宇多田ヒカル「感動には犠牲が必要」浦沢直樹、又吉直樹、三島由紀夫との共通点

雪兎 @gunmama14

宇多田ヒカルが感動には「犠牲」がキーポイントになっていると語っていた。オリンピックを見てなぜ感動するのかというと、私生活を「犠牲」にして肉体を作り上げているのがわかるからグッとくるのだと。

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これは祖国のために戦って死んだ英霊賛美、特攻隊員の勇ましい姿への感動、哀愁とも重なる。自殺した陸上選手、円谷幸吉について文学者が意見を述べたり美しさと犠牲は関係している。三島由紀夫や百田尚樹あたりにも同じものがある。山上徹也の人生に日本国民が同情したのも同じ感性が働いている。

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宇多田ヒカルは「孤独」や「喪失」という普遍的な作品コンセプトにおいて1人勝ちしている。天性の声質で独占している。こういう暗い本質を突いた思想、音楽性、アーティスト性において宇多田ヒカルの右に出る者はいない。

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同じ1/fゆらぎを持つ松任谷由実はひこうき雲、ノーサイドを作曲しているし宇多田ヒカルも何かをかけてきた人の儚さを表現するのは得意分野だと思う。スポーツ系テーマソング担当したりしないかな…

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椎名林檎のNIPPONは軍歌であると批判されたが、林檎さんのパンキッシュな歌声と現代的な曲調に兵隊のような姿は全く浮かんでこなかった。それよりも宇多田ヒカルの桜流しや真夏の通り雨や初恋の方が、犠牲になる逞しい兵隊と彼を思う女性のストーリーを乗せても馴染む危うさがあった。

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椎名林檎の古典主義、日本語、精神や衣服に相応しい肉体へのこだわりは三島由紀夫のようだが、音楽なので歌声でどうしても痛々しい傷を抱えた女性の叫びのような作品、表現になる。宇多田ヒカルは歌声で音楽的に三島由紀夫的な束縛、犠牲、青年のような美しい死の匂いを表現する。

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スポーツに惹かれる理由を、別の角度から「犠牲」と語れるのが芸術家？社会で生きてる人は「勇気」「希望」「かっこいい」と語るから。スポーツ選手は十字架背負わされる不幸な人。そこが良い。 twitter.com/gunmama14/stat…

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宇多田ヒカルはなんで苦しそうに歌ってたの？あの体、あの声は悲しみを伝えるために生まれてきたの？毒親育ちとして親を理解するため、世界の不条理を受け入れるために生まれてきたのかな。この宿命にもがく姿を私小説やエンタメにするために生まれてきたのかな。

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宇多田ヒカルが浦沢直樹との対談で、「20世紀少年」のキャラクターで1番感情移入したのは「ともだち」だと話していた。「あの内向的な恨みが爆発した時の強力さ、子供の頃に満たされなかったものへの恨み、そこで諦めたことへの恨み、それはその後の人生で与えられたとしても解消されない」と。

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浦沢直樹はJPOPの応援歌が嫌いで、「わたし馬鹿よね」みたいな昔の歌謡曲の詩の世界の方が優れていると感じるらしく「疲れ果てて廃墟のような状態になって、ぼうっと空を見上げたら微かに光が差していた、くらいにしかポジティブを描けない」と話していた。

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宇多田ヒカルと度々対談している又吉直樹が「ただただパワーで希望を表現されると、こんな強さ欲しいけど自分にはないと思う。宇多田ヒカルの描く希望に共感する」と浦沢直樹と似たようなことを話していて、2人とも宇多田ヒカルの世界と相性が良かった気がする。