デジタル・デビル・ストーリーの原作者、西谷史先生ご自身が語られた当時あれこれや作品に関する呟きなどをまとめました その4(2023/01〜)
今年も、伊勢神宮に、初詣。 病床の友人が、「娘が札幌から伊勢に来て、夜明け前の神域に入り、昇る朝日に俺の平癒を祈ってくれたんだ…」 と、嬉しそうに語るのを聞いたのは、8年ほど前のこと。 それから毎年お伊勢さんにお参りするようになった。 pic.twitter.com/1pPiMRT4jq
2023-01-01 20:09:45こちらは、かつて正殿があった場所で、新御敷地と呼ばれる。今度の遷宮ではここに正殿が建つ。 なにもないこの空間が、とても美しい。 pic.twitter.com/CWJZKJpQ3N
2023-01-01 20:10:35@siitake_aji おめでとうございます。 今日は車で行くと地獄を見そうなので、JRでいったのですが、駅まで往復で6000歩。 ただし、今回は外宮は本殿だけ、別宮は内宮さんの荒祭宮さんだけだったので、あわせて12000歩くらいだと思います。別宮を全部訪ねると、たいへんそう…
2023-01-01 22:34:02僕がお参りした時間帯、いちばん参拝に時間がかかったのは、内宮正殿ではなく、内宮の荒祭宮でした。 神様には和魂と荒魂があり、個人的な願い事はパワフルな荒魂にすべきというのが浸透してきて、荒魂を祀るところでは、みんなすっごく長く祈る習慣がついてきたみたい… pic.twitter.com/s6MVYRSqaj
2023-01-01 22:53:49(小説を書き始めたわけ) 19歳のころ、札幌市北33条に住んでいた。 僕は占いが得意で、占いの好きな学生が、「きみの占いは当たるんだってね」と、訪ねてくることがあった。 当時、西洋占星術のできる人は少なく、タロットがようやく認知され始めた時代だった。 pic.twitter.com/595tjssjOU
2023-01-02 20:41:59関西出身のTくんとは、占いを通じて友達になった。 彼は易や手相が得意で、ある寒い二月の夜「きみのこれからを占ってやる」といってぼくの手相を見て、語り出した。 「君は音楽家になりたいそうだが、ダメだね。運がない」 遠慮なくそう言われて、ムッとした。 pic.twitter.com/hqRSAK8zg3
2023-01-02 20:42:52「じゃあ、俺はどうなるんだよ」 「会社に勤めた後…小説を書く。そしてすぐにヒット作を出して作家になる」 「えっ? 俺は小説なんて書いたことはないよ」 「いや、書くんだよ」ストーブの炎が映った瞳で僕を見つめ、彼は憑かれたように喋りつづけた。 pic.twitter.com/yJpXZ5PU8C
2023-01-02 20:43:42「ただし順調なのは最初の10年。後はいろんなトラブルがあって苦労するぞ…」 まるで、僕の未来を見てきたように断言すると、彼は瞼を閉じて煙草を吸い始めた。 僕が小説を書き始めたのは、それから2年後、音楽では自分のやりたいことをできないと悟った後だ。 pic.twitter.com/YoeDlCSU8F
2023-01-02 20:45:22働きながら、小説を書き始めてすぐ、新人賞の選好に残ったので、たぶん適正はあったのだろう。 当時、彼の占いは当たったと思い、彼の占いを信じた。 そして作家になった後は、彼の占いのようになるまいと努力した。 しかし、人生のだいたいが彼の占ったとおりになったと感じた30年後、彼を訪ねた。 pic.twitter.com/NneyCfr5bf
2023-01-02 20:46:19関西の湖畔のホテルで、久しぶりに会った彼は、20代の頃のように眉目秀麗で、頭も冴えていた。 むかしを懐かしんだ後、「俺の人生は、ほぼ君が占ったとおりになったよ。君の占いはすごかった。いまでも、人を占ってるのか?」 そういうと、彼は怪訝そうに僕を見た。 pic.twitter.com/aB6BiJydbW
2023-01-02 20:47:20「お前の影響で占いをやったけど、すぐやめたよ」 「えっ? だけと、あの夜…」 僕が19歳のころの彼の占いの話をすると、 「すまん。まったく覚えてない。確かに、お前のことを占った覚えはある。でも、そんなこと俺が言った? 言うはずないよ」 彼は煙草に火をつけると、怪訝そうに僕を見つめた。 pic.twitter.com/wVt9vE5L54
2023-01-02 20:48:24僕の一生を左右した占いを、彼は何一つ憶えていないと知って、僕は呆然とするしかなかった。 ふと窓の外を見ると、冬の、静かな湖面が広がっていた。 それもいいか。それで『女神転生』や『神々の血脈』他のタイトルが生まれたのだし、それが自分の役割だったのだろう、と思えてきた。 pic.twitter.com/1g4oeAipOb
2023-01-02 20:49:31@kondoukoushi 実話ですが、いい話なのか… ほかの人から見てそうなら、話してよかった、と思える
2023-01-02 20:55:16@kick16rensya そうかもしれない。でも、彼が「憶えてない」といったときは、足下の床が消失したような気がしました
2023-01-02 21:28:28@shikobuti 当事者として、そこまでロマンチックには受け止められないのですね…むしろ彼が未来を覗いてくれていたほうが嬉しいですね
2023-01-02 21:34:09@catspow7 ありがとう。やっぱり、彼の占いを信じてよかったのかな、とも思えます。いまは…
2023-01-02 21:58:47@kitanokuma_m 信じます。ただ、その何者かが本当に喋ってよいものなのか、それとも沈黙したほうがよいものなのか、それがわからないです…
2023-01-03 10:58:08@ake_yumi 僕も、どちらかわからないです。でも、人の決断は、無数の人の意志に支えられている。あるいは、操られている。本当に独りで決めたこと、というのはほとんどないのでは、と思います
2023-01-03 11:05:23@kitanokuma_m 拒絶することができるかたは、素質がおありなのだと思います。でも、そうでない人も多くいて、そういう人は注意しないと、と思います。
2023-01-03 12:17:31@reona_MH4G 客観的に見るとそうかもしれない。でも、小説の主人公って、なってみると何ともいえない気持ちがしますね
2023-01-03 17:24:53外伝 中学生のころ、明日香の石舞台を訪ねたとき、僕は夢を抱いた。 音楽家になって、ピンク・フロイドと一緒に、ここで野外コンサートをやるんだ。 1976年、札幌の野外フェスに前座として出演し、プログレのオリジナル曲を演奏して受け入れられたとき、夢はさらに膨れた。 pic.twitter.com/hzvpxvUQNq
2023-01-03 17:29:11でも、時流にあわず、実力も及ばす、音楽家を諦めた後、いろいろな幸運が重なって作家になったあとも、その夢は捨てていなかった。 明日香を舞台にした、小説『女神転生』のシリースが成功したら、夢に近づけるかもしれない。そんな野心が心の中でくすぶっていた。
2023-01-03 17:30:02でも、35歳になったとき僕は変った。 文化財でロックコンサートなんて無理だ。 いまさら演奏なんて、できるはずがない。 もっと作家として、あるいはクリエータとして実績を積むべきだ。
2023-01-03 17:30:34