メタ・ジャンル論、あるいは文芸をジャンルで語ることの不毛さについて

娯楽作品を語る際に多用される「ジャンル」という語について、考察している過程をまとめています。
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「ジャンル」という語の広義/狭義の区別

mkszk @m_k_szk

「メタ・ジャンル論、あるいは文芸をジャンルで語ることの不毛さについて」という調子で語れそうなネタが浮かんだ。一切練らずに書いてみる。

2011-09-11 08:20:24
mkszk @m_k_szk

まず、文芸分野で広く使われている「ジャンル」という語は、何か共通した特徴を持った作品群を指す。狭義の「ジャンル」では、作品に固有の「共通した特徴」を持っている必要がある。広義の「ジャンル」では、作品に関連した何かの「共通した特徴」でも構わない。

2011-09-11 08:30:18
mkszk @m_k_szk

広義の「ジャンル」は、その特徴が作品自体から離れるほど不毛になる。例えば、作者が同じだという共通点は、その作者が狭義の「ジャンル」に忠誠を誓っている場合にのみ有効だろう。(有栖川有栖と本格ミステリとか)

2011-09-11 08:38:15
mkszk @m_k_szk

読者が重なるという共通点も、その読者が狭義の「ジャンル」に忠誠心を持っていれば有効だろう。ただし、1読者1ジャンルになるため参考にならない。読者が組織化されている場合は参考になりそうだが、星雲賞のリストを見る限り、しばしば迷走するものと思われる。

2011-09-11 09:03:42
mkszk @m_k_szk

狭義の「ジャンル」については一言でいいや。 作品をジャンルで語るのではなく、ジャンルを作品で語りましょう。

2011-09-11 19:16:47

広義のジャンル≒狭義のジャンル×スクール×ファンダム

mkszk @m_k_szk

先日のメタ・ジャンル論の流れだと、「新本格ミステリ」はジャンルでない、あえて呼ぶならスクール/流派である、という結論になりそうだなあ。

2011-09-28 21:37:44
mkszk @m_k_szk

先日のメタ・ジャンル論を発展させるなら、狭義のジャンル(≒作品による分類)とスクール(≒作家による分類)の二軸が主になる。そこまでは確かだけれども、従の軸としてファンダム(≒読者による分類)辺りも加えたいなあ。

2011-10-01 08:18:17
mkszk @m_k_szk

狭義のジャンル同士は排他でない(相性の良し悪しはある)。ジャンル間の掛け合わせ自体が大きなジャンルになったスリップ・ストリームやマジック・リアリズムもあるし、SF/FTミステリも一般的になったよね。

2011-10-01 09:15:11
mkszk @m_k_szk

それと比べると、スクールやファンダムは排他的になりがちなのだよね。スクールが排他的になっている例は、芥川賞での舞城王太郎や円城塔の扱いの悪さを見れば同意してくれるものと思う。

2011-10-01 09:24:03
mkszk @m_k_szk

余談。芥川賞って、最優秀(と思われる)作品がジャンル・フィクションの場合は「受賞作なし」になるよね。

2011-10-01 09:27:44

ライトノベルの浸透と拡散

mkszk @m_k_szk

ラノベ・レーベルの読者層が少しずつ高年齢化しているせいで、児童文学との間に新しい読者層が想定されるようになったのかな。ラノベ・レーベルがカオスすぎるので高年齢/低年齢の二つに分割されつつあるとも言う。

2011-10-08 01:12:21
mkszk @m_k_szk

(文脈:http://t.co/rYYEH74t)ライトノベルってスクールとファンダムの占める割合が大きい。この状況は昔のSFによく似ているし、「ライトノベルの浸透と拡散」がまことしやかに語られる日が来るのかもなあ。

2011-10-08 08:05:37
mkszk @m_k_szk

「ライトノベルの浸透と拡散」の勝利条件って、ライトノベル・レーベルの作品が非ライトノベル・レーベルで出版しなおされる、文庫落ちの逆向きの「ハードカバー上がり」という現象が定着することなのかな。

2011-10-08 08:37:35
mkszk @m_k_szk

今後のことを考えると、玉石混淆な多数の作品が電子版としてデータ流通する→そのうちで評価の高い作品のみが愛蔵版として実体流通する、という流れになるのかなあ。

2011-10-08 08:48:54

俳句の季語は規範批評になりがち

mkszk @m_k_szk

俳句には「咳をしても一人」だって「墓のうらに廻る」だってあるんだよ。(http://t.co/xzphAhteより)

2011-10-08 19:16:59
mkszk @m_k_szk

自由律俳句まで極端な例をあげずとも、高浜虚子も無季俳句を詠んでいるからなあ……と青空文庫を引こうとしたが、まだ入力作業中のようだ。「神にませばまこと美はし那智の滝」とか。

2011-10-08 19:31:19
mkszk @m_k_szk

補足。高浜虚子は無季俳句が*大嫌い*な人です。

2011-10-08 19:53:09
mkszk @m_k_szk

いわゆる「季語」は現代社会の季節感を反映していないから無意味だとすら思っている。だからといって「生存戦略」を2011年夏の季語だというのも詭弁だとは思うけれども。 http://t.co/KrF9OOHq

2011-10-08 20:17:29
mkszk @m_k_szk

俳句での五七五律/自由律や季語有り/無しといった、狭義のジャンルは作品の価値に影響しない。でも、「傑作/佳作を生み出せなかったジャンルには価値がない」と叫ぶのは構わないよね。

2011-10-08 23:59:52
mkszk @m_k_szk

「傑作/佳作を生み出せなかったジャンルには価値がない」よりも「傑作/佳作を生み出せなかったジャンルには関心がない」かもしれず。

2011-10-09 00:03:50

十分に発達したジャンルはキャッチコピーと見分けがつかない