仮面ライダー BLACK SUN 感想

私的メモ
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リンク 仮面ライダーBLACK SUN 公式WEBサイト|仮面ライダーWEB【公式】|東映 仮面ライダーBLACK SUN 公式WEBサイト|仮面ライダーWEB【公式】|東映 『仮面ライダーBLACK SUN』が「Prime Video」で世界独占配信決定!!キービジュアルと特報映像、一挙公開!!松隈ケンタ(音楽)、伊賀大介(スタイリスト)など実力派スタッフからのコメントも到着! 7512
リンク www.amazon.co.jp Amazon.co.jp: 仮面ライダーBLACK SUNを観る | Prime Video 時は2022年。国が人間と怪人の共存を掲げてから半世紀を経た、混沌の時代。差別の撤廃を訴える若き人権活動家・和泉葵は一人の男と出会う。南光太郎──彼こそは次期創世王の候補、「ブラックサン」と呼ばれる存在であった。50年の歴史に隠された創世王と怪人の真実。そして、幽閉されしもう一人の創世王候補──シャドームーン=秋月信彦。彼らの出会いと再会は、やがて大きなうねりとなって人々を飲み込んでいく。(C) 石森プロ・東映 (C) 「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT 1 user 1581

河樹 彬 @e_rewhon

週末『仮面ライダーBLACK SUN』に一気に体力を削られた。「みんなごまかしてるけど、悪を倒す(暴力)って、こういう事だよね」「改人を恐れるのって、こういう事だよね」「永遠に戦いつづけるって、こういう事だよね」と顔に息がかかる距離まで迫ってくる。綺麗事に後退したくて仕方ない。

2022-11-02 01:32:09
河樹 彬 @e_rewhon

白石監督の政治的立ち位置への憶測も散見されるが、左も右も、政治的な人ほど本作を嫌うだろう。本作はそれぞれが目を背ける「暗部」を描こうとしてる。だから、物語の出発点と終着点を比べれば、大半が幸せになっていない。でも、大半がより深く真実(自分)と向き合う事になってる。嫌いじゃない。

2022-11-02 01:32:09
河樹 彬 @e_rewhon

一方で、そうした物語の重厚さと、コスプレ感満載な「〇〇怪人」やら「変身ポーズ」やら、特撮のお約束とのギャップが凄まじく、何より体力を削られた。距離のとり方次第で、心を抉られる場面にも、笑える場面にも見える。そもそも人生もそんなものかもしれない。あえてやってるなら、これもヤバい。

2022-11-02 01:32:09

カイジンと人間

(Ⅰ)人間はカイジンだ

河樹 彬 @e_rewhon

仮面ライダーは「『人間』を改造人間から守る改造人間」である。では、彼が守る「人間」とは何だろう。《われわれが「自然的」とよぶのは、きまってひと昔前のテクノロジーである。その意味で、われわれが「人間的」とよぶものも、ひと昔前のテクノロジーにすぎない》と柄谷行人はいう。

2022-11-12 10:50:29
河樹 彬 @e_rewhon

仮面ライダーの怪人は、改造された人間、改人である。それはサイボーグ化や電脳化と何も変わらない。人間は自らの身体・思惟をもテクノロジーによって改良・拡張していく。このホモ・ファベルとして当然の営為を、恐怖や不安の目から捉えた「影」が怪人だといってもよい。即ち、人間は怪人である。

2022-11-13 09:21:57
創造的進化

アンリ・ベルクソン,佐藤和広

河樹 彬 @e_rewhon

「人間を改人から守る」。この意味で、仮面ライダーは保守的な存在だ。だが、仮面ライダーが描くヒーロー像は、「○○は人間じゃないんですよ」と安全圏で嘲る「人間」達とは大きく異なる。

2022-11-12 10:50:32
河樹 彬 @e_rewhon

仮面ライダーは、自分自身も改人であることを知っている。もはや「人間」には戻れない。改造された事を恨みながらも、彼が改人を倒せるのは、改人として得られた力(テクノロジー)によってだ。彼はそれら全てを知っている。石ノ森章太郎によれば、ライダーは仮面の下で苦しみ、泣いている存在だ。

2022-11-12 10:50:32
河樹 彬 @e_rewhon

『BLACK SUN』の南光太郎像はこうした原点に忠実だと思う。叶わぬ過去への郷愁を抱え、呪いのように刻まれた「他者の意志」に従い、戦う。自分と同じ悲劇を繰り返させないために。正しいかどうかは別として、そうとしか生きられない人間は、いる。

2022-11-12 10:50:32
河樹 彬 @e_rewhon

無知に居直った連中はさておき、たとえば三島由紀夫や江藤淳は、こうしたみずから(保守)の悲劇性に自覚的だったと思う。本作の光太郎に心動かされる人は、今どれだけ残っているんだろう。

2022-11-12 10:50:33

(Ⅱ)カイジンは人間だ

河樹 彬 @e_rewhon

改めて『仮面ライダーBLACK SUN』の感想。人間は怪人だ。同時に、光太郎はいう。「怪人は人間だ」と。「誰かと出会って恋もする。子供だって作る。それで生きて、いつか死ぬ。何も特別なことはない」と。

2022-11-12 17:37:40
河樹 彬 @e_rewhon

改めて「人間」って何だろう。例えば誰かに恋をし、誰かに愛をそそぐ。光太郎の言葉に従えば、こうした関係の中にしか人間はない。

2022-11-12 17:37:41
河樹 彬 @e_rewhon

たとえば信彦が信彦であるのは、揺るがぬ出自や思想をもっているからではない。王たる宿命を埋めこまれる前から信彦は信彦だった。暴力に反対していたときも、王殺しに執着しているときも、さらに180度転向して、みずから王になろうと決意してからも、信彦だった。

2022-11-12 17:37:41
河樹 彬 @e_rewhon

同様に、光太郎がいかに老いて、落ちぶれ、肉体や生活が枯れていっても、光太郎は光太郎だ。彼らの思想や肉体がいかに変化しようとも、否、彼らの「アイデンティティ」なるものが転変してゆくからこそ、私達はそこに「人間」を見る。彼らが出会いの中で主体化してゆく姿に「人間」を感じる。

2022-11-12 17:37:41
河樹 彬 @e_rewhon

信彦が女によって変わっていったように、50年間死んだように生きていた光太郎は、葵と出会い、光太郎を取り戻す。秋月信彦と南光太郎。同じように人間臭い彼らだが、主体化の形式が正反対なのが面白い。

2022-11-12 17:37:42
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