テンペスト・オブ・メイヘム #6

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆カラテの高まりを感じている……◆

2022-09-21 21:31:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【このアカウントは】 ・サイバーパンクニンジャアクション小説「ニンジャスレイヤー」の最新エピソードがこのアカウントで連載されている ・Twitter連載は1ツイート140字しかないので通し番号がついている ・数分置きに小説が飛んできたらそれは小説なので安心してほしい ・今日も始まります

2022-09-21 21:33:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【現在のニンジャスレイヤー】 ダークカラテエンパイアの邪悪なる神話ニンジャ達が代理戦士「狩人」を選定し、ネオサイタマに送り込んできた。 狩りの獲物となったニンジャスレイヤーは次々に狩人を返り討ちにし、爆発四散させた。 だがこの儀式そのものがネオサイタマに破滅をもたらしつつあった。

2022-09-21 21:35:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【前回】 ニンジャスレイヤーはカスミガセキ・ジグラット高層に狩人メイヘムをおびき寄せ、爆発四散させた。狩人メイヘムはアイアンコブラが送り込んだ最強のコブラカラテ戦士。この勝利は一体何を意味するのか。そしてスゴイタカイビルを己の玉座に作り変えたアヴァリスは……?大変だぜ!

2022-09-21 21:40:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ZAAAAP!イビルアイの光が上空を焼いたとき、そこにニンジャスレイヤーの姿はなかった。赤黒の死神がギロチンめいて叩きつけた回転踵落としは、黄金のコブラの首を凄まじく切断した!「サヨナラ!」メイヘムは、爆発四散した! 0

2022-09-21 21:43:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KA-DOOOM!メイヘムの爆発四散とニンジャスレイヤーの凄まじきカイシャク・カラテの余波を受け、カスミガセキ・ジグラットの構造物が無傷でいられる筈もなかった。爆発四散の瞬間、ニンジャスレイヤーの踵の下を蜘蛛の巣めいて亀裂が伝い、そして砕け散った。内部に崩落したのだ! 1

2022-09-21 21:46:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……!」ニンジャスレイヤーは闇の中へ落下しながら、遠くなる頭上の空に爆発四散のエネルギーが集まり、赤黒のオリガミが形成される様子を認めた。然り。これをこそ狙ったのだ。彼はフックロープを投げ上げて空の下へ復帰しようと身構え……そして、恐るべき苦痛に叫んだ。「グワーッ!」 2

2022-09-21 21:49:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

天変地異下、今や彼のニューロンはネオサイタマ各所にこれまで生み出してきたオリガミ・オブジェクトと超自然的な接続状態にあった。剥離する地表をオリガミが繋ぎ止める。そのフィードバックが彼のニューロンを乱す。そして今、メイヘムとの戦闘の果て、新たなオリガミが生じた。臨界を超えた。 3

2022-09-21 21:53:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『セプク・オブ・ハラキリを用いる時だ』ニューロンのノイズ砂嵐に、物憂げな眼差しと神秘的な声が混線した。観察者シナリイだ。『狩人アヴァリスはカツ・ワンソーの影であった。あの者がカリュドーンの儀式を恣にし、キンカクへの道を開かんとする今、新たなオリガミが生まれた今こそ好機』 4

2022-09-21 21:57:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの両目から今や赤黒の血が燃えながら溢れる。懐に激しい黄金の輝きを感じる。呪物S.O.H(セプク・オブ・ハラキリ)。『どのみち民草は助からぬ。彼らの魂をいたずらにキンカク・テンプルの餌食とするつもりか?アヴァリスの、カツ・ワンソーの好きにさせてはならぬ』5

2022-09-21 22:00:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「黙れ……」『街ひとつを贄に帝国を滅ぼすべし』「黙れ!」ニンジャスレイヤーは垂直落下する。空洞状のジグラット内部。彼の周囲、暗黒メガコーポヘッドオフィスの断面じみた残骸群や、居並ぶ数千体のオジゾウ等が、上空から漏れ込むキンカクの光にぼんやりと浮かび上がり、視界を上へ流れ去る。 6

