【『海底軍艦』代替作品説は本当か?】

『海底軍艦』は「頓挫した企画の代替作品として急遽作られた」というのが定説のようになっています。今年開催された複数の特撮展覧会でも、そうした意味の解説が掲示されていました。でもそれはほんとうなのでしょうか?
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perry_lawton KUBO @perry_lawton

【『海底軍艦』代替作品説は本当か?】① 『海底軍艦』は「頓挫した企画の代替作品として急遽作られた」というのが定説のようになっています。今年開催された複数の特撮展覧会でも、そうした意味の解説が掲示されていました。でもそれはほんとうなのでしょうか?(続く) pic.twitter.com/7KeBq6gR5j

2022-12-22 19:02:24
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② 東宝は1963年5月に製作ラインナップ54本を一挙発表。『海底軍艦』もそこに名を連ねて、正月作品に内定と報道されました。決定稿印刷台本は9月15日付で完成。 これは「代替として急遽」どころか、年末公開の正月映画としては計画的かつ余裕のある流れだったといえます。(続く)

2022-12-22 19:03:24
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③ ではなぜ「代替作品として急遽製作」という誤った話が流布されてしまったのか。それは、当時製作に直接関わったスタッフがそう証言しているからですね。また、1964年の新聞記事(画像参照)にも、「脚本が未完成のまま、撮影にかかり」などと間違ったことが書かれています。(続く) pic.twitter.com/DmenaNczVB

2022-12-22 19:04:09
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④ この食い違いが生まれたのは、実際の経緯の複雑さが原因だと思われます。 Aという作品の前にBという作品を作るはずが、Bが間に合わなくなったのでBを中止して急遽Cに切替え、Cの脚本が未完成のまま撮影に入り、Cの撮影が押してDの撮影開始が遅れた、というのが実際の流れだったようです。(続く) pic.twitter.com/TGFAtkfjCz

2022-12-22 19:04:43
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⑤ 新聞記事にある「脚本が未完成のまま撮影に入った作品」とは先のツイートの作品Cで、『海底軍艦』はDです。 このドミノ倒しの経緯がややこしいので、それが圧縮されて伝わるうちに、新聞記事やスタッフ証言などで、『海底軍艦』が急遽代替作品だったということになってしまったのでしょう。(続く)

2022-12-22 19:05:41
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⑥ 『モスラ対ゴジラ コンプリーション』に書かせていただいた「プロジェクト『モスラ対ゴジラ』」では、「海底軍艦デマの払拭」を隠しテーマとして、実際には何があったのか、簡潔ながらまとめてみました。ご一読いただければ幸いです。(おわり)

2022-12-22 19:06:05