ポール・デルヴォー《こだま(あるいは「街路の神秘」) 》1943年 愛知県美術館 について

愛知県美術館(@apmoa)と愛知県美術館長(@masa7878)による所蔵作品についてのトーク。
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豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

十六夜の月がきれいに見えている。確か明日は立ち待ち月。明後日は居待ち月。日ごとに、月の出を待つ時間が長くなる。

2011-09-13 20:14:00
豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

月といえば、当館のポール・デルヴォー《こだま》も、月あかり、それも三日月に照らしだされた不思議な世界。確か@apmoaがシュルレアリスムの専門だったはず。この作品のこと、ちょっと聞いてみようかな?

2011-09-12 21:54:43
愛知県美術館 @apmoa

という館長の言ですが、島田章三展が始まってから、ということでご勘弁を。。RT @masa7878: 月といえば、当館のポール・デルヴォー《こだま》も、月あかり、それも三日月に照らしだされた不思議な世界。確か@apmoaがシュルレアリスムの専門だったはず。この作品のこと、ちょっと…

2011-09-13 22:19:18
豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

@apmoa …ということは、島田章三展始まったら、あれこれ質問OKだよね◎

2011-09-13 22:28:31

というまえふりが9月にございまして…

豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

@apmoa そう言えば、ぼつぼつデルボーの《こだま》について語り合えればと思うけど、どお? 最近、君も含めて皆さん忙しくしているから、ちょっと遠慮しているのだけど…

2011-10-05 19:16:21
愛知県美術館 @apmoa

@masa7878 お話投げていただければ即レスは無理でも時間見つけてぼつぼつお返ししますので、いつでもよいですよー。

2011-10-05 19:19:21
豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

@apmoa では、ぼちぼちペースで。この間、何かの話の流れで《こだま》の三日月のことを話題にしたけど、あの古代のような建物と女性を照らしだしているのは月明り。三日月ではあり得ない明るさということもあるけど、彼の絵のなかで、月というモティーフは特別な意味があるのかしらん?

2011-10-05 19:33:45
愛知県美術館 @apmoa

@masa7878 早速ですねw。三日月に、というよりは月の満ち欠けには強い関心を持っていたようですね。MoMAの《Phases of the Moon》(http://t.co/SLH0908s)のように月相を主題とした作品を数多く描いています。

2011-10-05 19:57:10

ちなみにマックス・エルンスト《Les Hommes n'en sauront Rien》というテート所蔵の作品は、元ネタが日蝕/月蝕の原理を示す図です(http://www.tate.org.uk/servlet/ViewWork?cgroupid=-1&workid=4133&searchid=false&roomid=false&tabview=text&texttype=8)。このような天体への関心は、シュルレアリスム・クラスタのなかである程度共有されていたのかも知れません。

豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

@apmoa 月の満ち欠けね〜。時間の推移を暗示しているのかな? それにしても、あの建物と女性を照らしだしている月明りの描写はなかなかのテクニック。この作品のキモは、線遠近法できちんと描かれた街並みと、それを無視して極端に大きくなってくる三人の裸の女性。あれは同一人物だよね?

2011-10-05 20:13:52
愛知県美術館 @apmoa

.@masa7878 影の向きからして画面全体を月明かりが照らしているのは確かですが、手前の女性像は何故か画面左からの光を受けていますね(…)

2011-10-05 20:07:54
豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

あれ、そうだっけ? そんな方向からの光あったかしら。その女性も月明りからできる影が描いてあったと思うけど…"@apmoa: 影の向きからして画面全体を月明かりが照らしているのは確かですが、手前の女性像は何故か画面左からの光を受けていますね(…)"

2011-10-05 20:18:13
愛知県美術館 @apmoa

.@masa7878 地面に落ちる影は仰る通りですが、裸体そのものに当たる光が手前の女性だけ違いますね。

2011-10-05 20:19:44
豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

了解。もう一度よく観てみます。"@apmoa: 地面に落ちる影は仰る通りですが、裸体そのものに当たる光が手前の女性だけ違いますね。"

2011-10-05 20:27:40
愛知県美術館 @apmoa

.@masa7878 (承前)デ・キリコやマグリットもそうですが、個々のモティーフが再現的に描かれていても情景全体には現実的な整合性がないのはシュルレアリスムの(一部の)作品の特徴なので、明るすぎるというツッコミはなしで笑

2011-10-05 20:08:10
豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

確かに、それはそうだ笑 "@apmoa: デ・キリコやマグリットもそうですが、個々のモティーフが再現的に描かれていても情景全体には現実的な整合性がないのはシュルレアリスムの(一部の)作品の特徴なので、明るすぎるというツッコミはなしで笑"

2011-10-05 20:20:22
愛知県美術館 @apmoa

.@masa7878 あるいは(太陽)光=神あるいは理性だとすれば、月光はそれをただ反射したもの。シュルレアリスム運動が理性によるコントロールから逃れようとした姿勢と重ね合わせて解釈する、なんてことも可能かと思います。

2011-10-05 20:09:32
豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

なるほど、勉強になります、これは! "@apmoa: あるいは(太陽)光=神あるいは理性だとすれば、月光はそれをただ反射したもの。シュルレアリスム運動が理性によるコントロールから逃れようとした姿勢と重ね合わせて解釈する、なんてことも可能かと思います。"

2011-10-05 20:42:56
愛知県美術館 @apmoa

.@masa7878 デルヴォーはジュール・ヴェルヌの『地底旅行』挿絵からのキャラクターの借用が多いですが、ヴェルヌには『月世界旅行』『月世界へ行く』など月にまつわる作品もありますね。

2011-10-05 20:12:37

例えば、鉱物学を専門とするオットー・リーデンブロック教授(http://www.xtec.es/~pbernat/Verne,%20Jules%20Verne/lidenbrock.htm)の挿絵など。

そもそも『月世界へ行く』の挿絵なんかすでにそのままでエルンストのコラージュ・ロマンの世界ですね(http://blueruins.tumblr.com/post/1383525859)(http://jv.gilead.org.il/rpaul/Autour de la lune/)。

愛知県美術館 @apmoa

.@masa7878 《こだま》というタイトルからしても同一人物だと解釈するのが自然ですね。日本の絵巻物のような異時同図と言えなくもないですが、ポーズが全く同じなのでむしろわたしは「コピペ」的図、と言いたいところです。

2011-10-05 20:18:36
豊田市博物館の開館を準備してる人 @masa7878

@apmoa コピペねえ。あの三人の女性、同じポーズで手前に来ると、うわーっと極端に大きくなっているけど、それだけじゃなく、石畳みの目地を見ると、向って右の方にもかなりずれて描かれていて、それがあの不可解、不安定な感じを強くしているから、そのあたりまで気がつくと面白いね。

2011-10-05 20:36:00

「コピペ的」というのは半ば冗談ですが、コラージュ的と言うべきでしょうか。手前に向かって歩いてくる場合の手足の時系列的な変化がなく、同じ画像をスケールを変えながら貼付けているだけのように見える、ということを意図しての発言です。

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