- cameoromen
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しばらく振りに、仲間うちの飲み会があったりして、親しい顔ぶれが揃うと、年甲斐もなくすっかり盛り上がって、気が付けばもう夜中の2時を回ってる。 #kaidan5
2010-03-24 22:05:11何だか酔いも醒めてきて、じゃあ解散にしようかという事になった。店を出ると、都合よく、すぐにタクシーが拾えたんで乗り込んで、 #kaidan5
2010-03-24 22:05:35「飯田橋を抜けて、高速に沿って、江戸川橋を経由して、都電の早稲田の停留所を通って、新目白を・・・・・・」道順を告げると、 #kaidan5
2010-03-24 22:06:52「もうこんな時間だから、どの道で行っても、そう変らないんで、行きやすい道で行って下さって結構ですよ。家に帰るだけなんで急いでませんから」そう言うと、 #kaidan5
2010-03-24 22:08:08「助かります。私、こっちへきてまだそう経ってないんですよー。以前は九州でタクシーの運転手してましてねェ」と言うもんだから、つい、 #kaidan5
2010-03-24 22:08:33「家の事情もあったんですけどね、九州で運転手するのが嫌になっちゃいましてね。もう四、五年前の事になりますかねェ・・・・」と言って、話し始めました。 #kaidan5
2010-03-24 22:09:24それは、雨の降る夏の夜で、タクシーを流していると、いつになく、次から次へとお客が拾えて、ひとり降ろして少し行くと、またお客が拾えるといった具合で、すっかり気をよくしてたそうです。 #kaidan5
2010-03-24 22:11:14次のお客を求めて雨の中を流していると、ヘッドライトの照らす前方に、こっちに向かって手を上げている人影を見付けたんで、チカッとライトで合図を送って、タクシーを寄せてゆくと、 #kaidan5
2010-03-24 22:11:49それはショルダーバッグを下げて、膝近くまでの白い短パン姿、長髪の三十代半ばくらいの、若い男で、傘も持たずに雨に濡れて立っていた。 #kaidan5
2010-03-24 22:12:16時刻は夜の10時を回った頃で、雨の降る暗い道路の前方を、ヘッドライトが照らしてゆく。と、この若い男の客がひっきりなしに、前を見たり腕時計を見たりしているんで、 #kaidan5
2010-03-24 22:14:01(ずいぶん急いでるんだなァ・・)と思った。様子からするとマスコミ関係の仕事でもしているような感じがする。 #kaidan5
2010-03-24 22:14:25タクシーは、なおも雨の中を走り続けてゆく。と、やがて前方に交差点が見えて、黄色の信号がついている。タクシーが、その交差点に差し掛る寸前で赤になったんで、停止すると、 #kaidan5
2010-03-24 22:15:54