【アニメてにをは。魔女の宅急便~その13】
- animeteniwoha
- 1575
- 0
- 0
- 0
【301】ここから『てにをは』を再開するのは正直きびしい。心理の綾がものをいう、ウルスラとのシーン。 しかしウルスラの凸凹した野暮ったいシルエットは『耳をすませば』のキャラに通じるものがあるように思うのです。まあ宿題ですね、この件は。 pic.twitter.com/zHbg7i0PP1
2022-09-21 01:07:44【302】ウルスラの家に行くことになったキキ。お留守番のジジが恋人のもとへ。 ここ【屋根が中間】になって【手前・中間・奥】の3層構造になっていますね。ジジが奥にいて、恋人が手前側にいます。空間処理がいちいち巧みですね。 pic.twitter.com/mE6l9XMACk
2022-09-21 01:10:39【303】バス乗り場に向かうふたり。 カット頭とカット尻を比べてみると、『横イチ』(横一直線)な構図ではなくて、左へカメラがパンすると(つけパンと言います)、若干【奥方向へ】とふたりが向かっているのがわかりますね。カット頭では横の姿だったのに、カット尻では背中を見せてますものね。 pic.twitter.com/0LRH8HbTjZ
2022-09-21 01:15:22【304】これ、バスが発着するということは、本筋にはあまり登場していない『街の中心部』をいま、ふたりは歩いている。 人物や車、バイクのセルの造形がみどころ。特に右端の奥のテーブルにのった、灰皿だけがセルになっていて、宮崎さんのこだわり【なにをセルにするか・しないか】が感じられます pic.twitter.com/usu76t6Zry
2022-09-21 01:19:06【305】つけパンなので人物の歩きが2コマになっていて『リミテッドが・やわらかく変化』しています。歩く軌道もゆるく楕円を描いている。ウルスラが大股で歩くのでキキが急ぐように歩を進めている。 つけパンなので特殊作業が必要ですし、以上いろいろ力量を問われるカットのように思えます。 pic.twitter.com/WqDnA2COVK
2022-09-21 01:24:13【306】バス発着場。 画像をすみずみまで見て欲しいのですが、モブ(群衆)の描き込みが半端じゃないです。 さっきのカフェの客たちといい、そういう多彩な人物の描き込みが得手なアニメーターが担当していますね。 バスがセル画で並んでいるとホッとする。バスも背景だったら精彩を欠きますね。 pic.twitter.com/pw9PIXVUDd
2022-09-21 01:32:18【307】で、新たなバスが左手から画面に進入した瞬間、3層構造=【手前~入って来たバス/中間~道を横切るキキ/奥~ウルスラと停まっているバス】と、『3層構造がいままでにない、新しい形で出現する』様が提示されました。 新しいバリエーションだったので、ぼくも一瞬分析に困惑しました。 pic.twitter.com/lE98x7A7Lq
2022-09-21 01:37:05【308】バスの車内。ここもモブ(群衆)が丁寧に描き分けられていますね。 宮崎さんは絵コンテを描きながら『ここは誰々にやらせよう』とか考えていたのでしょうかね? そして画面がほぼ『全セル』ですね。舗道と壁の煉瓦以外すべてセル。 女の子以外の人物すべて止め絵。作画的な見切りがすごい。 pic.twitter.com/9I3wdhXj9n
2022-09-21 01:41:38【309】ここもすごいカット。バスが発進して、背景が動く。 動作主体(バス)の視点から視ているので、動作主体が動くと、動き出すのが周囲であるかのように見える錯覚。 ただこの観点は実写でも言えること。 アニメ固有の魅力は何か? pic.twitter.com/B5o0pDDt9s
2022-09-21 01:48:47【310】ここはちゃんと分析しているか、自信がありません。 でもひとつ言えることは、普通のアニメの画面は、【背景=固定/セル(人物)=固定された背景の前で動く】のが通例ですが、この画面では逆転している面白さがあります。 『背景画がぐらっと揺れる』こと自体が面白いのだと思います。 pic.twitter.com/BGIRzOWmvs
2022-09-21 01:49:39【311】バスは橋を渡ります。ひろく河が広がり、背後の島状の土地が展開します。 手前に橋の縁が『背景動画』(背景を動画・セル画として処理する)ですね。繰り返し表現です。 橋が動画としてレイアウトされているだけでセルアニメとして安心感がありますね。 pic.twitter.com/sL1bdOqgpp
2022-09-21 18:25:50【312】この画面の見どころは3か所。 まずキキの、少し憂いを帯びた表情の造形。 それから背後を動いては去っていく『街灯』が『背景動画』として処理。黒のトレース線が目立たないよう処理されているので、背景にうまく溶け込んでいます。 最後はここも3層構造です。自分で考えてみましょうか。 pic.twitter.com/NkigtuHAte
2022-09-21 18:29:31【313】憂いを帯びて放心してしまうキキに対して、ポジティブな面へ・現実へと引き込んでくれるウルスラ。キキの表情の変化がいいですね。 こういう『現実救済』がドラマとしては安易なのですが、虚構と割り切って接するべきでしょうね。この安易さを現実に求めると『ジブリ病』はつらくなる。 pic.twitter.com/t0uidh4B9F
