初代 IBM PC 5150 を動かす(1台目)

IBM が 1981 年に発売した IBM PC 5150 のジャンクマザーボードを入手して動作させる作業の記録。
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はじめに

日本で IBM PC というと 80286 と ISA バスを搭載した PC AT から、という印象が強いが、それ以前にも 8088 を搭載した The PC および XT の時代が存在した。

・1981年 IBM PC (model 5150, The PC)
・1983年 IBM PC XT (model 5160)
・1984年 IBM PC AT (model 5170)

これまでもその古い時代の PC に興味を持ち XT 互換機を作ったりしてきたが(参考: PC XT 互換機を自作する)、ついに本当の元祖 model 5150 をマザーボードだけとはいえ手に入れた。

今のところ起動させようとしているだけだが、AT 以降では見られない 8bit PC との合いの子のような仕様(オンボード 64KB、BASIC ROM、カセットインタフェース)が面白いので共有したい。
 

※2台目の 5150 についてのまとめを投稿したため、こちらのタイトル末尾に「(1台目)」を追加
初代 IBM PC 5150 を動かす(2台目)


マザーボード概要

earlgrey @konekodensetsu

現在の PC の始祖、IBM PC 5150 の M/B を入手したので、これからしばらく学習していきます。今日はさわりだけ。 pic.twitter.com/wBYmZwr9z8

2022-08-30 01:16:13
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earlgrey @konekodensetsu

背面にあるインタフェースは Keyboard(左)とカセット(右、黄色いパーツはカセット用リレー)だけ。なんで同じ 5 pin DIN にしたんだろう?間違って挿しても大丈夫なのか?ちなみにカセットの設定ジャンパがボードの前の方にあって Data OUT の出力レベルを MIC or AUX から選べる。 pic.twitter.com/vOJi0xqxJg

2022-08-30 01:34:11
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一応海外のサイトに「キーボードとカセットを逆に挿しても壊れない」とは書いてあったが気を付けたい。


earlgrey @konekodensetsu

あと初代だけの特徴として拡張スロット間の間隔が広い。ざっくり図って 25 mmくらいのなのでたぶん 1.0 インチ。XT/AT からは 20.32mm / 0.8 インチ。現在の 6スロットのスペースで 5スロットくらいの感じ。これがあるのでほとんどのケースは使えないよね。そのままかオープンケースでの使用を考える。 pic.twitter.com/dqrG31hgq3

2022-08-30 01:50:33
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この拡張スロット部分の差が The PC と XT の最も大きな違いだと思う(HDD 搭載等は後からでもなんとかなる)。5 本の拡張スロットでは全く足りなかったのだろう。XT では 8 本と大幅に強化され、同時にスペースの問題からスロット間の間隔を狭くする(1 インチから 0.8 インチ)という決定が行われた。恐らくそれほど深い考えで決めたわけではないこの数字が、その後約 40 年変更されていないのは面白い。


earlgrey @konekodensetsu

背面側ざっくり。CPU と FPU 用空きソケットがあってその奥に電源コネクタ(調べてないけど AT と同じだよね?)。その右、クリスタルとの間にあるのが CLOCK CHIP TRIMER でコンポジットモニタ使用時の色調整用。さらに右に HW 設定の DIP スイッチ。BIOS は本当に BIOS であって設定画面などないのだ pic.twitter.com/3YIbgKvrZ4

2022-08-30 03:02:36
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earlgrey @konekodensetsu

写真手前の CPU と拡張スロットの間にあるのが割り込みコントローラ 8259。AT 以降の 2 チップカスケード接続で IRQ15 まである状態に慣れてるけど、5150 は1個なので 0 から 7 まで。 pic.twitter.com/P2HAPlAQfX

2022-08-30 03:35:13
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earlgrey @konekodensetsu

次は本体前面側ざっくり。写真左側が ROM、右側が RAM。さらに右の前面端にはさっき説明したカセット設定ジャンパとスピーカー端子。RAM は 16K x 1bit DRAMが 9個でパリティ付き 16KB = 1BANK。0-3 の 4BANK あるので合計 64KB。各列は手前から Parity/ bit0/ bit1...bit6/ bit7 の順に並んでいる。 pic.twitter.com/FiIOkkPKdw

