ぼたもちの記録

空から降るぼたもちに関して、およびKusa-もしくは-Man系統と思われるぼたもち(生八つ橋)について
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坂鴨禾火 @with_NEGI

事の発端は松阪の辺りの砂浜に、ぼたもちに見える異物が漂着していると通報があったところから始まる。警察が出動して確認を行ったが、果たしてそれは巨大なぼたもちであった。 #ぼたもち

2023-01-25 23:48:40
坂鴨禾火 @with_NEGI

見物客が押し寄せ、一部の客は警備の目を掠めてぼたもちの一部を持ち帰りフリマアプリでの販売やSNSで「食べてみた」などと動画をアップロードしこれが問題視された。中には悪くなったところを持ち帰ったのか食中毒になるものもあった。

2023-01-25 23:52:12
坂鴨禾火 @with_NEGI

ぼたもちだから当然腐る。当然処分の問題もあって役所が片付ける。焼却処分になるが水分が多い。

2023-01-26 07:57:00
坂鴨禾火 @with_NEGI

日本製菓協会的なところがわさわさする中、第二のぼたもちが発見される。場所は大山の麓、牧草地の坂の下にぼたもちが転がっているのを施設管理人が発見。続いて第三、第四とぼたもちが次々に発見される中、第八ぼたもちの出現に衝撃が走る。なんとこのぼたもちは空から降ってくるらしいのだ。

2023-01-26 08:01:56
坂鴨禾火 @with_NEGI

場所は東京の中野である。駅前の少し開けた交差点にそれは落下した。出現時刻は午後四時三十八分、信号待ちで多くの人々が目撃する中で起こった。付近に停車していたタクシーのバンパーが少しへこんだが、人的被害はなかったのが不幸中の幸いである。

2023-01-26 08:08:15
坂鴨禾火 @with_NEGI

数多の第八ぼたもちの画像がネット上で拡散される中、中野駅前に設置されたライブカメラの映像が注目された。屋上に設置されたライブカメラは交差点にぼたもちが現れた瞬間を記録していたのだが、そのぼたもちが落下していく様子も収められていたのだ。

2023-01-26 08:12:41
坂鴨禾火 @with_NEGI

ぼたもちの出現が相次いでいること、その原因は解明されておらず、ぼたもちの搬出処分には多大な費用がかかること、出現特に中野の案件は一歩間違えば人的被害も発生しかねなかったことから、各都道府県にぼたもち対策班が設置されることになった。

2023-01-26 08:16:03
坂鴨禾火 @with_NEGI

また、諸外国においても同様の事例が無いかの調査を行ったところ、実は各国でも同様の事象が発生していたことが確認された。いずれの例においても前兆は無く、突然あんと餅を主体とする落下物が確認された。なお、海外ではぼたもちが食物だと認識されていなかったため、持ち帰って食べる人はなかった。

2023-01-26 23:41:54
坂鴨禾火 @with_NEGI

野田市に落下した第十ぼたもちにおいては死者が出たことから、保険商品にぼたもち特約が付されるようになった。建物に対するぼたもち保険の加入者が増加。何せ人を駄目にするソファー10個分くらいのぼたもちが落ちてくるのである。

2023-01-26 23:46:45
坂鴨禾火 @with_NEGI

当然質量や落下時の衝撃は大きく、直下に人がいた場合は全身強打による内臓破裂、全身の骨折、脳振盪などの危険が高く、仮に防護服等の着用により直撃を受けてなお生存していたとしても救出まで時間を要する事から大量の米飯と餡の中で窒息する可能性が高い。

2023-01-26 23:50:13
坂鴨禾火 @with_NEGI

専門家の試算によると、このぼたもちはおよそ十階建てのビルの上から落とされた計算になるのだという。ぼたもちの構造上、墜落時の衝撃が吸収されやすく比較的形を保っているのだという。

2023-01-26 23:53:08
坂鴨禾火 @with_NEGI

成分は市販されているぼたもちと変わることはなく、よって腐敗速度もほぼこれに準じる。比較的早い段階であれば、地面に接していた部分を避けて食すことも可能である。

2023-01-26 23:55:29
坂鴨禾火 @with_NEGI

これを聞いて動き出したのが日本製菓協会である。落下したぼたもちの取り扱いについて、はややかに回収・処理を行えるよう都道府県との協議を行った結果ぼたもちの回収事業に関しては事前の講習と資格の取得を行った回収責任者を置く専門業者による免許制となった。

