【再放送】マグロ・サンダーボルト #5
🔰このアカウントは ・「ニンジャスレイヤー」のエピソードをTwitterで連載しています ・今日は過去の読み切り名作エピソードを再放送します ・末尾に数字が振られている。その数字順に読んでいく ・数分ごとにツイートが飛んでくるがそういうわけでバグではない ・#ニンジャスレイヤー で実況
2022-11-07 21:14:00【今回の話は】 ・2030年代の「ネオサイタマ」が舞台です ・ジャンルは「サイバーパンク・ニンジャアクション小説」 ・常人にある日突然ニンジャソウルが憑依してニンジャになる世界観です ・サイバーパンクなので肉体を半機械化している奴も多い ・ニンジャのほうが強い ・治安は終わっている
2022-11-07 21:17:00⚡️これまでのあらすじ⚡️ 廃ビルで気を失っていたニンジャスレイヤーは、お尋ね者のジェイクと間違われ、ヤクザの手で処刑装置を取り付けられてしまう。ニンジャスレイヤー=サン!君は走り続けねばならない!マグロのように!ペースダウンした時、君は……その装置に仕込まれた爆弾もろとも爆発する!
2022-11-07 21:20:00⚡️🔰簡易人名/用語辞典⚡️ ・ジェイク:お尋ね者 ・ウェイダ:ヤクザの組長 ・メリッサ:ウェイダの幼妻 ・ハシバ:ウェイダの部下で古参 ・アベ:ハシバの部下で若手 ・ウィンドブラスト:ウェイダに仕えるニンジャ ・ZBR:薬物 ・メン・タイ:薬物 ・トロ粉末:薬物 ・イルカチャン:電脳薬物
2022-11-07 21:24:00夜のパンキチ・ハイウェイ。しばし重金属酸性雨は止み、嵐の前の静けさのごとき様相を呈する。卑劣なる爆弾を装着されたニンジャスレイヤーは、時速100キロにも迫らんとする勢いで、死のマラソンを続けていた。 1
2022-11-07 21:33:00「フゥーッ……ハッ、フゥーッ……ハッ!」ニンジャ装束に身を包んだウィンドブラストは、装甲ヤクザベンツの後部座席にザゼンし、独特な呼吸法で精神統一をはかる。前方200メートルを走る死神の後ろ姿を、彼は睨んだ。(((ニンジャスレイヤー=サン、貴様をアノヨへ送ってやるぞ……!))) 2
2022-11-07 21:36:00「高周波部品」「ワンナワー」「錦鯉」「優先買取」「INOUE」……既視感のあるネオン看板群が、中央分離帯で虚しく輝く。それはウィンドブラストのニューロンに働きかけ、レッサーヤクザ時代の殺人クエストの緊張感と、不確かな光景をフラッシュバックさせた。夜、雨、銃声、火花、血の臭い。 3
2022-11-07 21:39:00(((奴は……まさか24時間走破することさえ視野に入れているのか?)))脂汗が滴る。ウィンドブラストは車内UNIXコンソールを見ながら、逸る気持ちを抑え、命令を奥ゆかしく待った。(((ボス、俺はいつでもやれます)))死神との交戦チャンスは一度きりだろう。仕損ずれば、彼は死ぬ。 4
2022-11-07 21:42:00一方、ヤクザクランの事務所では、ウェイダ、グレーターヤクザ、ハッカーが、固唾を呑んで大型モニタを凝視する。死神に装着された装置は、現在の走行位置を告げ、ハッカーが進路予測を行う。この速度を維持し続けられる場所は限られており、時間が経過するほど走行ルート予測は容易になるのだ。 5
2022-11-07 21:45:00だがそれはアマクダリに察知される可能性が増す事をも意味する。いつウィンドブラストという切り札を使うべきか?ウェイダはチャを啜り、虎の如く唸った。「十数分で立体交差頻発エリアです!」ハッカーが眼鏡を直し高速タイプを続けた。「別ハイウェイに飛び移られると物理追跡が途切れます!」 6
2022-11-07 21:48:00「バイタル情報はどうだ?奴は何時間持つ?」ウェイダが問う。クランが持つ即時使用可能マネー、すなわち銃弾の残数は、決して無限ではない。「未知数です」ハッカーが返す。「ウ、ウェイダ=サン……見て下さい」床に座り込んだオチダが、大型モニタのひとつを指し示した。「何だ、オチダ=サン」 7
