石川慶監督、映画『ある男』(『Arc アーク』『蜜蜂と遠雷』)他、感想メモ

映画『ある男』及び石川慶監督の過去作『Arc アーク』『蜜蜂と遠雷』、あと妻夫木聡出演『来る』についての感想等。 ■他の感想まとめ https://togetter.com/id/sagara1
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ぽんず @ponzu_citron

『ある男』観た。世代を経ても、居場所を変えても、まとわりついて離れない”血筋”に根ざすアイデンティティ。自分は自分、あなたはあなた。正しい解がそれだと分かっていても、他人も社会も、自分自身すらもどこかでそれを認められないでいる、潜在的な居心地の悪さ。

2022-11-18 20:54:03
ぽんず @ponzu_citron

個々の”顔”など見えなくなるように、立ち並ぶビルやマンションの戸口、雑踏の人々と埋没していく真なる個性。貼り付けられたレッテルが自我をも曖昧にしていく様を表現するかのように、役者の顔には影がかかり、容赦なくピントをズラされぼやけてしまう。石川慶監督の映像センスよ。

2022-11-18 20:57:04
ぽんず @ponzu_citron

白眉は自転車で走る背中で揺れるフードの画かな。虚実が暴かれて初めて愛し得る、手の中に残った事実。そこからまた捻りを加えるようなラストには蛇足感を覚えたが、ファーストカットのリフレインがバシッと決まっていたので許せた。(でも『蜜蜂と遠雷』の終わり方の方が好きやで)

2022-11-18 21:00:57
ぽんず @ponzu_citron

『ある男』の妻夫木聡、笑みを浮かべて話を聴いてるのに明らかにキレてるのが分かる演技で凄かったわね

2022-11-18 21:56:54
相楽 @sagara1

石川慶監督の twitter.com/sagara1/status… 映画『ある男』観た。とても良かった。 まずなんといっても主役の城戸章良を演じた妻夫木聡の"受け"の演技が素晴らしい。 ぐっと様々な負の感情……怒りと憤り、苛立ち、軽蔑、それに目の前の相手が代表・象徴するものからなにをどうしても逃れたいと

2022-11-22 00:44:23
相楽 @sagara1

思ったに違いない人間への共感といったものをその多くを語らずとも表情で全身で、語る時は語る時で見事に滲ませ切って表現する姿は見応えがあった。苦しみ煩悶を重ねていく妻夫木聡を観るのは健康にいい……などとは言い難いところが多分にあるけど、

2022-11-22 00:44:24
相楽 @sagara1

やはり名演だった 『来る』 netflix.com/watch/81445784 の天然邪悪な妻夫木聡よりはまだ観る者への身心への負担は小さいかも……いや、大小よりこれは種類やベクトルの違いかな???……ともあれ、良かった。

2022-11-22 00:44:24
相楽 @sagara1

映画『ある男』を観る前になにか観ておくとするなら、そりゃあ監督繋がりでもブッキー繋がりでもまず『愚行録』が挙がるだろうけど『来る』も結構お勧めかもしれない。 家族との愛や、人の立場や役回り、自認とか自分や他者に貼るレッテルと外から見た姿や評価といった話が大いに絡みもするわけだし。

2022-11-22 00:44:25
相楽 @sagara1

しかしまあ、諸々が妻夫木聡を追い込むことに繋がっていく描写が、なんともかんとも。 電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも……ではないけど。 原作の生体肝移植の挿話を省いたことで一層、とにかくこんなのが兄で家族だったらそりゃあたまらない、逃げたくもなる……と実に嫌な人間性という

2022-11-22 00:44:25
相楽 @sagara1

説得力を出すべく熱演した真嶋秀和の谷口恭一(谷口大輔の兄)も。 毎回異界というか冥界下りのような道行きを経て邂逅する世の悪意を凝縮した怪異のような柄本明がいわゆる怪演をしてみせる小見浦憲男(ただ個人的な好みとしては道行きの演出も、演技もやり過ぎだったと思う)との対峙も。

2022-11-22 00:44:25
相楽 @sagara1

たったあれだけの会話でよくこうも見事に妻夫木聡を刺激し苦しめられるものだと感心する妻の実家での義父・義母とのやりとりも。 それほど長くない描写の中でも説得力豊かに"幸せ"を体現してみせた窪田正孝演じるX、安藤サクラ演じる谷口理枝、坂本愛登演じる谷口悠人の姿も。

