ドスケベうさぎメスケモとすけべする小説 最終回
「ラビノイドはやはり侵略者!即刻退去するべき!」 「ラビノイドに侵略された難民が語る!ラビノイドの真実」 「政治の腐敗!ラビノイドの魔の手は既に政界にも!」 ネット上にはラビノイドの侵略に関する話題で溢れかえっている。
2022-09-25 22:37:13リンがちょっとした有名人であり、多くの人間がその存在を知ることになっていた為に話題はすぐに広がった。 国は、曖昧な態度を取り続けている。
2022-09-25 22:37:48テレビメディアに取材を受けるも『真実を調査中である』『実際に確かめるすべがない』『侵略行為を受けているという事実はない』と言葉を濁すばかりで、具体的にラビノイドの敵になるとも味方になるとも言わない政治家ばかりだ。
2022-09-25 22:38:10また、再び一人の政治家がラビノイドとのスキャンダルをすっぱ抜かれて大炎上している最中でもある。ラビノイド複数人を集めてホテルで乱痴気騒ぎをしていたそうだ。ラビノイドの性接待は妄想でなく事実であるという何よりの証左になってしまった。
2022-09-25 22:38:22世間のラビノイドに対する風当たりは過去一番強くなった。ラビットハウスだけでなく、ラビノイドが働く店に嫌がらせをされる事件すら起き始めている。 反ラビノイド団体の運動は苛烈を極めており、テロに近い襲撃が起きたこともある。
2022-09-25 22:39:13『政府が腐敗して役に立たないなら、我々で地球を守るしかない』 『気付いて。ラビノイドは魔物。自分の頭で考えられる人だけが気づいている』 『多くの人に目覚めてほしい。地球は今危機に貧している。一丸となって戦うべき』
2022-09-25 22:39:30『ちゃんと調べて。周りに流されるな。ラビノイドによって難民になった者が確かにいる』 『公式発表は大嘘。政府はラビノイドから大金と売春婦を受け取っている』 『ラビノイドに味方するやつは売国奴。地球の恥だから死ぬべき』 彼女らの主張は暴力となってそのままラビノイドに降りかかる。
2022-09-25 22:39:47ラビノイドに侵略されたというリンの来歴は真実である。実際に、多くのフェリンはラビノイドの奴隷として扱われている。リンはその生き証人だ。
2022-09-25 22:40:12メイド喫茶ラビットハウス内でも、ちょっとした問題になり、ある日以降、リンは店内で来歴を聞かれたら『お花畑からきました』と誤魔化すように指導された。リンはとても悔しそうにしていた。
2022-09-25 22:40:36リンは自称真実を報道するメディアを名乗る者から接触を試みられているらしいが、このやり方が非常に迷惑なもので、ところ構わずリンをつけ回し、挙げ句の果てには自宅まで突き止めてドアを叩いてきた。警察を呼んで対処してもらったが、リンはまだ怯えている。
2022-09-25 22:40:48その気になればすべてをそのメディア報道者にぶちまけて、ラビノイドを追い出す行為に加担したっていいのだ。母星を侵略されたリンにはその資格がある。しかし、実際に地球に来ているラビノイドは侵略するつもりなんて毛頭ない、善良で優しい人たちである事をリンは分かっているのだ。
2022-09-25 22:41:03口止めされて悔しくは思っているが、同時に自分の軽率な発言で事態が悪くなってしまった事を申し訳なく思ってもいる。リンの立場は非常に微妙なものになった。
2022-09-25 22:41:20わかっている。仮に悪意がなかったとしても、地球人と恋愛をしてラビノイドが生まれ続ければラビノイド人口は鼠算式に増えていき、地球人は減り続け、勝手に侵略は完了するのだ。それが数十年後だか百年後だかわからないが、確実な未来だ。
2022-09-25 22:42:00我々、ラビノイド親善委員会も大学内で活動自粛を言い渡された。ラビノイドに味方する者が被害を受ける可能性は十二分にある。 しばらく大人しくするべきであるのだが、オタクくん達にその気はないらしい。
2022-09-25 22:42:14「地球に来ているラビノイドが心根の優しい者達であることは我々が一番よくわかっておりますぞ! ここはむしろ共存目指して一丸となって戦うべき! 年末のコミケは絶対参加しますぞ〜!」 お前コミケに行きたいだけなんちゃう?
2022-09-25 22:42:31部員のラビノイド達に話を聞いてみても「アタシ達は地球人大好きだから、仲良くなりたいよ」「怖いけど、だからといって星に帰るのはちょっと違うよね」と言ってくれている。一番辛いであろう当事者なのに、彼女らの顔色は明るい。
2022-09-25 22:42:53話を聞けば、メイド喫茶ラビットハウスもコミケに参加し、メイドさん写真集を出すらしい。地球にいるラビノイドは強いな。 アイリーも、最近は風俗の仕事を休んでいる。やはり風当たりは冷たいらしい。ラビノイドの立場が弱くなってるのは確かだが、それにつけ込み暴力や罵声を浴びせる人もいる。
2022-09-25 22:43:13自分よりさらに弱い立場のものに当たらなければ気が済まない人間はいる。ラビノイドは皆、その標的になった。風俗に来てまでそんなことをやらなければ気がすまないのか。 だからってラビノイドへの暴力が許されるわけではない。俺が腹を立てていると、アイリーは悲しそうに笑って抱きしめてくれた。
2022-09-25 22:43:37おもわずアイリーに漏らしてしまった。 「俺は……どうしたらいいかわからないんだ」 アイリーの事を愛しているし、リンの話を聞いて痛ましくも思っている。 「だけど、俺にできることなんてそもそも無い」
2022-09-25 22:43:59仮にラビノイドが悪意を持って地球に来ていても、アイリーと別れて星に追い返せと言われたら、俺は地球人と戦うかもしれない。 「地球人全員より、アイリーの存在のほうが重い。俺にとっては」 「嬉しいけど、無理しないでね」
2022-09-25 22:44:27「もういっそ愚かな人類など駆逐して、ラビノイドに支配されたほうが幸せなんじゃないかとすら思えてくるよ」 「それは言いすぎだよ〜」 そりゃぁ、フェリンも救えるなら救いたい。ラビノイドに「フェリンを解放しろ」なんて言えるならそうする。
2022-09-25 22:44:44でも、実際にフェリンが侵略されたのは俺達が生まれるより数十年前の話だ。今地球に来ている若いラビノイドはそもそもそれを知らない。アイリーも知らなかった。 むしろ、話を聞いて「酷い。フェリンが可愛そう」と口にするラビノイドが大多数だ。
2022-09-25 22:45:00となると、ラビノイドの長、マザーの意向次第だ。彼女の心を動かすことができるだろうか。 どうやって。 考えれば考えるほど無力感を感じる。 「まぁ、俺はヒーローじゃないから仕方ない。ただの冴えない一般市民で大学生だ」 地球のことは国の偉い人にまかせよう。
2022-09-25 22:45:26「今のアイリーと一緒にいられる時間を精一杯大事にしていたほうがマシだ」 「そうだね、でも、ダイスケなら意外となんとかしてくれるんじゃないかって思ってる」 「ええ?」 「私を助けてくれた時みたいに、なんかすごいことしてくれるんじゃないかなって思ってるよ」 「無理だよ」
2022-09-25 22:45:43