『ポケモンSV』は、まだこんなに差別的。製作陣は、これで『ポリコレ』に配慮したつもりなのか。

私は、子供が『ポケットモンスター スカーレット』を、プレイしている場面を見て、このゲームが、差別と偏見に満ちていた事を確認した。

私はこのビデオゲームの発売前、「このビデオゲームはジェンダーや、ポリティカル・コレクトネス（以下：ポリコレ）への配慮がされている」という情報・評判を見て、子供に買い与える事を決めた。だが、それらは上辺だけに過ぎなかったようだ。

私は子供にこのゲームを辞めさせ、問題点を上げるため、土日を費やしこのビデオゲームを調査した。

数多く残る差別的表現

そのビデオゲームをせず、批判するのは、制作者の差別意識・意図を考える意味でも、ふさわしくないと感じ、私は、実際にその『ポケモン』のビデオゲームを遊んだ。その上で批判している事を、読者諸君には留意して欲しい。

加害性・差別性を見出せる箇所は、いくつも上げる事が可能だった。これが、製作者の意識的な物か、無意識的差別かを私は断定出来ないが、これで『ポリコレ』や『ジェンダー』へ配慮したつもりなら、私は「甘い」と、言わざるを得ないだろう。

時代遅れな『母親』概念

これを見て欲しい。これは、主人公の親であるが、ゲーム内では、「ママ」「お母さん」と、性別を明確にする表現である。そして、エプロンをし、家事をするというステレオタイプな親像が描写されている。ジェンダーフリーであり、性別によって役割が固定されてはならない現代において不適切な表現と言わざるを得ない。

数多く残る『ジェンダー』を明確にする表現

主人公キャラクターについては、ジェンダー（性別）による衣装・髪型・メイクの制限等存在せず、ジェンダーを明確に表記しない配慮がなされていると考えられる。しかし、主人公以外はどうだろうか。「男」「女」「彼女」「彼」と、ジェンダーを明確化する単語が、平然と使用されている事が判る。


そして、女性（とされるキャラクター）は、女性名（とされる）名前が多く、短いズボンや、スカートを着用している点も問題である。


『女性は赤』『男性は青』というステレオタイプも強く残されている。♂（とされる）ポケモンマークは青、♀ （とされる）ポケモンマークも赤である。また、同性愛への否定も見られ、『メロメロ』という、相手をメロメロにし行動不能にするという技、同様の効果を持つ『とくせい』（ポケモン固有の生物的スキル）『メロメロボディ』の効果があるのは異性のみである。

しかし、一部の女性とされるキャラクターが、女性らしい（とされる）外見でない事や、その逆も然りである点は、評価出来るだろう。僅かな配慮は感じられる。しかし、加害性を感じる表現が多いのは確かである。

『アカデミー』に存在する差別的表現

主人公キャラクターが、通う学校『オレンジアカデミー』は、長い階段を登らなければ校舎に辿り着けないという構造になっている。ビデオゲーム内でも、『地獄の階段』と、茶化されている。

また、校舎内も、上階に行く手段は階段のみであり、エレベーターやスロープは存在しない。これはバリアフリーの観点から、大変差別的である。

『オレンジアカデミー』はさまざまな人に門戸を開いているという設定であるが、五体満足でない身体障がい者の方々は、その対象に含まれていないのである。

そして、その学園長のポストに着く人物は、高齢の男性である。高齢の男性が要職に就くというのは、女性の社会進出を拒む差別的表現である。

あなたにとっての『普通』は、全員の『普通』ではない。

このビデオゲームには、『普通のサラリーマン』という設定の『アオキ』という人物が登場し、『ノーマル』タイプを専門としている。しかし、『普通』の『サラリーマン』が、男性で、黒いスーツを着ているという表現は、差別的だ。

開発陣にとっての『普通の社会人』のイメージは、彼のような人間なのだろう。しかし、これは社会に出て、苦労する女性の方々を蔑ろにし、見えなくし、無視している。「彼らにとって」は『普通』のつもりでも、性差別の極地的な表現である。

『社会人お得意』の『からげんき』と、ブラックな労働環境を自虐し、『笑える』ネタとして消費、労働問題をエンターテインメントとする姿勢も、不適切である。そのような職場からは、転職すべきであり、ストライキを起こし、待遇改善を求める社会正義的、若しくは転職を勧めるキャラクターにすべきである。

『美人』や『かわいい』が正義のルッキズム

そして、この世界でもルッキズム（外見至上主義）は根強い。『美人』や『かわいい』だけで地位や人気を獲得。『チリ』は、美形で『四天王』という作中で高位の地位につき、同様に美形の『ナンジャモ』も、動画配信で人気絶頂である。プレイヤー間でも、『チリ』『ナンジャモ』『グルーシャ』と言った、美形のキャラクターばかりが人気がある。

美形だけが受け入れ続けられるようになる

そして、そのような美形だけが正義とされる世界の終着点は、何であろうか?この人は、こう語る。そう、ルッキズムの終着点は、マイノリティが気持ち悪がられる差別につながるのだ。

いかがだろうか？

いかがだろうか？このように、差別性・加害性を見出そうと考えれば、それはいくらでも挙げられるのだ。任天堂には、そのような要素が挙げられない、健全な作品を作り、差別主義をしない企業になって欲しいと、私は切に願う。

可能な限り、簡潔に記事をまとめるため、記事のテーマへ入れなかったが、「苦いスパイス」を、まずそうに扱う点にも怒りを覚えた。苦い味が好きな人々への、冒涜だ。

動物を集め、使役し、戦わせるテーマ自体が、動物虐待的であるという話は、以前したため、割愛するが、興味があれば読んで頂きたい。