尾崎将也が選ぶ『名作映画100本ノック』①~㊿

脚本の勉強になる映画100本のリストの前半50本です。 中学の頃から見た何千本かの映画の中で、面白いだけでなく脚本の勉強になるものを選びました。これらを何回も繰り返し観て、さらに分析をしたことで今の自分が出来上がっています。 (※順不同です。番号が若い映画ほど優れているということではありません) 尾崎将也Twitter https://twitter.com/ozakimasaya
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尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

<名作映画百本ノック①>『ローマの休日』主人公はアン王女とブラッドレーのどちらか。主人公の貫通行動は何か。その行動を邪魔する要素は何か。デジタルに変化しないストーリーの設定とアナログに変化する感情がどうからみ合うか。これらを理解すると、かなりストーリー作りが身につくと思います。

2022-02-21 13:57:08
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<名作映画百本ノック②>『カサブランカ』主人公リックは通行証という有利なカードを持っているが、ライバルのラズロに共感して通行証を渡し、忘れていた大義に生きる自分を取り戻し友情を得る。自己犠牲の報酬に別の価値を手にするドラマの基本形。一見複雑なストーリーの核心を把握することが重要。

2022-02-22 10:51:23
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<名作映画百本ノック③>『風と共に去りぬ』僕がこの映画から一番学んだのはキャラの描き分けです。スカーレット、メラニー、アシュレー、レットは女二人・男二人のキャラを作るときの基本形。スカーレットとメラニーがライバルなのに友情があることも見ていて心地よい。 pic.twitter.com/KRaDdO2kj3

2022-02-23 14:36:04
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<名作映画百本ノック④>『ゴッドファーザー』父のヴィトーが主人公に見えますがドラマ的な主人公は三男のマイケル。マフィアの一員になるまいと思っていた彼が運命に巻き込まれ、やがて自ら父を継いでマフィアのボスになるまでの話。登場人物が多い三時間の映画も軸が見えるとスッと理解できます。 pic.twitter.com/OCMrs8qI9a

2022-02-24 13:25:09
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<名作映画百本ノック⑤>『ゴッドファーザーPART II』ドンとなったマイケルの現在の話と、アメリカに移民として渡った父・ヴィトーの過去の話を交互に描いてひとつの家族のドラマを紡ぎ出して行く高難度な技を成功させた作品(初心者は真似をしてはいけません)。一作目と続けて見る方がいいです。 pic.twitter.com/dMX6vqnN5w

2022-02-25 10:33:03
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<名作映画百本ノック⑥>『北北西に進路を取れ』「巻き込まれ型サスペンス」の典型。状況がわからず巻き込まれて行く前半と状況がわかった上で自ら行動する後半という構成。サスペンスとは何かを学べる教科書(ヒッチコックの作品はどれもそうですが)。そして「マクガフィン」のわかりやすい事例。 pic.twitter.com/8EEeHYRznC

2022-02-26 22:04:38
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<名作映画百本ノック⑦>『太陽がいっぱい』刑事の捜査ではなく犯人側のみを描いたサスペンスの傑作。主人公トムは人を殺し、犯行を隠すために色々な工作をし、殺した男の金と恋人を奪おうとする。観客は彼に共感し、犯行がバレないかハラハラする。犯罪者にこれほど共感させることができるという例。 pic.twitter.com/Rd1U2nDSxl

2022-02-27 21:23:02
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<名作映画百本ノック⑧>『近松物語』不義密通を疑われて逃亡した男女が、お互いの愛を確認して自ら不義密通を貫く話。「お前の今の一言で死ねんようになった」というセリフで鮮やかにドラマが転換。そのシーンを見たとき、僕は「そうか、これがドラマか」と理解できたような気がしました。 pic.twitter.com/cEXpvR8SfY

2022-02-28 18:49:14
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<名作映画百本ノック⑨>『ゴースト/ニューヨークの幻』ストーリーの軸は、殺された主人公が幽霊となって犯人を割り出し事件を解決するという「事件もの」。その動機に愛する人を守るためというラブストーリー要素が加わることで魅力的な作品となりヒット作に。脇役オダ・メイの魅力も光る。 pic.twitter.com/Bh4eCz9vDI

2022-03-02 22:19:36
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<名作映画百本ノック⑨>『ウォール街』成功を求める主人公が「金持ち父さん」と「貧乏父さん(実の父)」の間で揺れ動く話。最後には自ら代償を引き受けて「金持ち父さん」を告発し、実の父の元に戻る。アメリカ映画には父と息子の葛藤を描いた映画が多いということに気付かせてくれた作品です。 pic.twitter.com/216ktvrWC0

2022-03-01 18:34:31
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『ウォール街』と『ゴースト/ニューヨークの幻』がダブって⑨になっていました。なので今回はひとつ飛ばして㉑になります。『ゴースト/ニューヨークの幻』が⑳のつもりです。

2022-03-15 21:54:12
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<名作映画百本ノック⑩>『新幹線大爆破』次から次に起こる危機的状況、警察と犯人の行き詰まる攻防。観客を楽しませようというサービス精神満点のサスペンス。そこに犯人サイドの非常にセンチメンタルな心情描写が加わり、それが余計という意見もあるものの、それがあるからこそ愛すべき作品に。 pic.twitter.com/MCuYEnJC0L

