尾崎将也の脚本に関するつぶやきをまとめました(2022年版)

twitterに昨年一年間に書いた脚本の書き方・勉強の仕方についてのつぶやきをまとめました。 noteで「尾崎将也の<全部入り>脚本講座」の連載をしています。https://note.com/ozakimasaya 書籍『3年でプロになれる脚本術』も合わせてお読みください。https://www.amazon.co.jp/dp/4309277845/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_AuxkCbWV6N63T
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尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

《初心者が書くプロットのよくある問題》①自分が全く知らない世界を題材に選んでしまう。②過去の事情や背後にある問題を作り込むことで安心してしまい、ストーリー作りがお留守になる。③表面的な現象を追う段取りをたくさん作ってストーリーが出来たと錯覚し、本質に切り込むドラマ性が疎かになる。

2022-01-14 12:38:04
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

@SheiYaogennimen ①は身近なことを題材に選べばいいだけなので簡単です。②と③は「そういう問題が起こりやすい」と認識した上で試行錯誤して行くということかと思います。

2022-01-14 13:53:09
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

脚本の初心者は、関連しそうな要素をたくさん入れた方が面白くなるのではと思うようですが、勘違いです。必要ないことがたくさん入っていると本当に必要なことが埋没して却ってストーリーの軸が見えなくなります。作品のコンセプトやストーリーの軸を明確にすれば何が必要か否かが判断できるはずです。

2022-01-20 11:45:24
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

脚本でも小説でも、情報量の多い作品を一回目に読むときは情報を把握することに頭が行ってしまい、二回目に読んでやっとキャラクターやその心情がわかるようになるということがあります。普通は作品を読むのは一回だけの場合が多いので、このことは考慮すべきではないかと思います。

2022-01-31 13:13:00
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

小説はまだ立ち止まって前のところを読み返すことができますが、脚本の場合は完成した映像作品を見ていてわからないところがあってもどんどん流れてしまうので、余計に情報量が適切かどうか慎重であるべきです。

2022-01-31 13:51:06
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

映画を分析するときは、ストーリーの軸というか核となるものを発見して、それを端的に言葉で言えるようになると、それぞれのシーンが何のためにあるかがわかり、全体の構造が見えるようになります。

2022-02-22 15:14:28
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脚本を書くときは「大嘘はついても小嘘はつくな」と言われます。大嘘とは例えばタイムスリップすること。小嘘をつかないというのは、その時代に何があって何がないかなどをちゃんと調べるということ。それによって観客はその大嘘に乗っかることができます。生徒の作品は小嘘の集合体になりがちです。

2022-03-04 11:13:13
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脚本の中身と関係ない話ですが、生徒の原稿は「きちんと見やすい書式になっており誤字脱字も少ない」のと「書式が読みにくく誤字脱字が多い」に大別されます。普段から仕事などでこういうことに注意するのが習慣になっているかどうかの違いかなと。後者の人は無自覚なことが多いので気をつけましょう。

2022-03-14 12:42:45
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アイデアが「天から降りて来る」みたいな言い方をしますが、正確ではないと思います。アイデアは自分の脳の無意識の部分から出て来ます。それが生まれるには、普段から脳にせっせとインプットをする必要があります。ここでも「無から有は生まれない」という原則は変わりません。

2022-03-17 12:35:29
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脚本家を目指す若い人で白黒映画に抵抗がある人は、早いうちに克服した方がいいです。勉強の成果を上げるには昔の白黒映画の名作を見ることは必須です。今回の百本のリストのうち44本が白黒映画です。ここで紹介するものを何本か見れば、昔の映画にもものすごく面白いものがあることを知るでしょう。

2022-03-18 21:28:40
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脚本の直しには、本質に関わる直しと本質に関係ない物理的な直し(例えば「長いから短くする」とか)があります。物理的な直しで本質が影響を受けるのは避けたいですが、たまに成り行きで中身も良い方に変わる場合も(短くしたらテンポが良くなったとか)。それはやってみないとわからないものです。

2022-03-26 21:04:30
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僕の脚本の書き方は、作品全体でも個々のシーンでも、初めから完成したものを書くというより、適当でいいから何か書いて、それに手を加えて直して行く、という方法が合っているようです。書いたものを見て何が違うか、何が足りないか考える方がゴールが見えやすいというか。人それぞれだと思いますが。

