたが、式の導出までの過程があてずっぽうの積み重ねです。厳密な導出はもっと後にシュレディンガー方程式が登場してからでした。

2022-09-08 20:48:16
uroak_miku @Uroak_Miku

やっかいなことに、この方程式もまたどうやって導出されたのか、シュの当時の論文を読むとはっきりしないのですよ。

2022-09-08 20:48:53
uroak_miku @Uroak_Miku

プランクの説→ボーアの説→ド・ブロイの説→シュの説 この連鎖における「→」が、彼等の当時の論文をよく読むとどれもいいかげんです。なお悪いことにプランク説もまた、論文を何度読んでもよくわからない箇所がいくつもあります。

2022-09-08 20:51:12
uroak_miku @Uroak_Miku

例えば、エントロピーをエネルギーで二階微分したものをレンガに使うとすべてがうまくいくという主張。プランクはどうやってこの二階微分を思いついたのかわからない。

2022-09-08 20:52:17
uroak_miku @Uroak_Miku

先日読んだある科学史家の著作によると、19世紀の物理学界では分子説とエネルギー説の二派があって、プランクは表向きは右の派でしたが左に接近していました。

2022-09-08 20:54:00
uroak_miku @Uroak_Miku

「目にも見えないし実験で確認もできない分子などというものを根拠にするのは科学者の態度ではない!」という姿勢を固持しつつも、何か分子にあたるレンガ的なものがないと観測データをうまく説明できないというジレンマに立たされた彼。

2022-09-08 20:55:37
uroak_miku @Uroak_Miku

そこでひねりだしたのが、エントロピーをエネルギーで二階微分したものをレンガにするというアイディアでした。エントロピーとエネルギーが切っても切れない関係であることは当時すでに科学者たちに受け入れられていました。

2022-09-08 20:57:00
uroak_miku @Uroak_Miku

この両者をかけたり割ったり微分したり、いろいろ試行錯誤を続けるうちに、二階微分で結びつけるとそれがレンガの役目を務めてくれて、観測データと合致する数式が現れる…そんな風に思索していったようです。

2022-09-08 20:58:31
uroak_miku @Uroak_Miku

確かに観測データをぴったり一致することが確認され、彼は名声を得ました。しかしながら彼の説が正しいとすると、エネルギーがどうしてとびとびの値になるのかを説明しないといけない。これがうまくいかなかった。

2022-09-08 21:00:27
uroak_miku @Uroak_Miku

「電磁波を生ずる物質のなかに、なにかばねのようなものがあるのだろう。ばねの伸び縮みは連続的だが伸び縮みの値は一定つまり不連続なものだから、これが電磁波エネルギーをとびとびにしていると思われる。とりあえず振動子と命名する」

2022-09-08 21:02:47
uroak_miku @Uroak_Miku

この推理は間違っていました。電磁波エネルギーはそれを発生させる物質の種類や性質に寄らずデジタルなものにしかなりえないのです。

2022-09-08 21:04:06
uroak_miku @Uroak_Miku

この新解釈はプランク説より5年後、26歳の無名学者アインシュタインによるものです。1905年。

2022-09-08 21:05:08