モータル・ニンジャ・レジスター #6
「ウオオーッ!俺が相手だ!」ディヴァーラーがコンジャラーのカバーに入る!「その体で!」彼は激昂した。「もう一度俺のカラテをノーガードで受けられるのかよッ?エエッ!?お前は手詰まりなんだよォーッ!」鈎棘の生えたブレーサーがボンボリの光を禍々しく反射する! 24
2011-10-22 23:09:17ニンジャスレイヤーの決断的な双眸にはしかし、少しの逡巡も無い。「……手詰まりだと?」両手にカラテを漲らせ、彼はディヴァーラーに突き進む。「オヌシは既に私に敗れた。蛇足だ」「イヤーッ!」ディヴァーラーが襲いかかる! 25
2011-10-22 23:28:52振り下ろされるディヴァーラーのケズリ左手チョップ!だがニンジャスレイヤーは上体をそらしてこれをギリギリのところで回避!「イヤーッ!」さらに繰り出されるケズリ右手チョップ!だがニンジャスレイヤーは床に両手をつき、逆立ちになってこれを回避! 26
2011-10-22 23:33:10「イ、イヤーッ!」ケズリ右脚ケリ・キック!だがニンジャスレイヤーは逆立ちからそのまま側転し回避!「イヤーッ!イヤーッ!」左脚!右脚!ケズリ連続回し蹴り!だが側転から着地したニンジャスレイヤーは、背を向けた状態で上半身を深く沈め、ディヴァーラーの軸足のもとへ潜り込んで回避! 27
2011-10-22 23:37:32連続攻撃を回避しつつ、衛星軌道めいて周囲を巡りながら徐々に間合いを詰めてゆくさまは、さながらマイを舞うかのような荘厳な動き!当たらなければ削られもしない!これがジュー・ジツ!これがチャドー!フーリンカザン!そして両手を地面に突き両脚を突っ張らせた背向け姿勢!「バカな……」 28
2011-10-22 23:50:20「イイイ」弓を限界まで引き絞るがごときこの姿勢は、必殺の一撃の予備動作……!南米格闘技カポエイラにも見られる暗殺カラテ技、逆さ半月蹴り、すなわちメイアルーアジコンパッソ!ディヴァーラーは死の予感におののく。だが回避が間に合わぬ!「待っ…」「……イイヤァーッ!」「グワーッ!」 29
2011-10-23 00:09:20極限まで脚を突っ張らせて反動力を載せた逆さ半月蹴りは死神の鎌めいてディヴァーラーの側頭部を直撃!おお、ナムアミダブツ!一撃でその頭部を切断した!「サヨナラ!」ボディサットヴァ像の方向へ飛んでゆくディヴァーラーの首が叫ぶと、その身体は爆発四散した! 30
2011-10-23 00:19:13吹き飛んだ首は破壊されたボディサットヴァ像の首から吊るされたボンズに当たり、その下で膝をつくコンジャラーの目の前に落下した。だがコンジャラーとて強力なニンジャだ。悲鳴など上げはしない!ディヴァーラーが命を捨てて稼いだ時間により、彼のジツは完成したのだ!「見るがいい!」 31
2011-10-23 00:22:13コンジャラーが叫び立ち上がる……ゴウランガ!一瞬後、そこには実に40体もの同一存在が、ボディサットヴァ像のもと、ずらり立ち並んでいるではないか!『『『いかなニンジャスレイヤーと言えど、俺の最大ブンシン=ジツを破ることはできん』』』40体が同時にニンジャスレイヤーを指さす! 32
2011-10-23 00:27:34しかしニンジャスレイヤーはメイアルーアジコンパッソの回転反動を殺さず、その場でコマめいて回り続けていた。その地球的自転速度は見る間に等比級数的に上がってゆく……タツマキめいた回転だ!40体のコンジャラーは何らかの予備動作を阻止すべく、ニンジャスレイヤーめがけ一斉に駆け出す! 33
