
【なぜか山形に】続・木コンクリート橋を見てきた【北海道オリジナル】
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profenigma
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ここまでのいきさつ
昭和10年代前期に、北海道庁に所属していた高橋敏五郎技師らによって考案された戦時設計「木コンクリート合成桁橋」は、通常橋桁の材料として併用されることのない木材とコンクリートを、鋼材節約のために敢えて併用し、木橋より耐久性が高く、自動車通行にも余裕を持って耐えられる構造を実現したもので、戦後も1960年代まで国道を含む北海道の主要道路に架橋された史実がある、特異な存在である。
いまは過去のものとなったユニークな代用技術に関心を持ち、2017~18年の探索で、以下の内容をまとめた。

面白いことに、北海道ローカルの技術だったはずが、戦後に本州にも伝播していたことが判明。2018年には、島根県出雲市の旧県道に架かる「浜田橋」が現存・供用中の木コンクリート橋として「発見」され、その後の地元(島根県技術士会)の関係者による調査で、北海道からの技術移入と確認された。
島根県B級遺産(候補)「木コンクリート合成桁橋」(最終報告)(松浦 寛司)
浜田橋の情報を知るも、こちらは北関東住まいなうえ、2020年からのコロナ禍ではるか離れた山陰への遠出は困難、手をこまねいていた。
ところが、2021年5月…………
竹狸さん(モフスタンの住人)珍橋を発見する

なんか怪しい橋があったので木橋かなと近づいてみたら橋脚はコンクリ、でも一本だけ木だし桁も木製だしなんだろう…噂に聞く木コンクリート橋? pic.twitter.com/2pynEHHJT0
2021-05-05 14:07:41




@HGVXX7 全国の都道府県橋梁一覧がありますのでここでヒントつかめるかも 「川」と「川を渡る橋」 の情報と資料: PDF版へのリンク目録 中日本建設コンサルタント:電子版(初版 2018-1) nakanihon.co.jp/gijyutsu/Shima…
2021-05-05 20:30:21クルマ趣味関連にてTwitter上でお付き合いいただいている竹狸@HGVXX7さんが、えらいものを発見された。
紛れもなくこれは木コンクリート橋である…………
当方含め、古い道路と土木に関心のあるクチが浮き足だった。
反響を受け、竹狸さんは再度現地調査を実施、報告をくださった。

再度取材を敢行したけどこれ多分ホントに木コンクリート橋だ…しっかり凹凸加工して合成桁になってる… pic.twitter.com/PpMhymUuTc
2021-05-06 16:09:19

どうやらコンクリート橋脚と木造橋脚を併用した構造だったらしい。継桁を支える木造橋脚部分はかなり簡素な固定なので、大雨等で流出しても桁にダメージを与えず再建が容易なように考慮した設計か? pic.twitter.com/u2tq0yF8uq
2021-05-06 16:40:40



ところで竹狸さんは、ケモ耳の国モフスタンの住人である。
あいにく当方はモフスタンに行く方法を知らない。昔取ったパスポートは使う機会のないまま期限が切れている。
どうすればこの橋を見られるだろう、とおたずねした結果、日本の山形県にある橋とわかった。
早速、やはりTwitterでお付き合いいただいている地図・地理研究趣味者のjj7tmmさんも現地調査に乗り出した。
@jj7tmmさんの追加レポート

桁と床版の間にノコギリと歯形の処理が確かに見てとれる。 現地調査楽しい😆💕✨twitter.com/lrt_kyuu/statu… pic.twitter.com/jVOfn2v6fH
2021-05-08 15:36:57
1930年代末より北海道で普及し未だ数橋が現存する「木コンクリート橋」。驚くことに基本的な構造は合成桁そのもので、鋼桁の代わりにエゾマツ、スタッドジベルの代わりに木桁接合面の凹凸加工と釘が使用されている 高橋敏五郎と木コンクリート橋 - 土木学会 library.jsce.or.jp/jsce/open/0003… pic.twitter.com/0gEtChrkNV
2020-08-14 22:09:53




この橋、ピアをコンクリートに替えたとき、本来、桁が補強されてるとこじゃなくて細いとこに桁が来ているので、おそらく強度ヤバイ😱💧 pic.twitter.com/lDPsHcRJZD
2021-05-08 15:40:34




@profenigma @Braunite コンクリートパイルは製品名が入った結構古そうなやつなので、床版が無筋だとするとあとから追加でパイル打ち込むのは至難の技かなあって気もします。かと言って写真を見ると木の橋脚の基礎もしっかりしていて更に近年補修したような新しいコンクリの嵩上げ痕も見受けられます。 謎は深まるばかり。 pic.twitter.com/cZfsQV4eU6
2021-05-08 23:26:51
と、お二方による現地調査により、どのような橋であるかはかなり判明した。橋脚すげ替えの形跡など、かなりの曲者な橋である。
島根に比べれば山形はまだ到達しようがあるので、現地に行きたかったのだが、モフスタンから異次元ワープできる竹狸さんや、東北在住のjj7tmmさんと違い、コロナ禍の長距離移動に厳しい時世では容易に動けなかった。
世間のほとぼりが幾分なりとも冷めた2022年夏、ようやく休みが取れたので吶喊に赴くことにした。
木コンクリート橋を見てきた(角材継桁バージョン 山形市・谷柏橋)

この橋については、全国Q地図経由で知ることができる。 それによれば 名前=谷柏橋(やがしわばし) 路線名=本沢小学校谷柏線→山形市道であろう 完成年度=1957年 延長=56.5m 幅員=4.6m 管理者=山形市 点検実施年度=H28 判定区分=3(早期措置段階)
2022-07-09 17:09:34
橋の袂で製材所の機械音が響いているが、かまわず進む。 自動車通行止めだが地元民の徒歩と自転車での往来は禁止してない(消極的に開けてる感はあるが)。 欄干は近年の金属製フェンスに交換済み、路面は死重となるアスファルト舗装が仕掛けてあった。上からは正体は分からない pic.twitter.com/MXRCnq9zpb
2022-07-09 17:46:13

クルマの心配がないので堂々とコンベックスを使った。 実はQ地図をチェックする前に自力で幅と長さを見積もった。幅は自分は4.8mと推定、長さは56m程度(後補のフェンス欄干が2mスパンで28スパンあったので)で、結果としてだいたい合ってた pic.twitter.com/r95gMQUYoC
2022-07-09 17:55:26


