陸自ヘリの推移に関する勝手な推移のまとめと考察

陸自ヘリ導入から無人機によるAH/OH交代決定までの、勝手気ままな時代的推移まとめと考察
46
ミラー @miraa1812

陸自航空のヘリの変遷とこれからの推測。 手持ちの資料少ないから広く浅くにはなるけど、陸自航空のヘリがどういった目的で整備されていったかをちょっとまとめてみようかなと。(あくまで運用目的中心での考察だから部隊史や人物とかは期待しないでね)

2022-12-11 07:30:59
ミラー @miraa1812

まず、自衛隊の誕生した時期はちょうどヘリの運用が模索されていた頃で、朝鮮戦争では主に患者搬送に、やがて偵察観測を経て機銃を積んだ簡易的な自衛武装の段階であった事を留意していた方がいいでしょう。

2022-12-11 07:30:59
ミラー @miraa1812

その為、陸上自衛隊が正式に発足した時、練習機を含めた航空機の保有数は213機だったものの、そのうちヘリは11機と5%程度の割合だったというのが、陸自の黎明期に於けるヘリの立ち位置を示しているでしょう。

2022-12-11 07:30:59
ミラー @miraa1812

当時導入されていたのはH-13で連絡や観測任務に使える程度の小型機で、試験的に対戦車ミサイルや機銃を搭載する試験は防衛庁記録の映像にもありますが、メインは運用試験研究と、パイロット養成にあったと言えます。 pic.twitter.com/zmaeIQSsCO

2022-12-11 07:31:00
拡大
ミラー @miraa1812

陸自のヘリ運用が本格化したのは、第一ヘリコプター団が編制される頃に装備されたH-19からです。 ベトナム戦争初期にも活躍したこのヘリの導入で、分隊規模の人員輸送が可能となり、方面航空隊だけでなくヘリ専従の第一ヘリコプター団での集中運用も模索され始めます。 pic.twitter.com/FlUIsem1zT

2022-12-11 07:31:01
拡大
ミラー @miraa1812

武装は施されませんでしたが、ヘリボーンを行ったり、人員物資のピストン輸送を行う下地を築いたのは大きいでしょう。 同時期にバナナ型のタンデムローター機、V-44の試験購入も行われ、大型ヘリ運用に向けた下地も整え始めます。 pic.twitter.com/gRjcBA6Ny1

2022-12-11 07:31:02
拡大
ミラー @miraa1812

ここまでの流れで分かるのは、そもそも武装ヘリの類がそこまで世界で研究されていた訳ではないのですが、陸自ヘリの運用構想が機動力の確保に重点が置かれていた、それもヘリボーン作戦の様な戦術レベルよりも部隊の移動といった戦略レベルの方向に視野が向いていたという事と考えています。

2022-12-11 07:31:02
ミラー @miraa1812

そして、汎用ヘリの傑作UH-1の登場とベトナム戦争がその流れに少し変化を加えます。 米軍がベトナム戦争で多用したヘリボーンによる前線での直接的な兵力の投射が機体の小型化とハイパワー化で選択肢に入ったからです。 pic.twitter.com/aCGMDLkMgo

2022-12-11 07:31:03
拡大
ミラー @miraa1812

そして、ヘリボーンに触れた事で、作戦を実施するヘリを護衛してLZを確保する武装ヘリの必要性に陸自も至ります。 そこでまずはUH-1用にロケット弾ポッドが導入され、これが後のAH-1導入の入り口となります。 pic.twitter.com/guA0MnyYuN

2022-12-11 07:31:04
拡大
ミラー @miraa1812

AHに行く前に、UH-1と並行して陸自は重輸送ヘリの導入も忘れませんでした。 105mm級の火砲の空輸という名目を持ちつつ、より大型のV-107を導入したのです。 これにより、陸自のヘリ空輸能力は飛躍的に向上します。 pic.twitter.com/NlgJ4Qe13k

2022-12-11 07:31:05
拡大
ミラー @miraa1812

配備数こそ汎用ヘリのUH-1が導入初期から数を占めていますが、これは汎用故に輸送以外に観測や連絡といった使い勝手が良かった事、比較的小型故にコストが安かった事が大きく、V-107の導入数自体は60機ほどとなり、決して少なくありません。

2022-12-11 07:31:06
ミラー @miraa1812

同時期に練習ヘリもTH-55に更新されていますが、ここでは観測ヘリとしてOH-6が導入された事にも触れておきます。 ヘリの運用が攻撃的になるにつれて、当然前線での観測能力も高速化が求められていきます。 そこで小型で機動力の高いOH-6の導入へとつながります。 pic.twitter.com/9pNNR528kg

2022-12-11 07:31:06
拡大
ミラー @miraa1812

小型で使い勝手の良いOH-6は連絡機としても重宝され、同時に機銃搭載試験も行われますが、AH-1の導入に伴い、対戦車ヘリに目標を指示する指揮官機としての配備も進んでいきます。

