今なお続く防衛関係費の削減傾向に対する批判

防衛関係費はこれまでずっと削減され続けてきたが、昨年新たな防衛大綱で「動的防衛力」構想が採用されて、今後は増額していくことが必須の状況になっている。中国やロシアの台頭、米国の国防予算の削減などの外的環境の変化を考慮すれば、日本がいつまでも①国内の法的制約とか、②財政事情などに振り舞わされて内向きの発想=防衛関係費だけは削減しても文句がでない、というような発想では困るのだ。
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fj197099 @fj197099

防衛予算 10年連続削減なら弊害大きい(http://t.co/HXryDf5q)…防衛費は昨年の防衛大綱で外的脅威への対抗を意図した「動的防衛力」に転換した結果、基本的に増額必須の情勢にある事を日本の政治家に何とか理解してほしいと思う。国際環境の変化がそれを要請しているのだ。

2011-10-08 10:31:34
fj197099 @fj197099

日本は防衛や安保に関して言えば異常な発想をもった国家であり、外的環境の如何に関わらず防衛は国内事情による判断のみで決めてよいという方針でこれまでずっとやってきた。国内事情とは専ら①国内の法的制約と②財政事情だが、従前の「基盤的防衛力」構想とはそのような発想を持つ防衛構想であった。

2011-10-08 10:34:02
fj197099 @fj197099

この構想では要するに外部の脅威の存在が全く無視されていた。1970年代のデタント=緊張緩和の時代の構想であったのだから無理もない。80年代には新冷戦と呼ばれる動きがあったがこの時、中曽根政権はGDP比1%枠の撤廃を行うなど何とか変化をすべく努力した。しかし結局何も変わらなかった。

2011-10-08 10:36:34
fj197099 @fj197099

90年代に入ると冷戦が終結し世界的に「平和の配当」を求める声が高まったからである。日本は冷戦時代に本格的に軍事負担を行ってこなかったにも関わらず冷戦後は緊張緩和を理由に更に防衛費を削ってきた。その背景にも結局、外的環境の変化よりも国内の景気不安とか財政難とかの影響が強かったのだ。

2011-10-08 10:40:34
fj197099 @fj197099

確かに、日本を取り巻く軍事環境がデタント期か冷戦終結直後のような相対的に安定した状況で変化しないのならばそういう発想にもある程度の合理性はあった。90年代後半からは北朝鮮のミサイルの脅威も高まったが、それもミサイル防衛で一定の対応はしてきたということも可能であろう。

2011-10-08 10:41:56
fj197099 @fj197099

しかし本質的な問題はやはり2000年代の最初の10年の後半になって急速に明らかになってきたロシアや中国などの新興国の軍事力増強と自己主張の姿勢の強化にあるのである。特に中国の動向が決定的に重要である。2004年の防衛大綱まではまだその意識がなく削減の流れを引き継いでいた。

2011-10-08 10:44:04
fj197099 @fj197099

それが2010年の防衛大綱で決定的に変わった。日本は中国の脅威に備えねばならない、として南西諸島防衛が重視され、それまでの外的脅威の存在を無視した「基盤的防衛力」構想が放棄されて新たに「動的防衛力」構想が導入されたのである。後者は所謂「所要防衛力」構想へのマイルドな第一歩である。

2011-10-08 10:45:51
fj197099 @fj197099

「所要防衛力」構想とは「基盤的防衛力」構想とは正反対に、防衛力を国内の法的制約や財政事情などによってではなく、外部の脅威への対抗を念頭において整備する構想を指す。当たり前の発想だが、これが今迄の日本には存在しなかったのである。さすがの日本も中国の挑戦を無視できなくなったのである。

2011-10-08 10:47:50
fj197099 @fj197099

要約すれば、日本は1970年代以降、ついこの2010年代まで殆ど一貫して防衛力整備の努力を国際環境の安定を理由に放置し続けてきた(むしろ防衛費を削減させてきた)という事なのである。それがついに2010年に変わった。今後は脅威に対抗し防衛費を反転増額させていくことが必須なのである。

2011-10-08 10:49:49
fj197099 @fj197099

しかし現実には良い構想はあっても予算手当てが追いついていない。絵に描いた餅の状態なのだ。防衛省は先頃平成24年度の概算要求を提出した(http://t.co/u50NClb6)。それによると23年度の実績が46625億円であるところ46906億円を要求して僅かに増額を求めている。

2011-10-08 10:53:38
fj197099 @fj197099

だがこれは最終的には23年度より低い金額に押さえ込まれるだろう。昨年の防衛大綱と共に決まった中期防衛力整備計画でも今後五年間は防衛費を据え置くとしているに過ぎない(削減しない、と決まっただけでも大変化だったのだ)。こんなことでは中国の軍拡にはキャッチアップできないのは自明である。

2011-10-08 10:55:02
fj197099 @fj197099

国際環境の大きな変化(中ロ等の新興国の軍事力増強、米国の国防予算削減の見通し)は、日本がこれまでになく大きな防衛負担を自身で行わねばならないことを真剣に求めている。それをやらなければ日本は深刻な防衛・安保の上でのリスクに直面する事になる。防衛関係費は大幅増額が必要である。

2011-10-08 10:57:02
fj197099 @fj197099

これまでの慣行は通用しない世界が来るのだということが日本人の圧倒的多数、特に(一部官僚や)政治家には理解されていない。国際関係の専門家をはじめ戦略に関わる人々には理解されているが、防衛大綱のような戦略が作られてもそれが予算措置に実際に反映されていない。危険な話なのである。

2011-10-08 10:59:19
fj197099 @fj197099

国家の存在意義がどこにあるかということを突き詰めていけば、それは安全保障と社会保障という二つの"security"に還元できるが、安全保障は社会保障に先行して重視された機能である。国家の始まりは「夜警国家」といって国民の安全を守ることからスタートした。その事実を忘れてはいけない。

2011-10-08 11:00:45
fj197099 @fj197099

安全保障への取組み、特にその中核である防衛力の整備は、全てに優先して行われるべき国家の最重要課題であると思っている。安全保障がなければ他のどんな取組みも無意味に終わる。社会保障や震災からの復興よりも優先すべき課題という性格があることを、どうにか日本の政治家に理解してほしいと思う。

2011-10-08 11:02:58