うさぴょん140字小説まとめ5

うさぴょんが書いた140字小説12月分の投稿です
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うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

等間隔で並べられたガラスの棺の中で少女たちは眠っている。   薔薇色の頬、黒檀の黒髪、蛇の舌のようにちょろちょろとい動く炎に照らされた少女たちの美しいこと!怪盗は悦に入った笑みを浮かべた。魂を取ってよかった。−怪盗に魂を盗られた少女たちはこのままずっと眠り続ける−

2022-12-08 00:10:39
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

窓の外をみたら五歳ぐらいの女の子が、一人で歩いていた。時計を確認すると夜の十時過ぎ。五歳児が出歩く時間ではない。「ねえ、君。迷子かーい」   女の子はゆっくりとこちらを見た。背筋がモゾッとした。全く予備動作がなかったから。  女の子は、首だけ三百六十度回転させてこちらを見たのだ。

2022-12-10 05:06:29
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

占い師が若い男の手相を見た。 「これはこれは。珍しいですね右手と左手で運勢が違います。理由に心当たりは」  「さあ、心当りと言っても…。この右手はつけかえたばかりなので」  男は本物そっくりの義手を動かした

2022-12-14 22:15:40
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

友達と一緒に山奥にある崩れかけた空き家で肝試しをした。  帰ってきてからしばらくしてから右耳の調子が悪くなった。   あんなところで肝試しをしたせいかもしれないそう思った俺は自称霊能者に相談した。大きな目の霊能者は俺をまじまじと見て一言。 「これは…耳鼻科に相談してください」

2022-12-18 22:37:34
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

「幽霊がここにいるって噂があるから写真に収めてやる」  友人は道路の端に座ってカメラを構えた。その目は星をちらしたようにキラキラしてて。なので…言えない。  幽霊の正体は君だよって。カメラをかまえた君を見た人が幽霊と勘違いしたんだよって。そんな事は絶対に言えないし言わない。

2022-12-20 22:30:46
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

サンタの奥さんはサンタさんが家に帰ってくる時間に合わせて美味しいシチューを作る。トナカイには美味しい苔を用意する。サンタさんのお手伝いの妖精達にもミルクを一杯ずつ。サンタさんがお家に帰ってくるのは二十五日の夜遅くだ。サンタさんが奥さんにプレゼントを渡してからディナーがはじまる

2022-12-24 06:32:03
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

変な夢を見た。闇の中に女がいる。女の首だけが白く浮かび上がっている。椿の花がぽてと花だけ落ちるように女の首が落ちた。女は首だけでニィと笑った。この女は俺のファムファタールだと思った。それから一週間後、夢の女とそっくりな女が隣の家へ越してきた。来年はこの女に振り回される年になりそう

2022-12-31 08:06:31