2022-04-07 16:27:11
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生徒が学ぶべきはhow(どう書くか)であって、what(何を書くか)は自分が知っていることを選ぶべきです。ある生徒がよく知らないのに刑事の話を書こうとして、僕は刑事の仕事の説明に長時間を割いてしまいました。講師にwhatのレクチャーを受けないと書けないような題材は選ぶべきではないでしょう。

2022-03-31 10:39:34
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前回、よく知らずに刑事の話を書こうとした生徒が、舞台を自分の生活圏内に変えてプロットを書いたら見違えるほどよくなりました。全体に地に足が着いた感じになり人物の言動に説得力が出ました。二週間ほどで実力が大きく変わるわけもないので、設定の変更で自然と引き出されるものがあるのでしょう。

2022-04-14 21:13:09
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ストーリーには「推進力」とか「エンジン」とか言われるものが必要です。主人公の「動機」(好きな人を守りたいとか)と大体同じものだと思いますが、推進力とかエンジンとか言う方が「前に進む」というニュアンスがあってわかりやすいのでは。ドラマは停滞せず進まないといけないので。

2022-04-21 16:39:39
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「ドラマには推進力が必要」とか言いながら、『結婚できない男』に推進力ってあったっけ?と考えるとよくわかりません。桑野は「俺のことはほっといてくれ」と思うだけで強い意志で何かを成し遂げようなどとしないし。なので僕はいつも生徒にあの作品を参考にしないように言っています。 twitter.com/ozakimasaya/st…

2022-04-21 17:38:28
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僕の体感ですが、「ストーリーの型」を何十種類知ってたら脚本が書けるというよりは、映画を見て「これはこういう型だな」「これはあの映画と共通した型だな」というような思考をひたすら繰り返していると、いつしかストーリーとは何かがわかってくる、という感じです。

2022-04-23 21:54:53
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本打ち(脚本の打ち合わせ)は、話し合って「よし、これでもっと面白くなる」と皆が思える状態を目指すもの。誰かが誰かに意見を押しつける場ではありません。脚本家であれ他の人であれ「本当はこうすべきだと思うんだけ」と不満を残して終わるようだと、その本打ちはうまく行ってないということです。

2022-05-08 14:33:02
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脚本を書いている途中で、ふと立ち止まり「もう一段深掘りできないか」と考えることは大切です。ついお手軽な一般論で済ませて先に進んでしまうことがないように。例えば、身近な人が死んだら悲しいのは当然として、悲しい以外の感情(どこかホッとするような気持ちなど)が何かないか考えてみるとか。

2022-05-11 11:57:48
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脚本の打ち合わせの面白いところは、「Aにしよう」「Bの方がいいのでは」と議論しているうちに「Cは?」と思いついたりするところ。そしてCはAやBよりいい案である場合が多いです。「Aにしよう」「いいですね、ではAで」で終わっていたら、よりよいCは生まれなかったのです。

2022-05-17 12:01:00
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OKになったプロットを元に脚本を書いても書くうちに色々と変わります。ではプロットは適当でいいかというとそうでもなく、色々変わったとしてもプロットがあったから書けたというのも事実です。プロットをこれ以上詳しく書いても仕方ないので脚本に移ろうという適切なポイントがあるのだと思います。

2022-05-22 13:14:58
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

一般的に脚本家は早く脚本に入りたいという気持ちがあり、プロデューサーは詳しいプロットがある方が安心ということがあります。この両者でバランスを取ってどこから脚本に入るかを判断するわけです。

2022-05-22 13:21:08
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生徒の脚本の対する指導を、「これで完璧だ」と言えるまで時間無制限でとことんやったらどうなるだろうかと考えたら、結論は「生徒本人ではなく尾崎が書いたものになってしまうだろう」でした。解決法を与えれば作品はよくなるでしょうが、生徒本人ができるようにならないと意味がありません。

2022-05-24 10:55:29
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

プロの場合は脚本を短時間で放送できるものにしなくてはならず、脚本家の成長を目的にしているわけではないので、解決法は誰が思いついたものでもいいのです。一方、教室では生徒本人が書けるようになることを目指さないといけないので、長期的な視点で勉強法や心構えを伝えることが大切になります。

2022-05-24 11:04:35
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

登場人物の変化には「量的変化」と「質的変化」があり、この使い分けが必要です。一般的には量的変化より質的変化の方がインパクトが強いです。例えば「ちょっと好き」が「すごく好き」になるより、「嫌い」だったのが「好き」になる方がストーリーの展開として大きく強い気持ちに感じられます。

2022-05-26 14:19:11
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