2022-09-21 22:04:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

オリガミが生じた今、付近に身を潜めていたザナドゥは仕上げにかかるだろう。上に戻らねば。だがフックロープを投げ上げる事すら難儀だ……!「AAAARGH!」落下しながらニンジャスレイヤーは叫んだ。混線する視界はジグラット真上のオリガミに繋がり、そして……彼は仰向け状態で床に叩きつけられた。7

2022-09-21 22:08:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」頭を強く振り、己を強いて、ニンジャスレイヤーは起き上がった。どこまで落ちただろう。想像を絶する巨大複合建築物、カスミガセキ・ジグラットのはらわた……。吹き抜け状態の空間。上から届く金色の光は不穏な柱めいて、彼の眼前には、照らされる奇妙なテンプルがあった。 8

2022-09-21 22:11:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カスミガセキ・ジグラットはかつて、それ自体がひとつの閉鎖都市だった。政府機構、暗黒メガコーポ・ヘッドオフィス、サーバー設備、発電施設、役員たちの住居、ゼン庭園……そして無論、このようなブッダテンプルもあろう。 9

2022-09-21 22:14:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

政府崩壊後の10年、侵略メガコーポや盗掘人の手で、ジグラット内のUNIX資源はあらかた略奪し尽くされている。しかしこのブッダテンプルには、実際ブッダの罰を恐れてか、さほど盗掘の手が及んでいない。……とにかく地上へ、戻らねば。彼は呻いた。寝ブッダ像がアルカイックに見下ろしている……。 10

2022-09-21 22:17:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、マルノウチ・スゴイタカイビル地下。時同じくして、コトブキとマークスリー……リバティの二人は、正体不明の大空洞に至り、朽ちたトリイの先に、力あるオベリスクの存在を見出していた。「たしかにこれは」コトブキは目を見張った。「ネオサイタマにも、このようなものが……!」 12

2022-09-21 22:21:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

近づこうとするコトブキの腕を、リバティが掴んで制した。「待ってください。危険だ」「タッチしないでください!」コトブキは邪険に振り払った。「行きがかり上、行動を共にしているだけですよ?」「実際これは尋常のオブジェクトではない筈」「言われなくても用心しま……」光が降ってきた。 13

2022-09-21 22:25:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

身構える二人の前で、空洞の天井部を突き抜けてきた光は、オベリスクをめがけ降り注ぎ、凄まじい爆発を生ずる……と思いきや、奇妙なバランスを保ちながら、まるでLANケーブルめいて、光とオベリスクが繋がり、安定した。地下水の水面を幾度も波紋が走った。「これは」コトブキは眉根を寄せた。 14

2022-09-21 22:31:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「見てください。あれを」彼女はオベリスクの前に置かれた奇妙な品に気づき、指し示した。「……茶器」リバティは呟いた。然り。茶器である。茶器は降り注いだ光の波動と同期しているかのように、内なる光を明滅させながら、ガタガタと揺れていた。茶器の表面には「ヒラグモ」と書かれていた。 15

2022-09-21 22:35:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヒラグモ!?バカな……いや、ありうるのか?」リバティは高度な古典知識から洞察した。「マツナガ・ニンジャがオダ・ニンジャの宝物庫より盗み出したとされる茶器の名がヒラグモといいます。このような地に存在するからには、あながちこれは……」「茶器。なにかまずい予感がします」 16

2022-09-21 22:41:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コトブキは言った。警戒しながら近づき、屈み込んで、オベリスクと茶器を見比べた。「アトモスフィアが妙です。これ、最近ここに置かれた感じがします」「……確かに」「さてはセトのしわざ!わたし達がここに来たのは、まさに企みが実行されたタイミングだったのです!今すぐ破壊せねば!」17

2022-09-21 22:44:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コトブキは拳を振り上げた。リバティは慌てて、奥ゆかしく、控えめに遮ろうとした。「待ってください!短絡は……!」「しかし」「マツナガ・ニンジャはヒラグモにまつわって爆発したとされています。滅ぼされる危険がある!僕もセトの企みを阻止するという点においては、貴方と目的は同じです!」 18

2022-09-21 22:47:04