イネヴィタブル・デス #1
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
【このアカウントは】 ・「ニンジャスレイヤー」のエピソードをTwitterで連載しています ・今日は過去の読み切り名作エピソードを再放送します ・末尾に数字が振られている。その数字順に読んでいく ・数分ごとにツイートが飛んでくるがそういうわけでバグではない ・#ニンジャスレイヤー で実況
2022-12-23 21:18:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
◆親愛なる読者の皆さんへ：ひとつ前のツイートに誤植がありました。今回は再放送ではなく、PLUS限定エピソードからの特別放送です。アナウンス担当者はケジメされましたので、ごあんしんください。ここからは新たなアナウンス担当者がタイピングしていきます◆
2022-12-23 21:22:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
【今回の話は】 ・2030年代の「ネオサイタマ」が舞台です ・ジャンルは「サイバーパンク・ニンジャアクション小説」 ・常人にある日突然ニンジャソウルが憑依してニンジャになる世界観です ・サイバーパンクなので肉体を半機械化している奴も多い ・ニンジャのほうが強い ・治安は終わっている
2022-12-23 21:23:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
フジサン地下、レアアース採掘場。異星の巨大アリの地下神殿めいて無秩序に入り組んだその坑道では、暗黒メガコーポの飼い慣らす巨獣のごとき掘削機械群が休みなく自動クローリングし、その周囲には無数の重サイバネマイナーたちが群がって過剰労働を続けている。 1
2022-12-23 21:33:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
採掘者の多くは保証のないフリーランスだ。彼らはレアメタル鉱石で一攫千金を狙い、フジサン麓の宿場街にある違法サイバネ相談所でローンを組み、肉体の一部をサイバネ義肢に置換する。そして日々、ゲートで入場料を支払ってLEDツルハシとタイムカードを渡され、制限時間内の採掘を許可されるのだ。 2
2022-12-23 21:36:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
だがウシミツアワー近くともなれば、大半の採掘エリアは閉鎖され、照明も落とされる。かつては24時間休みない採掘が行われていたが、メガコーポの自動運転重機にカロウシ寸前のマイナーが巻き込まれて不具合を起こす事故が多発したため、強制的なクールダウン時間が設けられるようになった。 3
2022-12-23 21:39:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
然して今……クロウラー機械も寄りつかぬほどの小さな横道坑道のひとつに、欲望に満ちたLEDツルハシの音が鳴り響く。暗黒の中、LEDツルハシの残光が、岩の火花と混じり合い、二人の屈強な採掘者たちを照らし出す。だが何故、深夜にも関わらず、ここにマイナーがいるのか？ 違法操業だからである。 4
2022-12-23 21:42:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「……ハッ！……ハッ！」カイーン！カイーン！最大級のLEDツルハシを振るう巨漢が、一心不乱に岩を砕く。男の名はモテギ。スモトリ崩れのサイバネマイナーである。この採掘場で働き始めて既に５年。面倒見の良い性格とその優れた体躯から、今では十数名の徒党を率いるマイクロ事業主となっていた。 5
2022-12-23 21:46:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ヨイショ、ヨイショ」もう一人、サイバーサングラスにアニメ刺青の男が、砕かれた岩をザルに入れ、天然湧水で洗っていた。こうして８時間以上ツルハシを振るい、ショーギ駒程度の大きさのネオジムやジスプロシウムの含有鉱石が数個発見されれば良いほうだ。レアアース採掘の過酷な現場である。 6
2022-12-23 21:50:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
今回も、なんら期待などしていなかった。だがアニメ刺青のサイバーサングラスに、思いがけぬスキャン反応があった。「……ブッダ！この輝きはもしかして！」彼は大慌てでザルを置き、そこからトーフほどもある大きな石の一個を掴み取った。そしてそれを、自らの手でもって入念に洗った。 7
2022-12-23 21:53:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「おい、もしかして、やったのか！？」モテギは神経接続した腕部サイバネを滑らかにスリープさせ、ツルハシを振るう手を止めた。「ハイ、やりました！ レアメタルです！」アニメ刺青は声を弾ませた。彼らはこの日、トーフ一丁ほどの大きさもある、虹色のレアメタルを掘り当てたのだ。 8
