【バラード・ルナティック　完全版】福間健二tweet詩　fukuma10q

福間健二 @acasaazul

好きな人を迎えに行く途中、別な人に会って用事を頼まれ、引き返さなくてはならない。流れる雲の下。だれを迎えに行くのだったのか。忘れてはいないが、その人のことはもう口にできない。遠くの、静かな町が、静かなまま終わっている。さようなら。（バラード・ルナティック１）　#fukuma10q

福間健二 @acasaazul

好きだった。嘘じゃなかった。好きだった。歌だ。うたっている男はきっと盲目。夜の入口をまちがえて、はげしい雨にあう。びしょ濡れになり、手探りで進みながら、むかしの恋をうたう。こいつからどう逃げる。おい、いまの用事はそれじゃない。（バラード・ルナティック２）　#fukuma10q

福間健二 @acasaazul

薄暗い道。雨はあがっても、むっかし、むかっし、むずかしい昔への、無関心。「それもいいだろう」と「それではだめだ」の中間で、くたびれる戦争する人たち。それくらいなら感傷的なドライヴの方がいい。サイドカーにはまだ破滅していない小説家。（バラード・ルナティック３）　#fukuma10q

福間健二 @acasaazul

きみは、自殺を思いとどまり、きれいに洗ったグラスを見つめた。大半の人が知っている場面を焼き直して、そこに起こる陰謀とたたかう。何度目、何代目の坊ちゃんを夢見るのだろう。気がつくと、愛しいプリンセスの国に入っている。大街道までだね。（バラード・ルナティック４）　#fukuma10q

福間健二 @acasaazul

ひとりになったオートバイを停めて用事を思い出そうとする。お詫びと精算。それから何だったろう。松山のユキちゃんたち、銀天街のきびしい現実は、スカートをはかない。考えるヒント。考える前に「ことり」のうどんといなり寿司で腹ごしらえね。（バラード・ルナティック５）　#fukuma10q

福間健二 @acasaazul

くたびれる戦争がいやなら、くたびれるエッチはどうか。ポスターも番組表もないシネマローズの薄闇の中の馬とインディアン。ごめんね。「なにか心配ごとがあるならぼくに話してみろ、二つの頭でぶつかった方がいいこともある」と言ってくれたのに。（バラード・ルナティック６）　#fukuma10q

福間健二 @acasaazul

マイ・ビジネス。ひとりで、ひとつの頭で考える。この現状から「よりよい未来へ移っていこうとするところから出てくる」仕事が中心になる。その前に片付けること。それは何だったのか。訊く相手をまちがえてきたのか。だとしても、お城は見える。（バラード・ルナティック７）　#fukuma10q

福間健二 @acasaazul

「ぼくのようなちっぽけな人物を当局は監視などしない」とワン・ビン監督は言う。ほんとにそうならいい。ぼくはもっと自由だ。最初から。用事って何だったのか。もつ鍋、なぜか松山で無用の人となって食べる。ルナティック。狂うために引き返して。（バラード・ルナティック８）　#fukuma10q

福間健二 @acasaazul

木々の・緑のむこうに浮かぶ・学校を・素通りして・奇妙な機械の影を引きずる人が・大根畑に入っていくのを見た。狂えなくても狂ったふりで、口にできないことをこうして囁く。北にも・南にも・我慢しない・涼しい冒険を・季節の外で・だってさ。（バラード・ルナティック９）　#fukuma10q

福間健二 @acasaazul

ムーンライトシアター。どこの国のかわからない西部劇が終わった。インディアンの仲間になって狼煙の通信を打ちあげる。明日からNG 特集だよ！　オートバイも馬もないけれど、口笛が出て好きな人を迎えに行く気分。こんな月夜に歩けば、ね。（バラード・ルナティック10）　#fukuma10q