[追悼]青山景先生と漫画。まとめ

10月9日、自宅アパートで首吊り自殺したとこを発見された漫画家・青山景氏(@aoyama_kei) 「思い残すことはない」では終わりきれない。 青山景先生の漫画について
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青山景 @aoyama_kei

漫画描いてます。『SWWEEET』『ピコーン(共著)』『チャイナガール(共著)』『ストロボライト』…現在イブニングにて『よいこの黙示録』連載中


武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。2003年、『茶番劇』が第1回イキマンを受賞し、漫画家デビュー。
2004年、舞城王太郎の著作『ピコーン!』を月刊IKKIで漫画化。2005年、初連載『SWWEEET』を月刊IKKIで連載開始。


漫画の未来について

@aoyama_kei

し私が老人になるまで生きてられたら、きっと漫画の世界のデジタル化も更に進んでいるので、街の老人を集めて「趣味のアナログ漫画講座」みたいなカルチャーセンター的な教室をやって過ごしたい…木造の平屋の自宅で開き、お三時にはお茶とお菓子を出すのだ。

2011-08-31 20:11:01

@aoyama_kei

①漫画が映画的であるとはどういうことか。モンタージュ的なカット割の手法を取り入れることか?う、人物の何かを見る姿のカットと、その対象物のカットを組み合わせて、観客にその人物の「視線」ひいては「感情」に「同一化」させる、お馴染みのあれだ。これは映画的?答えはノウ。

2011-08-22 16:29:36
@aoyama_kei

②カット割は映画ではない。異論もあろうが私は支持する。例えば以下の言葉を。「監督の仕事とは、突き詰めればカットの始まりと終りを決めることでしょう。僕はそのカットを不用意に割るべきではないと思ってます。それがワンカットであることが重要なのです(『黒沢清の映画術』p1431-44)」

2011-08-22 16:31:39
@aoyama_kei

③もうちょっと引用してみましょう「中略)カットを割ってしまえば、苦もなく撮れて、ゴマカシが利くことなんですが、やっぱり監督は、これだけの出来事がワンカットで起こってしまうんだ、とこだわるところにその存在意義があると思っているのです(同署p144-145)」

2011-08-22 16:32:15
@aoyama_kei

④「ワンカット性の根拠を、最も単純なレベルで挙げてみれば、映画が本当にその場で起こったことを捉えるメディアだからということがあります。(続く)

2011-08-22 16:33:20
@aoyama_kei

⑤承前)同じことをアニメーションでやって、ここがワンカットですと言っても、技術的なレベルで何かを伝えることはあるとしても、見ていて急にはっとすることはないでしょう。しかし、実写においては、確実に一定の時間がフィルムに切り取られているという意味で、とても大きな要素です(p146)」

2011-08-22 16:34:27
@aoyama_kei

⑥アニメは映画じゃない、と。CGも。さすがにここまでくると暴論、とのむきもありましょう。けれど、映画の悦びに、漫画には無い「運動」「身体」「時間」などなどを求める私としては、ここで、密かに同意するしかないのです。

2011-08-22 16:36:15
@aoyama_kei

⑦「ドキュメンタリーが典型ですけど、映像では原理的に、本当にあったことしか映りません。(中略)小説は、本当は起こらなかったことを起こったかのように書きますが、映画の唯一の強みは、これはかつて本当に起こった、ということなんです(同書p147)」

2011-08-22 16:36:43
@aoyama_kei

この小説を「漫画」に置き換えれば、もはや私が付け加えるべき言葉はありません。おわかりいただけるであろうか…

2011-08-22 16:36:55
@aoyama_kei

⑨かくして、漫画は映画(的)たり得ない。私に残されているのは、映画を羨望の眼差しで眺めつつ、必死に工夫を凝らして、漫画的に、カットを割りまくり、起こらなかった絵空事を描いていく、愉しい道だけなのです…。以上です。失礼致しました。

2011-08-22 16:37:42

ステレオタイプについて

@aoyama_kei

知識が多い人は頭が固く、勉強のできない「おバカ」ほど無垢で常識に捕らわれず、自由で柔軟な発想をする、という、それ自体ステレオタイプな俗流の言説が嫌い。そういう貧しいありきたりな発想こそ、知性によって超克されるべきものだと思う。

2011-09-07 00:24:32
@aoyama_kei

自分の馬鹿さ加減を認めることに価値があるとすれば、それは賢くなろうとする限りにおいてのみ、でしょう。「オレ、馬鹿だからさ」なんて言明が格好いいと思ってる馬鹿には「ばーか」と言ってやればよいのだ。

2011-09-07 00:31:23

美について

@aoyama_kei

そこに、既に絶版になった私の漫画を読んだ奇特な若者が弟子にして下さい!なんて訪ねて来たりして。もちろん私は「ここは君のような未来ある若者が来る所ではありませんよ」なんて、丁寧に断るのだ。

2011-08-31 20:17:55
@aoyama_kei

そういえば私は漫画を描くときに大概「面白さ」が第一で、「美しさ」が何より優先される、ということはあんまりない気がする。

2011-08-24 16:50:27
@aoyama_kei

なぜか。「美」は時として「倫理/道徳」に反するから?まさか。そういう類なら大歓迎する。そうではなくて最大の問題は「美」は、とてもしばしば、「凡庸」な、つまり、つまらない形をとるから。

2011-08-24 16:53:36
@aoyama_kei

たとえば僕が(あるいはあなたが)今までの人生で見た最も美しい風景(というものがあるとしたら)は、それはそれは絵葉書のように凡庸極まりないものだろう、と思うのだ。

2011-08-24 16:56:34
@aoyama_kei

もちろん非凡な「美」もあると思うけど。

2011-08-24 16:58:14
ボボボAp-B 単行本『恥育玩具』発売中 @bobobo_boi

@aoyama_kei スタンダードな「美」は安心出来るってのはあるのかもね。(疑うといううま味を知らない人は)疑うべくも無いから信仰レベルでエクスタシー状態になれる。求道者じゃないならそれでイナフかも。

2011-08-24 17:05:30