1967年10月21日、香川県高松市生まれ。国語辞典編纂者(出版社社員ではありません)。『三省堂国語辞典』編集委員。著書『日本語はこわくない』PHP、『日本語をもっとつかまえろ!』毎日新聞出版、『知っておくと役立つ 街の変な日本語』朝日新書、『ことばハンター』ポプラ社 他。『気持ちを表すことばの辞典』ナツメ社 も監修。
本日放送の「第73回NHK紅白歌合戦」は、昨年より10分早い19:20からとのことですね。例年どおり、この機会に番組で歌われる歌詞や交わされる会話の中から、辞書作りの上で参考になることばを採集し、ツイートしていきたいと思います。よろしければお付き合いください。
2022-12-31 18:45:00今年2022年は、1月に『三省堂国語辞典』第8版が刊行され(書店に並んだのは昨年末)、私としては、ひとつの節目を迎えた感じです。第8版は多くの方に好評を持って迎えられ、感謝しています。今は、そのうち出るかもしれない第9版のためにことばの観察と分析を続けているところです。
2022-12-31 18:45:24「紅白」で採集したことばが、ただちに『三省堂国語辞典』に載るわけではありません。ただ、Official髭男dism「Pretender」の「世界線」、星野源「うちで踊ろう」の〈重なり合うよな〉の「よな」、天童よしみ「あんたの花道」の「なりゃこそ」など、地味に改訂作業の資料となった歌詞は多いです。
2022-12-31 18:45:44「第73回NHK紅白歌合戦」が始まりました。前回の番組ロゴは、赤と白がグラデーションでつながり、対立を排する印象がありましたが、今回の番組タイトルには色分けもなく、ハートマークで和合を象徴しているようです。ウクライナで戦闘が続く今ならではのメッセージ性を持たせたのでしょうか。
2022-12-31 19:21:56SixTONES「Good Luck!」でさっそく〈叶えたい夢があんだ〉という口語形を採集。「あんだ←あるんだ」の変化は、辞書の巻末で説明していますが、もっと説明を加えたいところです。
2022-12-31 19:25:18@IIMA_Hiroaki 「あるんだ」を「あんだ」と略すJ-POPの歌詞はMr.Children「365日」にもありますね。2010年の曲なので12年前です。 j-lyric.net/artist/a001c7a…
2022-12-31 19:51:20天童よしみ「ソーラン祭り節」は、〈漁海(うみ)よ〉〈豊年万作(4字で「まんさく」)〉など、独自のルビが多いですね。演歌は一般に当て字・アテ読みが多い傾向があり、毎年の注目点です。
2022-12-31 19:27:41緑黄色社会「Mela!」は、頼りなそうな僕が〈かっこいい君〉に語りかけていますが、相手は女性でしょうか。「君が僕のヒロイン」でなく〈君が僕のヒーロー〉と言っているところから、男女を超えたメッセージという気もします。
2022-12-31 19:31:57郷ひろみさんの歌のバックに平成っぽい雰囲気の人々が多数。並んで踊っている少女たちはコギャルでしょうか。ちなみに、「コギャル」など平成の世相を表すことばのいくつかは『三省堂国語辞典』からは残念ながら割愛しました。
2022-12-31 19:34:45なにわ男子「初心LOVE」には〈何度も見返すタイムライン〉とSNSを見ている場面が。ポップスには、ポケベルとかピッチとか、その時々のコミュニケーションツールが出てきます。今のところ、LINEやツイッターの出てくる曲はほかに思いつきません。
2022-12-31 19:40:53水森かおり「九十九里浜」の〈ヒュルヒュルと 海鳥(とり)が舞う〉は、飛行する擬音ではなくて、海鳥の鳴き声なんでしょうね。とすると、森昌子「越冬つばめ」の〈ヒュルリ ヒュルリララ〉を連想します。関連あるでしょうか。字幕の色が一部変わっていて驚きました。
2022-12-31 19:44:46LE SSERAFIM「FEARLESS」で〈傷さえも……恐れ無いわ 無いわ〉と歌っていました。「恐れない(=恐れぬ)」の意味か、「恐れが、無い」の意味か。漢字からすると後者ですが、両者の区別を軽々と飛び越えているのかもしれません。
2022-12-31 19:48:32@IIMA_Hiroaki たぶん、意図的に両方の意味でとれるようになっていると思いました。
2022-12-31 20:30:26原曲の歌詞 겁이 난 없지, 없지 をそのまま活かしたのかな?と思っていましたが、本当のところはどうなのでしょう? twitter.com/iima_hiroaki/s…
2022-12-31 20:08:28Saucy Dog「シンデレラボーイ」に〈好きって言わんでよ〉と突如関西弁っぽい歌詞が出てきたので、作詞の石原慎也は関西の方かと思ったら、島根出身なんですね。島根も「言わん」の圏内ですが、歌詞だと関西みが出ます。
2022-12-31 19:52:59山内惠介「恋する街角」は、「夢待ち通り」「夢はしご」「夢はしゃぎ」「夢さがし」と、臨時の造語が盛りだくさんな歌です。小椋佳「夢芝居」のように、印象的な造語は新鮮なイメージを喚起させる効果があります。
2022-12-31 19:57:21日向坂46「キツネ」に〈興味ないフリをしてる〉とカタカナが出てくる。『三省堂国語辞典』は「前フリ」の意味の「フリが長い」などはカタカナで書くことはすでに把握していますが、「興味ないフリ」のような何気ない表記はノーマークでした。
2022-12-31 19:59:43milet「Fly High」はウィンタースポーツ応援ソングですが、〈見たことのない景色まで〉飛べる、というのはスポーツらしい表現ですね。『三省堂国語辞典』第8版では「景色」の項目に「優勝して、見てみたい―がある」の例文を入れました。
2022-12-31 20:08:23NiziU「CLAP CLAP」は手をクラップして地球の裏までもつながろう、という曲ですが、私なんかは坂本九さんの歌った「幸せなら手をたたこう」を思い出してしまうわけです。あの歌の令和バージョンはこうなるのか、と感慨があります。
2022-12-31 20:10:53鈴木雅之「違う、そうじゃない」の〈手の平返しなんて 君が思ってる程/器用な僕じゃないさ〉。この「手の平返し」は『三省堂国語辞典』では最新の第8版で入れたことばです。この歌は1994年の歌とのことなので、辞書に載せたのがずいぶん遅かったということですね。
2022-12-31 20:13:42BE: FIRST「Shining One」の〈響き合うほどに踊り出す鼓動〉。この「響き合う」は『新和英大辞典』では項目があって、sound togetherなどと説明されていますが、主な国語辞典には載っていません。載っていていいことばという気もしますね。
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