2022-08-30 04:08:38
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5150 には2種類のマザーボードがあり、このマザーボードは初期側でオンボードで RAM 64KB まで。後期型は 256KB まで搭載できる。


earlgrey @konekodensetsu

ROM は一番奥のチップが BIOS 8KB で手前の4つが BASIC 32KB。ROM BASIC は Disk BASIC と区別して Casette BASIC と呼ばれているらしい。初代 PC と XT、PS/2 下位の初期モデルに搭載。マニュアルの Memory Map、48KB と書いてある方は U28 の空きソケット分の計算が入ってるのかな?後で調べる。 pic.twitter.com/pxttKIdTh0

2022-08-30 04:22:30
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earlgrey @konekodensetsu

ROM のアドレス調べた。F4000(U28 空き)、F6000-FC000 (U29-U32 BASIC)、FE000 (U33 BIOS)。空きソケットの U28 以外は POST でチェックサムの確認が行われる。各 ROM チップは全データ加算の下位 8bit が 0x00 になるように調整されている。 pic.twitter.com/AiSjhuKfJ1

2022-08-31 02:05:48
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earlgrey @konekodensetsu

IBM PC 5150 の BIOS は3種類。BIOS の最後の方に日付が入っていてそれぞれ 04/24/81, 10/19/81, 10/27/82。このボードは最新版だった。このエリアは 8088 の Reset Vector の予約領域でこの行の左端に BIOS の開始アドレスにジャンプする命令が記録されている。 pic.twitter.com/vzBZ1m8Wks

2022-08-31 03:12:08
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BIOS の種類について後の方では OCT81, OCT82 という書き方で記載している。


起動準備 - 電源調査

earlgrey @konekodensetsu

5150 電源周り調査。少し前に「AT と同じだよね?」と書いたけど、調べたら少しだけ差分があった。5150 だと Pin2 は +5V ではなく Key という記載になっており電源側に接続するケーブルは存在しない。回路図でどこにも接続されていないので 「AT 電源を使っても大丈夫そう」という点に違いはない。 pic.twitter.com/DX7kZJotAd

2022-09-02 01:46:33
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earlgrey @konekodensetsu

オリジナルの電源出力は 63.5W で各 DC 出力は +5V 7A /+12V 2A /-5V 0.3A /-12V 0.25A。気になるのは M/B の電源周りにタンタルコンデンサが結構使われていること(ぱっと見で17個)。短絡して電源の保護回路が働いた事例の修理動画を見たので、電源を入れる前に短絡の確認はしておきたい。 pic.twitter.com/77Fl1UgiQB

2022-09-02 02:07:08
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今のところ 5150 でタンタルは爆発していないが、別の古い PC では何度も目の前で火花を見ているためできれば交換したい。海外サイトでも「通常は動いている PC の部品は変更しないが、5150のタンタルは…」と書かれていた。


earlgrey @konekodensetsu

そういえば今更な話題ではあるんだけど、AT 電源の M/B コネクタの切り欠きってどういう意味があるの?昔はなんとなく誤挿入防止と思ってたけど、そういう機能は無いよね?(M/B によっては切り欠きが無いものもある) pic.twitter.com/OA4IDMy7Zz

2022-09-02 02:34:10
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この疑問は今も解消していないので、もし知っている方がいたら教えてください。


earlgrey @konekodensetsu

IBM 5150 のタンタルを修理している動画。 (1) どの電圧が短絡しているのかを調査 →12V (2) 12V 接続のコンデンサにマーキング (3) 抵抗値の最も小さいタンタルの足を切断→ 短絡解消 という手順で調査している。 -- Fixing a PC that won't turn on (Bonus magic smoke!) youtu.be/FItTR0wBywE

2022-09-02 11:58:02
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earlgrey @konekodensetsu

自分の 5150 の電源コネクタを計測したけど大丈夫そう。一番抵抗が小さい 5V-GND で 207Ωくらい。短絡故障の事例では通常 5V より抵抗値が大きいはずの 12V-GND が 0.25Ω になっていた。

2022-09-02 16:32:28

起動準備 - キーボード変換器

earlgrey @konekodensetsu

電源の確認をしたし、起動するか…と思ってたら新事実。IBM 5150 に AT キーボードは使えない。コンバータ AT2XTKB を作らなくては。PIC の FW のリンクが壊れてたけど、なんとか入手できた。 -- IBM 5150/5160 - AT2XTKB Keyboard Converter minuszerodegrees.net/at2xtkb/AT2XTK… pic.twitter.com/11LFI7uBwf

2022-09-05 02:14:30
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