2022-12-23 21:56:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ブッダ！こんな大きな原石は見たことがないぜ！」モテギは最新鋭のハンドヘルドUNIXを展開し、簡易分析カメラをレアメタル鉱石にあてがった。ビューム。ハイテック緑色の画面に、電子波形が複雑なパターンを描いてゆく。「少なくともニッケルとルビジウムが含まれている……上物だ！ 9
2022-12-23 21:58:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「どうしますか、モテギ＝サン。明日朝一番でゲートに提出して、報酬と交換しますか……？」「いいや、決まってんだろうが！隠して持ち出して、総取りだ！暗黒メガコーポなんかにゃ、ひとカケラだってくれてやるものかよ！さんざ搾取しやがってよオ！」モテギは口元を欲望で歪ませた。 10
2022-12-23 22:00:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「いくら位になると思いますか？まさか、数十万？」「数百万か、それ以上だな！」モテギが言うと、アニメ刺青はサイバーサングラスを外し、汗を拭い、満面の笑みを作った。「ああ、長かった。これでようやくローンを返して、足を洗えま……アイエッ！？マブシイ！」突如、坑道に眩しい光が灯った！ 11
2022-12-23 22:04:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
坑道天井、バチバチと火花を散らす、タングステン灯の列。誰かがブレーカーを上げ、この横穴坑道のライトを灯けたのだ。「誰だ！？」モテギは身構えた。そのような愚かな事をする仲間などいるはずがない。何故ならこの横道坑道は、メガコーポの許可を得ずに、モテギらが無断で作ったものだからだ。 12
2022-12-23 22:06:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「アイエエエ……」アニメ刺青は恐怖に凍りついていた。モテギは反射的にLEDツルハシを握りしめ、照明操作盤がある方を睨んだ。暗黒メガコーポのメンテ作業員に、ここの秘密が露見してしまったのか？……ならば、やるしかない。モテギには常に、そのような覚悟があった。 13
2022-12-23 22:10:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
人影が見えた。モテギは目を凝らした。採掘装備を満載にしたマイナー特有の、ずんぐりとしたシルエットではない。細身のスーツか、あるいはジュー・ウェアのようなものを纏っている。ヘルメットすらも被っていないようだ。……何かがおかしい。モテギの本能が、警告を発していた。 14
2022-12-23 22:12:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ドーモ、クエスチョナーです」現れたのはニンジャであった。「私はソウカイヤから派遣されたニンジャだ。このエリアのゴミ掃除を依頼されたのだよ。君たちのような、違法サイバネ労働者たちをね」「アイエエエエ！ニンジャ！？ニンジャナンデ！」アニメ刺青はショック症状を起こし、震え上がる！ 15
2022-12-23 22:17:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ニンジャだァ？何だそりゃあ……」脂汗が滲む。ツルハシを握る手をいささかも緩める事のないまま、モテギは必死に方策を練った。「……よくわからねえが、あんた、派遣されたって言ったか？ だったら見逃してくれよ！ このレアメタルの山分けで手を打たねえか？ なあ、頼むぜ！ 助けてくれよ！」 16
2022-12-23 22:20:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「助かりたいかね？では、問題だ。朝は４本足、昼は２本足、夜は３本足の生き物とは何か？」ナムアミダブツ！困惑するマイナー２人を前に、ニンジャは突如、謎掛けを行った！「……エッ！？足の本数が時間で変わる！？サ、サイバネなのでは！？」アニメ刺青は狼狽した！「難しすぎて解りません！」 17
2022-12-23 22:22:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「待て！昔、聞いたことがあるぞ！……人間！答えは人間だ！」モテギは冷静な判断力と知性を示し、クエスチョナーに向けて言い放った！「朝は赤子のハイハイ、昼は二足歩行、夜は老人の杖で３本だ……！」 18
2022-12-23 22:25:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「おめでとう、君は正解だ。しかし……」クエスチョナーは何かを投擲した。それは一瞬の腕の閃きだった。モテギの隣にいたアニメ刺青の額に、クエスチョンマーク型の金属片が突き刺さっていた。モテギは知る由もなかったが、これこそはニンジャの用いる神秘の投擲武器、スリケンの一種であった。 19
2022-12-23 22:28:55