【パイプ喫煙】カーボン神話をぶった切る・第一部 「カーボンをつけると美味くなる!?」
新品のパイプやエステートのパイプでカーボンが付いていない場合でも火を入れた瞬間から美味い場合が多い。反対にカーボンつくまくりのパイプでは余り美味くない場合がある。 これは何故ですか?? 私の技量かな?
2011-10-26 16:34:25@inosatsuki や、普通に<カーボンをつけると美味い>ってのは迷信なので。あんなの旨くもなんにもなりませんよ。煙草の味が薄くなるのでマイルドな味が好きな人には悪くないかもしれませんが。
2011-10-26 21:52:47いくらカーボンをつけてもパイプは旨くなることはない。クールにも、ドライにもなることはない。カーボンの質などということもまことしやかに言われるが、これも関係ない。厚くつけすぎると煙草のフレーバーを阻害する。端的に言うと味が薄くなる。よく言えばマイルド、だが煙草本来の味は損なわれる。
2011-10-26 22:00:28だがパイプ入門のようなものを読むと必ず「カーボンをつけると煙草の味が旨くなる」と判を押したように書かれている。初心者は何らかの形でこれを読むことになり、この神話をさらに加速させるわけだが、ではなぜこのような迷信が形成されたのだろうか。僕はそこにブライヤーパイプの発達史を見る。
2011-10-26 22:03:2319世紀半ばに登場したブライヤーパイプは1920年代ごろから、熾烈な品質競争に投げ込まれる。そこで典型的な売り文句はこうだ<私どものパイプは、一服目から甘く、ブレイクインを必要としません。>
2011-10-26 22:07:29それは裏をかえせば当時のブライヤーパイプは(意欲的なごく少数の会社の製品以外は)、「一服目はマズく」、「馴らしをしないとロクに吸えない」低品質なものが多数を占めていたということでもある。
2011-10-26 22:08:17フランスのパイプの聖地サンクロードを含むジュラ地方の民衆の間では、新品のパイプをおろすときには伝統的な作法があるという。すなわち火でもってブライヤーパイプのチャンバー内部を焦がし、ブライヤー特有の嫌な樹液の臭いを飛ばしてから吸う、というものである。
2011-10-26 22:11:20これは典型的なキュアリングをされていないパイプの挙動でもある。つまり当時の一般的な大衆用ブライヤーパイプは、熟成工程が大して施されておらず、ブライヤーの樹液・樹脂に満ちた大変臭いパイプであったと想像ができる。だからこそ前述したごく少数の会社がそこにビジネスチャンスを見出したのだ。
2011-10-26 22:13:45ここで第一の神話が形成される。つまりその当時の大多数を占めていたキュアがされていない、樹脂にみちた樹液臭い普及用パイプを吸うには、ブレイクインという過程が必須であり、カーボンを厚く形成することによってマスキングし樹液・樹脂の影響を最小限にして吸う、という慣習が完成したのだ。
2011-10-26 22:17:17つまり端的にいうと、カーボンをつけるという行為は、<臭くて低品質のパイプをどうにか吸うためのトリック>であったということなのである。
2011-10-26 22:18:55ところが1920年代から始まる熾烈な品質競争を潜り抜けたパイプ業界では、キュアリングは一般的になった。現在はブライヤーミルで最低限の処理はなされるため、低価格帯であってもある程度の樹液は除去されているのが一般的である。メーカーによってはもっと高度なキュアリングを独自に施している。
2011-10-26 22:23:23かつての先進的なパイプメーカーが提唱した「ブレイクイン不用」のパイプは人口に膾炙し、一般的になって大衆の手の届くものになっている。にもかかわらずカーボン必須論だけが取り残された。それ以前の時代の神話が、潮流が変わっても生き続けているというわけだ。
2011-10-26 22:26:14ということは現代のパイプ(ブライヤー)は昔よりも質が良いと言う事でしょうか?これは現代のファクトリー物と作家物、オールド物で差があるのでしょうか?よくオールド物が美味いと聞きますが?
2011-10-26 22:23:49@inosatsuki 一般的にオールド物というのは、当時大変高級品であり、先進的な思想を持っていたパイプメーカー(ダンヒル等が筆頭)をメインのターゲットにしています。古ければなんでもいい、というわけではないのです。
2011-10-26 22:34:17@inosatsuki つまり現代のパイプは底辺側の品質が大幅に向上している、と見ることができます。そこらのメーカーの低グレード製品を買ってきてもマズくて吸う気にもなれない、というようなことはあまりありませんから。
2011-10-26 22:37:29@inosatsuki さきほど触れた大衆用のパイプとは、当時の一般的な民衆が手にすることができたほとんど使い捨てのような低品質なものを指しています。これらのパイプはいくら古くとも、今吸っても吸えるようなシロモノではないでしょう。
2011-10-26 22:36:26