2022-12-11 07:31:07
ミラー @miraa1812

そして、陸自が次に導入を決めたのがAH-1でした。 ヘリボーンで輸送ヘリをエスコートする役割から誕生したこの攻撃ヘリは、陸自においては単にヘリボーン作戦に投入するだけにはもったいないと捉えられた様です。 pic.twitter.com/x88uhtpQtJ

2022-12-11 07:31:08
拡大
ミラー @miraa1812

陸自はAH-1を方面航空隊の対戦車ヘリ隊に集中配備し、対戦車火力の切り札として運用する事にしました。 更に、空自による近接航空支援の不足が考えられる事から、方面の貴重な空飛ぶ砲兵としての役割も担っていくことになります。

2022-12-11 07:31:08
ミラー @miraa1812

ここで重要なのは、ヘリボーンを大々的に行える第一ヘリコプター団には対戦車ヘリは配備されなかったという事です。 第一空挺団と連携してヘリボーンを行う事も想定する第一ヘリ団に配備されてないのは、先の方面航空の専従部隊に集中配備した理由とも繋がります。

2022-12-11 07:31:09
ミラー @miraa1812

それは、エスコートとして必要な際には、敵正面以外の方面航空から対戦車ヘリを抽出するというのもありますが、そもそも陸自のヘリボーン作戦が本格的なエスコートが必要なほど敵に支配された地域に対して行わないという想定があったのでは、と個人的に推察しているのです。

2022-12-11 07:31:09
ミラー @miraa1812

そもそも、敵の防空火力が存在する地域へのヘリボーン作戦は、エスコートを用意しても危険性の高い作戦である事がベトナム戦争で分かっており、敵前上陸の様なヘリボーン作戦自体がベトナム戦争後期では小規模にしか行われていません。

2022-12-11 07:31:09
ミラー @miraa1812

故に、陸自では対戦車ヘリを空飛ぶ砲兵・対戦車火力としては見ても、ヘリボーン作戦で必須の存在とはみていなかったのではと考えています。 一方で、汎用・輸送ヘリはUH-60とCH-47の導入でより一層の増強が行われ、現代でも米軍の次に大型輸送ヘリを運用する存在になっています。 また、一部ですが pic.twitter.com/cMHPekY15o

2022-12-11 07:31:10
拡大
拡大
ミラー @miraa1812

そして、冷戦の終結と共に、北海道を中心とする本土戦以上に問題となってきた非対称戦および島嶼防衛の時代になり、次期AHに求める役割が不鮮明なまま選定に入ったのがAH-64でした。 ただ、これの不幸な処はヘリが次世代に向けて開発が進む中で選定されたというのもあるでしょう。 pic.twitter.com/8mXtcKT7gh

2022-12-11 07:31:11
拡大
ミラー @miraa1812

対戦車ヘリから戦闘ヘリへと名称を変えたのは、非対称戦に於いて汎用的な火力を期待したのと、島嶼防衛に於いてようやくヘリボーンのエスコートがないと敵から地域を奪回するのに空中機動を用いるのはLZ確保の上で危険だと運用を見直す機会を得たのがあるかもしれません。

2022-12-11 07:31:12
ミラー @miraa1812

しかし、当時の調達計画は杜撰としか言いようがなく、選定されたAH-64Dは次世代機を見据えたAH-64Eへの移行で導入決定する頃に、すでに生産部品供給が危ぶまれる存在でした。ここで富士重工とライセンス費用でひと悶着を起こしてしまったのが、今に続く調達失敗の要因であるとも言えると思います。

2022-12-11 07:31:12
ミラー @miraa1812

結果的に、次期AHを振り出しに戻した結果、時代はティルト機や高速ヘリの登場を期待する段階にあり、同時に無人機とどう折り合いをつけていくかという段階になっていました。 これは同時期に開発が完了して運用が始められていたOH-1にも降りかかります。 pic.twitter.com/Rb8VuMWjmS

2022-12-11 07:31:13
拡大
ミラー @miraa1812

OH-1は米国から賞を貰うほど優れた点もありながら、長くエンジンに関連する不良で飛べなかったという意味でも不遇の機体ですが、本来考えられていた戦闘ヘリの指揮を行う存在としての役割がなくなり、観測ヘリとしても無人機の登場で役割が奪われつつあるのが不幸としか言いようがないでしょう。

2022-12-11 07:31:13
ミラー @miraa1812

しかも、無人機による役割の喪失は、海外の無人機の流れ以前からFFOS/FFRSという国産の無人観測ヘリシステムで先鞭がつけられていたのが、また無常とも言えます。(システムが大型とはいうものの、通信能力確保などを考えると妥当だったというのもまた) pic.twitter.com/crQJg504ij

2022-12-11 07:31:14
拡大