2022-03-03 21:47:37
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<名作映画百本ノック⑪>『バック・トゥ・ザ・フューチャー』タイムスリップして両親の出会いを邪魔してしまい、二人をくっつけないと自分が生まれない危機的状況①が発生。そこに元の時代に戻れるか?という危機的状況②が同時進行する(タイムリミットあり)というエンタメ的シチュエーションの鑑。 pic.twitter.com/6NbX0w1G3O

2022-03-04 21:13:36
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<名作映画百本ノック⑫>『砂の器』ジャンルはミステリーですが、この作品から一番学べることは「観客の感情を揺さぶる」ということ。「感動」はもちろん、言葉では言い表しにくい「情緒」にあふれています。何度も見るとミステリーとしての欠点に気付きますが、それを遙かに凌駕するものがあります。 pic.twitter.com/hcCFOQUC7Y

2022-03-05 18:53:15
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<名作映画百本ノック⑬>『ミッドナイト・ラン』賞金稼ぎの男が逃亡した男を捕らえてロスまで連行しようとする道中、反目し合う二人の間に友情が芽生えて行く。「バディもの」と「ロードムービー」、両方のジャンルのお手本となる作品。この二人はもちろん二人を追う警察やギャングのキャラも面白い。 pic.twitter.com/LtMfwyr11i

2022-03-07 20:56:45
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<名作映画百本ノック⑭>『マルサの女』税務署と脱税者のバトルを描いた作品。脚本を書く者が一番学べるのは、徹底的な取材から面白いものを作るということ。欲しい情報をピンポイントで調べるのではなく、その世界全体を網羅的に調べ、そこから得た情報をちりばめながらストーリーを構成する手法。 pic.twitter.com/3f4vfPAmwA

2022-03-08 21:19:54
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<名作映画百本ノック⑮>『アニー・ホール』脚本を学ぶ全ての人がこの映画を参考にする必要はないかもしれません。でも『結婚できない男』を面白いと思い、どうすればああいう作品が書けるか知りたい人にはこの映画は必見です。偏屈なキャラから連発される皮肉なセリフを僕はこの映画から学びました。 pic.twitter.com/pvR4PQsu6F

2022-03-10 21:14:50
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<名作映画百本ノック⑯>『刑事ジョン・ブック 目撃者』撃たれた刑事がアーミッシュの村に匿われる。刑事と未亡人の許されないからこそ燃え上がる恋。そこに犯人が迫るサスペンス。刑事ものとラブストーリーが見事に融合した脚本。彼が村に溶けこむきっかけになる納屋を建てるシーンが屈指の名場面。 pic.twitter.com/3rtvY03cYJ

2022-03-11 23:33:03
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<名作映画百本ノック⑰>『偽れる盛装』京都の花街という古めかしい場所を舞台にしながらストーリー展開も人物配置も非常に精緻に計算された作品で(脚本・新藤兼人)、僕が生徒時代に綿密に分析した一本。ドライに見えるヒロインが実は母と妹のために動いている構造が見えると理解が深まります。 pic.twitter.com/hb83vztedt

2022-03-12 18:31:22
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<名作映画百本ノック⑱>『Wの悲劇』原作のミステリー小説を作中の舞台劇の原作にして、ストーリー全体はオリジナルという大胆な脚本。新人女優が先輩女優のスキャンダルの身代わりになってのし上がる成功、そして挫折。記者会見、カーテンコール、ラストシーンと三度泣けます。 pic.twitter.com/uHvsocjKEj

2022-03-13 21:23:23
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<名作映画百本ノック⑲>『アパートの鍵貸します』洗練されたコメディの代表的な作品。「上司の逢い引きに部屋を貸したら上司の愛人は主人公が好きな女性で、彼の部屋で自殺未遂をする」というシリアスな話が、描き方次第でコメディに。鍵やコンパクトなど小道具の使い方が勉強になります。 pic.twitter.com/PL1bYUuq8C

2022-03-14 20:36:55
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<名作映画百本ノック㉑>『七人の侍』名作中の名作なので百本のリストに入るのは当然ですが、自分がこの作品から何を学んだのか思い返すと「ただ楽しんだ」ことしか思い浮かびません。まずは学ぶのではなく、ただ楽しんでください。何度も楽しむうちに色々なことが自然と頭に染みこんでくるでしょう。 pic.twitter.com/nlKIogrcfM

2022-03-15 21:50:28
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<名作映画百本ノック㉒>『生きる』無気力な男が癌で余命が短いことを知り、生きる意味を探す。という概略だけ読むと地味な作品のようですが、黒澤映画はそうはなりません。非常に要素が多い、こってりとした作品。病院で癌を悟る場面、生きる意味に目覚める喫茶店の場面など参考になるシーンが満載。 pic.twitter.com/RjOxTXhFql

2022-03-16 21:02:26
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<名作映画百本ノック㉓>『ダーティハリー』アウトロー的な刑事が活躍する刑事ものの原型と言っていい作品。主人公ハリーのカッコよさと犯人スコルピオの不気味さ、二人の執念の対決が100分の中に凝縮されています。脚本と関係ありませんが、冒頭シーンを初め高低差を活用したカメラワークが最高。 pic.twitter.com/Nwknl4dj6n

2022-03-17 20:11:02
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<名作映画百本ノック㉔>『羅生門』芥川龍之介の短編『藪の中』と『羅生門』を合体させた脚本。要素としては前者がメイン。でも文学的というよりは、黒澤らしい映画的なエネルギーに満ちた傑作。人間の醜さを描きながら表裏一体の美しさをも描き、希望のある感動的なラストに。 pic.twitter.com/hmjSIpLgyG

2022-03-18 21:11:11
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