2022-11-22 00:44:26
相楽 @sagara1

いろいろと苦しい人生でも、どんな見苦しい経緯を辿っての上でも、それでも生きていてくれたこと、再会できたことを心から喜んでくれる清野菜名演じる後藤美涼の姿も。

2022-11-22 00:44:26
相楽 @sagara1

そして終盤の観ているだけで妻夫木聡も幸せと喜びを感じずにはいられないだろうという幼い息子の愛らしさも(これについてはもちろん、意図せず覗き見ることになった携帯のメッセージによって、になるけど)……みんながみんな、絡み合って妻夫木聡を追い込んでいく。素晴らしい見応えだった。

2022-11-22 00:44:27
相楽 @sagara1

他の点では、例えば理枝とXと優斗の家族について、優斗に「父」の死の光景を(原作と異なり)刻み付けもした上で確かにあったその愛も悟らせ、「父」の半生を兄として妹に自分が伝えるのだ、と言わせて見せた映画の翻案が見事だった。

2022-11-22 00:44:27
相楽 @sagara1

その翻案でより固められたこの家族の幸せの輝きと明日の確かさは(作中の妻夫木聡はそこまでの顛末は見届けていないにしても)残酷な対比となってやはり妻夫木聡を打ち据えもするのだけど。

2022-11-22 00:44:27
相楽 @sagara1

原作よりも更に前面に出し、それで始めそれで締めてみせたルネ・マグリットの「複製禁止」の扱いももちろん良いと思う。

2022-11-22 00:44:28
相楽 @sagara1

谷口理枝とXの最初の出会いで、雷でブレーカーが落ち暗闇となり、Xが手伝いスイッチを入れるという翻案……尽きずに続く悲しみが、一度しっかり振り切れた上で、再び心のスイッチを入れる、それを傍らにいて支え手伝ってくれるという様子も良かった。

2022-11-22 00:44:28
相楽 @sagara1

映画『ある男』 感想まとめのサムネイル掲載用投稿。 ルネ・マグリット『複製禁止』 pic.twitter.com/lTdpd3HYSt

2022-11-22 02:09:17
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相楽 @sagara1

石川慶監督『ある男』では、 togetter.com/li/1976561 妻夫木聡が多くを語らず主に表情及び全身で、怒り苦しみ煩悶する様をたっぷり味わえる。 沖田修一監督『南極料理人』では、 skipturnreset.hatenablog.com/entry/2022/09/… 堺雅人が微笑みの裏でえげつなく人間性を削られ続ける。 どちらもとても素敵な映画。

2022-11-22 02:12:13
リンク 蝸牛の翅(つばさ) 映画『南極料理人』ネタバレ感想。堺雅人が試されるにもほどがある大地 - 蝸牛の翅(つばさ) 映画『さかなのこ』の「好き」を一心に追い求める尊さを描きつつ、同時に「好き」がどれだけ暴力的だったりするかという側面もがっつり描きぬいた物語がとても面白く、強く関心を引かれたため、沖田修一監督の過去作品も幾つか観ていっている。 「主人公の在り方がミー坊にも通じるところがある、ミー坊はいわばアナザー世之介だ」と幾つか感想も上がっていて、観てみればその通りと思えた『横道世之介』。 追い求めてきた「好き」をいよいよ叶えられる貴重な立場、映画監督になりながら自信を無くしトラブル続きの撮影に打ちのめされていた小栗旬

石川慶監督の過去作品感想。

1:『Arc アーク』

Arc アーク

芳根京子,寺島しのぶ,岡田将生,清水くるみ,井之脇海,中川翼,中村ゆり,倍賞千恵子,風吹ジュン,小林薫,石川慶,澤井香織,ケン・リュウ,川城和実,加倉井誠人,仲吉治人

相楽 @sagara1

正直、好評を話半分くらいに割り引いて受け止めながら観に行った『Arc アーク』が冒頭から最後まで様々な貌を見せつつ惹きつけ続ける傑作で驚いてる。否応なく変革されていく社会の過渡期の人間の一生とそれを通じての諸々。手放しで、すごい。

2021-06-29 12:29:06
相楽 @sagara1

『Arc アーク』。プログラム掲載の各スタッフ略歴眺めていて気付いたのだけれど俳優陣は年代バラけている一方、原作小説:ケン・リュウ76年生まれで、監督始め製作スタッフに77年-79年生まれの人がとても多いのかな。共通した世代の感覚みたいなのも反映されるなり滲み出ていたりもするのだろうか。

2021-06-29 16:40:10
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