中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説

サッカーライター川本梅花さんによるツイッター版サッカー小説。
サッカー 小説
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@baika_kawamoto
ツイッター版サッカー小説は毎回約140×3で更新していきたいと思います。主人公は東京SCのP監督です。彼を巡る物語を綴ります。これはフィクションですから、僕の頭の中にある物語です。P監督は帰国子女で中学までオランダに住んでいました。元Jリーガーで日本とオランダのS級取得者です。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】練習が終わって監督室でたばこを吸っていると、ノックもしないで広報部の中林がドアを開けて勢いよく入ってきた。「すみません、監督」と息をきらしながら声にする。「どうした、なにかあったのか?」とPは慌てふためいている中林に視線を向ける。
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【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(2)「昨日の静岡FCとの試合前のことだったんですが、ある選手が新幹線の中でツイッターをやっていまして、そこに書き込んだ内容が問題で、その選手が遠征に帯同していることがわかる内容なんです」と一気にまくしたてる。「ツイッターか」とPは呟く。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(3)「それでどんなことが書いてあったんだ」とPは中林に問う。「それが…『新幹線なう』『もうじき静岡に着く』とツイートしてまして。営業部の岩本がさっき気づいて本人には厳しく注意しておきました。もちろんツイートは削除させましたから」。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】「なんのための非公開練習だったのかね」と言ってPは大きなため息をつく。チームが公式戦の前日、時には試合の数日前から練習を非公開にするのは、フォーメーションやシステム、そしてスタメンやサブメンバーを対戦相手に知られたくないためである。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(5)「まったく」と言ってPが次の言葉を続けようとすると、中林はすぐさま「今後このようなことが起こらないように選手全員をミーティングルームに集めて、ブログやツイッターでの発言には十分に注意するように伝えます」とPの言葉を先取りする。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(6)中林が部屋から出ようとドアのノブに手をかける。「それで、ツイートをしたある選手とは誰なんだ?」とPが尋ねると「それは」といったん躊躇してから「梅田でして」と答える。梅田は怪我で戦列を離れていた。復帰してからもベンチに入れないでいた。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(7)梅田はAC鹿児島から移籍して2年目になる期待のMFである。監督にとっては怪我が多く使いづらい選手の部類に入る。Pはゲームにアクセントをもたらす梅田のドリブルには注目していた。静岡FCとの前の試合に梅田を途中出場させて様子を窺う。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(8)Pのイメージ通りに梅田は相手のプレッシャーをドリブルで躱してチャンスを何度も演出した。彼のコンディションが上がったのを確認したPは、静岡SC戦にスタメンで出場させたのだった。中林は事を大げさにしたくないので梅田をかばう発言をする。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(9)「久しぶりのスタメン出場を告げられたので、誰かに話したくなってしまったんでしょうね。いや、まずいことですよ、これは。だから、私からもキツく梅田には注意しますから」と語気を荒げる中林に、「そうしてくれないか」とPは言うしかなかった。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(10)中林が監督室を出て行くと、2人の話を黙って聞いていたアシスタントコーチのデニス・カリヤ・マサシ(狩屋政志)がPに語りかける。「梅田が今回やったことに、まさか懲罰を与えることはしませんよね?」。「ああ、そんなことはしないよ」。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(11)「それならいいんですが」。デニス・カリヤは、日系オランダ人三世でPの幼なじみだった。カリヤはプロ経験こそなかったが、オランダのクラブチームでコーチをしていた。Pが東京SCの監督に就任する際に、オランダから連れてきた相棒だった。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(12)Pは皮肉まじりにFC船橋のトワイト監督の話をはじめる。「彼は、選手に禁止事項をたくさん与えていたらしい。それは私生活まで及んでいたそうだ。3枚の紙に禁止事項が書かれている。まあ、チームを管理しても強くならないこともあるんだな」。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(13) Pが話し終えると、デニス・カリヤは同じ質問を繰り返した。「次節に梅田をベンチから外すことはありませんよね?」。「ああ。くどいな、デニスは」。そう言ってまた、たばこに火をつけだした。「たまには吸うか?」とたばこを1本差し出す。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(14)「いいえ、けっこうです」。デニスは、自分が切り出した話を煙に巻かれているような気分になっていた。Pは選手時代からヘビースモーカーだった。選手の中にも喫煙者が何人かいた。ベテランの山本がそうだった。彼は、クラブ生え抜きの選手である。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(15)Pの持論は「俺も山本も喫煙者だが無尽蔵のスタミナの持ち主なんだ」というものだった。だから喫煙者に咎めることはしなかった。Pは、選手の行いに厳しかったトワイト監督とは真逆の姿勢を貫いた。「君は何をそんなに心配しているんだ?」と問う。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(16)「試合でミスをした宇津木を数試合外したことがありましたよね」。デニス・カリヤがPの目を見つめながら話し出す。「あれ以来、宇津木は畏縮してしまって彼の攻撃的ないい面がすっかり薄れてしまったじゃないですか。中盤の山谷だってそうですよ。
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(17)ポジションに固守するやり方は、それはそれで間違ってはいないと思うんですが」。Pは、「でもな」と話してから、「『こうやりなさい』と言われたことができて、それで自分の特長を出したプレーをするならいいさ。言われたことも満足にできないで、
@baika_kawamoto
【中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説】(18)自分のできるプレーを優先してやるのが、自由というヤツならば、そんなものは自由でもなんでもないだろう」。Pの性格は、短気で感情的な面がある。話しているうちに段々と気持ちが入ってすぐに興奮する。「監督会見での質問を覚えているか?」。

コメント

@surumeno13 2011年10月30日
なんとなく、地域ぐらいのカテゴリを想定して読んでしまいました。けっこう、選手の書き込みから伝わってきた情報があったりするので…続きが楽しみです。
渡辺文重@有料メルマガ評論家 @sammy_sammy 2011年11月4日
川本梅花(@baika_kawamoto)さんによる「中指Pの憂い/ツイッター版サッカー小説」(18)まで更新しました。
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