@tsuchie88さんが語る工業製品としての原発の寿命と原発と日米原子力事情

 原子力に明るい @tsuchie88さんが、工業製品としての原子力発電所の寿命を皮切りに日米の原子力発電所について語ります。  アメリカの明快な方針とはあまりに対照的に、左翼・推進側に翻弄されてきた日本の原子力行政の実態がよくわかります。  現在政府は、原子力安全庁の創設に力を入れていますが、分離に満足するばかりで無く、きちんとした予算配分と独自人材の育成に力を入れ、実効性のある建設的な原子力行政となることを、反対側も故・高木仁三郎氏のような、行政・電力から一目置かれる、理論的な反原発派の育成を願ってやみません。
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工業製品としての原子力発電所の寿命

(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

大体の工業製品には、設計寿命というものがある。実用に耐える使用時間や、使用回数に安全係数を加えて、設計上はこれくらい使えますよ、という基準を作ってるわけなんだけど、実際には設計所妙よりも短い期間で廃棄されることもあるし、逆に長い期間使われることもある

2011-10-17 20:48:49
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

たとえば、飛行機や車なんかが典型的で、たとえば最近の航空会社は新造機は10年サイクルくらいで新しい機体に買い換えている。もちろん、廃棄されるわけではなくて中古として売り飛ばされるわけなんだけど、設計上は20年とか30年は使えるように設計されている

2011-10-17 20:52:57
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

一方で、もうない会社だけど、ドイツのユンカース製のJu52は今から80年近く前に登場した航空機なんだけど、今もルフトハンザ航空が遊覧飛行用に機体を維持していて、ちゃんと乗客を乗せて有償飛行を行っている。きちんと整備、近代化をすればきちんと飛ばすことができるわけだ

2011-10-17 20:56:01
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

もちろん、日常的な整備をしないと飛べないから、どんな航空会社でもそれは最低限やるんだけど、ある程度使用したら大規模なオーバーホールが必要になる。車でも同じだと思うけど、定期的なオーバーホールを重ねていると、いろいろ悪いところが増えてきて、整備費用が嵩んでくる

2011-10-17 21:00:41
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

飛行機は、高価な代物だから、なるべく高い頻度で使用して投資を回収しようとするのは、企業として当然のことだし、かといっておいそれと新しい機体を買うことができない。一方で「新しい機体を使っているので安全です」というのを乗客にアピールする意味合いもある

2011-10-17 21:03:34
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

だから、10年くらいで売却する会社は、そういう点を売りにしてる会社だったりするし、一方で貨物機なんてのは、経済的に整備維持できる寿命近辺まで使い倒すので、20年くらい使ったりするわけだ

2011-10-17 21:05:46
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

だから、一般的にいう寿命というのは、設計上の寿命だけでなく、使用者の経済的な理由とか、ビジネスモデルによって違いが出てくるし、それを維持するためのシステムによっても寿命は変化する。B-52なんてのは1960年代初頭に生産された機体だが、今も米軍の主力爆撃機のひとつであるのがいい例

2011-10-17 21:07:53
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

原発なてのも、設計された当時は30年とか40年の寿命を想定されていたものだけど、だお規模な延命措置で長いこと使えるようになっている。たとえば、PWRだとSGの交換や、BWRだとシュラウドの交換みたいな大規模な工事で延命ができるようになってきた

2011-10-17 21:18:01

アメリカの実例

スリーマイル事故で原子力部門を縮小したGEとアレバ

(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

米国では、TMI事故以降、新規の原発設置認可が下りなくなってしまったので、最終的に90年代の半ばくらいで新規建設が途絶えた。GEの名経営者である、ジャック・ウォルチはCEO就任直後の80年代初頭に、TMI事故の影響で商業用発電炉の新規建設が途絶えることをいち早く予測した

2011-10-17 21:20:55
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

そこでとった処置が、原発の新規研究開発部門を縮小したことだ。大量のエンジニアが解雇されたが、軍用炉と既存設備の維持のためのメンテナンス部門に原子力事業を特化したんだけど、90年代から老朽化した原子炉のオーバーホール工事に必要なノウハウや、生産設備が不足するようになった

2011-10-17 21:23:45
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

そこで、各原子炉のオペレーター(電力会社)が目に付けたのはフランスの原子力複合企業Arevaだった。フランスは80年代から90年代に原子炉を大量建設した関係で、原子炉製造の技術を維持していたし、90年代以降は一転して原発新規発注が下火になった(とはいえ今も建設は継続)こともある

2011-10-17 21:26:24
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

Arevaは、フランス国内の需要低下を補うため、米国の既存原子炉向けの近代化工事に必要な設備を生産したり、エンジニアリングを提供することができたわけだけど

2011-10-17 21:30:10

オペレーターの再編と、プラントにあった規制を行う原子力行政

(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

一方で、米国ではオペレーター側の再編も進んだ。90年代半ばで、新規稼動がほぼ途絶えたアメリカなんだけど、米国の電力会社というのは、日本みたいに発電・送電・配電が必ずしも垂直的に統合されているわけではなく、発電に特化した会社なども多い

2011-10-17 21:34:46
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

原発のオペレーターは、原発そのものの買収で規模を拡大していったところが多く、大規模なオペレーターは4社くらいに集約されてきた。もちろん、少数の原子炉を保有しているところもあるんだけど、M&Aが進んだのには大きな理由がある

2011-10-17 21:36:14
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

原子炉の整備維持は、高い技術が必要である一方で、安全性を高めて効率を高くすれば、減価償却が進んでいるからそれだけ利益になる。オペレーターが買収を積極的に進めたのは、同じ型の原子炉を多く保有することで、整備に必要なエンジニアリング技術を自社で高度に維持することができるし無駄がない

2011-10-17 21:38:11
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

80年代以降に原発の新規発注が途絶えたといっても、実際に15年くらいは新規稼動が行われていたという事情もあるが、それ以上に原発の安全性が高まり、トラブルが減っていったので、原発の設備稼働率が高まった。これが、米国で電源構成比における原発比率が今も非常に高い理由でもある

2011-10-17 21:41:21
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

もちろん、原発メーカーやオペレーターの努力だけではなく、規制当局のあり方も大きな変化があった。原子力産業の振興と研究開発、規制行政が、エネルギー省(DoE)と原子力規制委員会(NRC)に分離され、運転開始年数から換算した一律の規制がなくなった

2011-10-17 21:43:48
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

一方で、プラントの状態を細かく検査する体制ができ、トラブル事例からメーカーやオペレーターに回収を勧告する体制が構築されたので、プラントは当初の設計よりもさまざまな点で改良が加えられ、安全性が高まっていった

2011-10-17 21:45:20
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

もちろん、期に開発された原子炉は、安全性をクリアでいなかったり、規制をクリアするために多額の改修コストがかかるため、80年代からはこういった原子炉が次々に閉鎖された。閉鎖された原子炉は、安全に解体され跡地が公園になっている例すらある

2011-10-17 21:46:55

日本の実例

なぜ電力会社が直接原子力発電所を運営したのか?