#civillaw 時間になりましたので、内田貴先生による「債権法改正の課題」という講演のtsudaりを開始します。現在内田先生の経歴を紹介中。ざくっとまとめると、「東大の民法の御大」です。
2009-12-19 13:02:19これは注意して頂きたいのですが、このtsudaりはあくまで僕が内田先生のお話を聞きながら重要であると思ったことを要約しているだけなので、内田先生の本来の趣旨と外れている可能性があります。内田先生の公式見解とは取られないようお願いします。 #civillaw
2009-12-19 14:57:23内田「現在の状況は法務大臣から債権法改正の抜本改正の要綱を示されたいという諮問が出され、11月24日から債権関係部会が設置され、今月22日に2回目の部会が開かれるということになっております」 #civillaw
2009-12-19 13:06:34内田「手続のスケジュールとしては、諮問を大臣に答申をし、それにしたがって法改正をするということになりますが、この期限というのは定めないということになりました。1年半をめど(来年3月くらいまで)に論点を整理したものを作る、ということを考えております。」 #civillaw
2009-12-19 13:07:54内田「それを公開し、パブリックコメントを出すということになると思います。新聞では2012年の通常国会に提出するといっていますが、法務省はそんなこと言ったことありません。新聞記者と接してわかりましたが、彼らは本当に勝手に書くんですね」 #civillaw
2009-12-19 13:09:18内田「今回の改正にはかなり日弁連の方から批判が多く、法務省審議会のペースでやられてはたまらないということですので、ゆっくりめにしていこうということで、期限を定めなかったということです」 #civillaw
2009-12-19 13:13:10内田「今回の民法改正に対して批判的な方はいますか?できれば具体的に批判を聞いてそれに応えるような講演会にしようと思っています」 #civillaw
2009-12-19 13:14:00@igaki による質問「今回の債権法改正ではたとえば危険負担の概念をなくして解除に一本化するということですが、これまで実務では特に何も問題もなく運用されてきたものをなぜ今改正する必要があるのですか?」 #civillaw
2009-12-19 13:15:15内田「なるほど、それは個別にお答えできる疑問ですので、あとでお答えすることにします。私が学者から一番よく聞く批判は、「会社法みたいになるんですか?」というものです。」 #civillaw
2009-12-19 13:16:30他の先生「会社法は社団と考えていたのを、組合契約的に考えるように変えてしまった。根本的に社団法理から組合法理に変わってしまったため、資本概念がいらなくなってしまった。そうすると弱者を救済するにはどうしたらいいのかわからない」 #civillaw
2009-12-19 13:18:51内田「今回批判されるのはなぜか、ということを考えていてなるほど、と思ったのは、私はWindowsXPを使ってるんですね。それがVistaというものに変えたら、全部使い方が変わってしまった。」 #civillaw
2009-12-19 13:20:39内田「しかしVistaだと今までやっていたことができないんですね。だからVistaは消してXPに戻した。民法というのはいろんな先生のベースにあるものですから、やはりそこを変えようとすると批判されるわけです。その批判に今日はお答えしようというわけです」 #civillaw
2009-12-19 13:22:04内田「他には一部の学者が作った案が民法改正に反映されるという批判がありますが、諮問委員会のメンバーは大半が裁判官や弁護士の実務家です。ですから、一部の学者だけが作る改正案というのはあり得ません。」 #civillaw
2009-12-19 13:23:53内田「これは今日ご理解頂きたいと思っていることですが、グローバルスタンダードに合わせようとしているんじゃないか、特にアメリカ式の民法にしているという批判があります。これは違うんだということは、これからお話ししようと思います。」 #civillaw
2009-12-19 13:25:10内田「それでは改正は何を対象としているかについてお話しします。民法典第3編第1章(総則)と第2章(契約)・第1編第5章の法律行為の部分・第6章の期間の計算・第7章の時効・消滅時効を対象とします」 #civillaw
2009-12-19 13:28:12内田「今回は不法行為は改正の対象としません。ただ不当利得については契約の巻き戻しという限度で議論の対象とします。事務管理についても同様の理由で議論の対象とします。これが現在考えられている議論の対象です」 #civillaw
2009-12-19 13:29:29内田「レジュメにカンボジアの民法典を載せていますが、これはかつてカンボジアが知識人を虐殺し、まったく法制度というものがなくなってしまった。そこで法整備の支援がカンボジアから日本に要請されました。私は関わっていないですが」 #civillaw
2009-12-19 13:32:01内田「パンデクテン方式というのはドイツ・日本・韓国・台湾・タイ・ブラジルだけで、世界の中では多数派ではありません。」 #civillaw
2009-12-19 13:35:44内田「以上が改正の対象の話です。次になぜ債権法改正が必要かという話をします。大きくわけて2つありますが、まず民法は市民のための民法典を作る必要性があるということ、そしてプラットフォームの共通化の必要性があるということです。」 #civillaw
2009-12-19 13:39:58内田「余談ですが、旧司法試験の口述試験で「民法改正に携わった三人の学者の名前を挙げよ」、という質問をした先生がいらっしゃるらしいのですが、再現集に「内田がこんな質問をした」と書いてあったんですね。ここでいっておきますが、私はそんなこと聞きません」 #civillaw
2009-12-19 13:48:49内田「梅謙次郎は学者としてボアソナードの作った教科書的な民法が気に入らなかったらしく、教科書的な記述は全部削除し、「例外だけ書いておけば原則は解釈から導ける」として原則的な規定も削除しました。」 #civillaw
2009-12-19 13:53:31内田「こういう民法ができてしまったので、実際に裁判に使うには具体的なルールが必要なわけですが、それは民法に書いていない。だから解釈に頼る必要があったわけです。そこで学説継受というものが始まりました」 #civillaw
2009-12-19 13:57:58内田「これはドイツから法解釈の理論を輸入してくるという流れのことです。本来解釈とは文章がどういう意味するかをくみ取ることですが、日本の場合は法文はさておきとりあえずドイツの解釈理論を持ってくる、ということが行われました。」 #civillaw
2009-12-19 13:59:18内田「しかし民法典にはフランスの民法理論も入っていますが、そこにドイツの解釈論を持ってきてしまったのです。その整合性というのも、当時はあまり顧みられませんでした。当時の学者というのは今より想像を絶するほど高い地位を持っていたんですね」 #civillaw
2009-12-19 14:00:32