2023-01-26 23:59:26
坂鴨禾火 @with_NEGI

日本製菓協会は餡・餅を使った料理の調理法を公開すると共にぼたもちの流通ルートを確保。地域と時期に応じた配送システムを完成させ、ぼたもちを原材料とする安価な餡・餅の供給を可能とした。

2023-01-27 08:15:31
坂鴨禾火 @with_NEGI

外国語によるレシピ公開も行われたが、餡や餅に対する反応が今ひとつであったことから餡や餅をそのまま利用するのではなく、加工の方向に舵を切る。餡から砂糖とペースト状になった豆を分離する機材を開発した。健康志向も相俟ってペースト豆がブレイク。

2023-01-27 08:20:17
坂鴨禾火 @with_NEGI

餅は餅で薄く伸ばしチーズと共に揚げたものをライスクラッカーと称して販売(勿論通常形態の餅・餡も)。地面に近い部分は食用に流通しなかったが、発酵肥料等の原料として活用。諸外国においてもBota-Mochi と称され、色や形態によりZunda、Abe-Kawa等の名称が付された。

2023-01-27 13:23:31
坂鴨禾火 @with_NEGI

特に寒冷地のぼたもちは日持ちがするため、ぼたもち争奪戦が発生。

2023-01-27 13:25:27
坂鴨禾火 @with_NEGI

食用としてのぼたもち(※本来、はじめから食用)が普及すると、ぼたもちを主食とする人々が現れる。ぼたもちはヴィーガンとも相性がよいが、このぼたもちを主食とする人は別に肉食を忌避しているわけではなかった。彼等はアニスト、もしくはモチストと名乗った。

2023-01-27 23:16:26
坂鴨禾火 @with_NEGI

彼等が信仰する神に保食神が流用されたため、彼等を総称してウケと呼ばれた。天から降るぼたもちは神が彼等に与えた祝福であった。とはいえ直撃すれば死ぬし、建物等にも被害が出るのでそこまではやるわけではなかった。大半の人はぼたもち保険に入ったりしながら粛々と暮らした。

2023-01-27 23:29:58
坂鴨禾火 @with_NEGI

さて人々がぼたもちにそんなに驚かずに、仕方の無い、けれどもそれなりに食えるものとしてぼたもちを扱うようになった頃、一つの、新しいタイプのぼたもちが落下した。──生八つ橋である。

2023-01-27 23:31:53
坂鴨禾火 @with_NEGI

直角二等辺三角形に折りたたまれた外皮は、本来正方形か少なくともそれに近い形状であることが伺えた。中に餡がくるまれているタイプのぼたもち(ここでは空から落ちてくる巨大なものを指す)は、An-Manタイプ等既に類例が見られたものであり、中が透けて見えるものも珍しいとはいえ無いわけでもない。

2023-01-27 23:36:04
坂鴨禾火 @with_NEGI

外皮は緑色をしており、Kusa系統、もしくはMatcha系統であることが知れた。それよりもっと特筆すべき事項がある。 中の餡が動いたのである。

2023-01-27 23:39:25
坂鴨禾火 @with_NEGI

出雲に飛来したこのぼたもちは、滑空という点でも特異であった。東の空から飛来したこのぼたもちは、他のぼたもちが垂直方向に落下するのに対して緩やかに空を横切り、海沿いの道から少し離れた空き地に引っかかって止まった。

2023-01-27 23:45:27
坂鴨禾火 @with_NEGI

ぼたもち出現の例によって市区町村のぼたもち担当部署に発見者が通報を行った記録上、餡の中で、まるで鮭の卵が孵化する前のように何かがぐるりと動いたという証言が確認できる。

2023-01-27 23:48:08
坂鴨禾火 @with_NEGI

通報により業者が回収に向かったところ、ここでも中の餡が動いているのが目撃されたためぼたもち対策班へ緊急の報告がなされ、また日本製菓協会にも同時に一報が入った。広く食用に供されるようになったとはいえ、元が出自不明の落下物である。すぐさま専門家が派遣された。

2023-01-28 09:31:51