2022-11-07 21:51:00「ターゲットの顎が、微妙ですが、時折上がるようになってきました。奴はこたえてやがる。危険な状態が近い」オチダは、走行妨害失敗で失ったオナーを取り戻すため、命を賭けた進言を行ったのだ。「俺にはフルマラソンの経験があります。今が奴を殺るチャンスです。間違いならセプクする覚悟です」 8
2022-11-07 21:54:00「ヌゥーッ…」ウェイダは腕を組み、唸った。ここまで廉価版クローンヤクザY-14L部隊、パチンコ玉、オイル、車両止め、動物、ガスなどの卑劣な手段を用い、死神の体力を削ってきた。この先の中央分離帯には、クラン内で最高の狙撃スキルを持つグレーターヤクザが潜伏している。…勝負の時だ! 9
2022-11-07 21:57:00「いいか、この先の狙撃が最後のトラップだ!そこを超えられたら、攻撃を仕掛けろ!」ウェイダからの命令だ。「ボス、了解です」ニンジャは前方を睨み、ゆっくり息を吐く。「奴を殺せるか!?」「殺せます」「殺せ!ウィンドブラスト=サン!殺せ!クランの名誉が、てめえの双肩にかかってる!」 10
2022-11-07 22:00:01「ヨロコンデー!」ウィンドブラストは再び呼吸法を行いながら、車載UNIXコンソールを操作し、高揚感に溢れる旧世紀のサーフミュージックを再生した。これはレッサーヤクザ時代からの彼のジンクスだ。これは誰かを殺す時の曲なのだ。そして今夜、彼はニンジャスレイヤーを殺さねばならぬ! 11
2022-11-07 22:03:00BLAM!狙撃ライフルの銃声が夜のパンキチ・ハイウェイに轟いた。それはニンジャスレイヤーの腿をかすめ、スプレーガスめいた血飛沫を噴出させしめた。だが中央分離帯カンバンに隠れたアンジョに、二発目を撃つ余裕は無かった。ニンジャスレイヤーのスリケンが、額に突き刺さっていたからだ。 12
2022-11-07 22:06:00「ハァーッ……ハァーッ…!…ハァーッ!」ニンジャスレイヤーは腿へのダメージを認めながらも、走行バランスを保ち、駆けた。彼は中央分離帯で死体を晒す狙撃ヤクザの横を通過しながら、ニンジャ動体視力を駆使し、敵組織の正体に繋がるヒントを探る。だがヤクザバッジもタトゥーも確認できない。13
2022-11-07 22:09:00走行速度が増すほど機動力は制限され、敵は狙撃精度を増すだろう。いかな超特急エクスプレスでも、前方レール上から運転手を狙撃するのは、さほど難しくない。持久戦はジリー・プアーだ。…死神がIRC端末に手を伸ばしかけた時、後方から装甲ヤクザベンツが猛然たるスピードで追い上げてきた! 14
2022-11-07 22:12:00装甲ヤクザベンツは、抜かりなく1車線空け、赤黒の死神のやや斜め後方位置で高速並走した。そのルーフの上には、焦茶色のニンジャ装束を纏った男が、殺意に満ちた目で死神を睨む。驚異的なバランス感覚である。「ドーモ、ウィンドブラストです」そのニンジャは腰だめ姿勢でアイサツを決めた。 15
2022-11-07 22:15:00「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」死神は走り続けながら首をひねり、前方から右斜めやや後方へと視線を移してアイサツを決めた。「遂に…ニンジャの……お出ましか。洗いざらい……吐いてもらおう」やや息が乱れる!「その必要はないぞ、ニンジャスレイヤー=サン!ここが貴様のオブツダンだ!」16
2022-11-07 22:18:00両者は直ちには仕掛けぬ。サバンナで遭遇した二匹の猛獣めいて睨み合ったまま、ハイウェイを並走しながら睨み合う。眉間を伝う汗。「フゥーッ……ハッ、フゥーッ……ハッ!」ウィンドブラストは姿勢を微調整し、呼吸を整えた。彼は車上から必殺のブラスト・トビゲリを繰り出す好機を狙っている! 17
2022-11-07 22:21:00