2011-10-23 00:35:26『『『イヤーッ!』』』40体のコンジャラーは同時に跳躍!同時にニンジャスレイヤーめがけ跳び蹴りを繰り出した!なんたる流星めいた回避困難突撃!これではニンジャスレイヤーも先程のセオリーを用いる事はできない!だが彼は回転し続ける……その回転が臨界点に達した、その時! 34
2011-10-23 00:49:42「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーのタツマキ回転の中から、放射状にスリケンが射出された!数には数!おそるべき枚数のスリケンが宙を飛ぶ!ニンジャスレイヤーへなだれこむ跳び蹴りのコンジャラーはスリケンに射ぬかれ消滅!また消滅!さらに消滅!……消滅!消滅!消滅!消滅!消滅! 35
2011-10-23 00:58:06「な、グワーッ!?」コンジャラー本体がスリケンを受け地面に落下!その時既に残る鏡像体は3体に過ぎなかったが、それらも消失!ニンジャスレイヤーは陸上選手めいて、落下したコンジャラーに向かってスプリントを開始する。コンジャラーは慌てて立ち上がろうとした。「待っ…」「イヤーッ!」 36
2011-10-23 01:03:59ダッシュしながらの地獄めいた蹴り上げがサッカーボールめいてコンジャラーの顎下を直撃!おお、ナムアミダブツ!一撃でその頭部をそのまま蹴りちぎった!「サヨナラ!」ボディサットヴァ像の方向へ飛んでゆくコンジャラーの首が叫ぶと、その身体は爆発四散した! 37
2011-10-23 01:09:59コンジャラーの頭部はボディサットヴァ像に吊るされたボンズにぶつかり、落下して、ディヴァーラーの頭部の隣にコロコロと転がった。ナムアミダブツ……高速自転から繰り出す嵐のごときスリケン投擲「ヘルタツマキ」は、ディヴァーラーが存命であれば発動前に阻止できたやも知れぬ。だが……。38
2011-10-23 01:15:22ディヴァーラーを葬った、極限まで力を溜めたメイアルーアジコンパッソにしてもそうだ。コンジャラーがジツを待たずインターラプトに入れば、あるいは。だがしかし、彼らとてチームワークに乱れがあったわけではない。判断のミスがあったとも思えぬ。そう、全ては……インガオホー。 39
2011-10-23 01:17:45ニンジャスレイヤーのスリケンが飛び、死んだボンズを吊るす縄を切断した。哀れなボンズの死体は砕けたボディサットヴァ像の膝の上に落下した。抱かれるように。ニンジャスレイヤーはボンズの瞼に触れ、目を閉じさせた後、転がる二つのニンジャの生首のもとへ歩いた。そしてそれらを掴み上げた。 40
2011-10-23 11:58:57「ヤメロー!ヤメロー!」暑い、なんたる暑さであろうか。広間は異常高温で満たされ、吹き上がる蒸気と陽炎によって、あらゆるものの姿が歪んで見える。巨大な鋼鉄製バッファローデーモン像が厳しく鉄棒を地面に突き立てる禍々しき祭壇には、鉄の大釜が備えられている。 43
2011-10-23 12:14:47蒸気のもとはこの危険な装置だ。大釜のたもとではリベット付きの革ベルトとフンドシだけを裸体に身につけた四人のスモトリが忙しく働き、大釜に火を絶やさぬよう腐心している。その側では病的に痩せたニンジャが恐ろしいムチを弄びながら、不備が無いか、虚ろな目で見守っている。 44
2011-10-23 12:18:59「ヤメロー!ヤメロー!」声の主は大釜の少し上に鎖で吊るされたニンジャであった。宙吊りの彼は激しくもがくが、無論、どうにもならない。大釜に満たされた液体は湯ではない。煮えた油だ。大釜の表面には赤いペンキで「カマユデ」とショドーされている。コワイ!「ヤメロー!ヤメロー!」 45
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