2022-09-21 18:33:55【314】ウルスラが差し出す球形のガムがつかみ切れず、手からこぼれそうになるキキ。 球形な造形って、なぜ心ひかれるものがあるのでしょう? pic.twitter.com/MPhkp3C6rJ
2022-09-21 18:39:06【315】橋を渡る、バスやトラックたち。 もちろん橋げたにかかって隠れてるバスやトラックのパーツは描かれていません。 『組線(くみせん)』と言われる『背景と動画が干渉し合わないための、作業上の輪郭線』に沿って、トラックやバスは存在が『切れて・存在してません』。 pic.twitter.com/pmlmeeixAu
2022-09-21 18:43:56このカットは『組(くみ)』ではなく、『ブック」を使っているというご指摘が、CGディレクターとして活躍する片塰満則さん(@ktmax4)からありました。 【詳細は元のツイートへのリプライを見てください。】 いい機会ですので、『組線(くみせん)』と『ブック』の処理の違いを説明します。 twitter.com/animeteniwoha/…
2022-09-28 19:47:28まず『組線(くみせん)』のポイントをご説明します。 セル画と背景画は、接する部分で切れていて、干渉しあいません。 干渉しあう部分だけ気をつかって、背景画を別に描く手間を避けられます。 twitter.com/animeteniwoha/… pic.twitter.com/n334rD994h
2022-09-28 19:48:37一方『ブック』のポイントは次のとおりです。 セル画の上に、背景画の一部(ブック)が重ねられます。 ブックの下には、セル画が余計な部分をが隠れています。 干渉し合う部分に気をつかわなくてもいい手法です。 twitter.com/animeteniwoha/… pic.twitter.com/AEl0zwE4BA
2022-09-28 19:49:39片塰さんのアドバイスには続きがあります。 『ラピュタ』の1シーンの貴重な例。 煙の輪郭は色トレスを使いながら、『組線(クミ線)』の部分だけマシン線=黒のトレス線を使っているという特殊な例です。 せっかく教えてくださったのに、見ているひとが少なそうだったので、リツイートします。 twitter.com/ktmax4/status/…
2022-09-28 20:08:36@animeteniwoha 石曽根さんの過去の投稿画像から、組線の実例を示しました。 元画像: pbs.twimg.com/media/FaAMfVOa… この『ラピュタ』の画像に描かれている煙は、あえて手間のかかる黒色ではない”色トレス”で描かれています。しかし路面とのクミ線だけはマシン線になっています。 pic.twitter.com/TjzgENOJof
2022-09-22 03:45:14【316】バスの線路である幹線道路を下りて、丘をあがっていくキキとウルスラ。 ここは『運動の複数性』ですね。 『斜め奥』方向へと・立体的に遠ざかっていくバスの背中と、『直角方向』へと斜面をのぼっていくふたり。 運動のレイアウトが、いちいち素晴らしいですよね。 pic.twitter.com/ax857rHmZW
2022-09-21 18:48:08【317】リュックを背負って斜面をのぼるウルスラを、背後から押してやるキキ。 運動の重みを感じさせる『作用と反作用の視せ方』ですね。 押すキキの力感だけでなく、押されて背を反らすウルスラの造形も細かい。 単に重そうだから押しているのでなく、『愛情表現』として行っているニュアンスも。 pic.twitter.com/aolnUuMlqz
2022-09-21 18:52:34【318】斜面をのぼって台地へ出たふたり。解放感のあるショット。 ここも3層構造。『奥~背景/中間~見えないのぼり坂から現れるふたり/手前~台地』。 『魔女』はこういう『斜面を利用した3層構造』が後半に多く登場しますね。 pic.twitter.com/1QtcfkBv55
2022-09-21 18:55:48【319】丘の台地に出て、吹き抜ける風を感じるキキ。髪やリボン、ワンピースがひるがえります。 当たり前のことですが、アニメって『徹底的に人工的な表現』なんですよね。 そのアニメがあえて『自然』を志向するって、意外と不思議な現象ですよね。 トトロとか、フレデリック・バックとか。 pic.twitter.com/DmJSN8XEYh
2022-09-21 19:00:23【320】ウルスラのヒッチハイクと同じ動作を表現するキキ。 ここは『違う存在が/同じ動作をする』=『同じもの/違うもの』表現のバリエーション。 ふたつの画像の間には、別カットが挟まっているので、いわゆる『同ポジ』(別カットで同じ背景を使う)なんですね(続) pic.twitter.com/CXLb5Nc1Uq
2022-09-21 19:05:11【320~2】同ポジって、『同じ背景を使うから・省力表現である』と言われることが多いのですが、そうでしょうか? この場合、同ポジを使うことで、キキのヒッチハイク動作をする/しないの『違い=コントラスト』の演出が効いているのです。 そういう同ポジ効果も忘れてはいけないですね。 pic.twitter.com/xcIeix1JQj
2022-09-21 19:11:53