児玉龍彦さんの話を聞いて猪飼周平さんが論点をまとめた
夕方、児玉龍彦さんと面会。除染の最終形への展望、低線量被曝の危険性、ボランティアに期待される役割、避難(希望)者への支援のあり方等についてお話を伺う。当初30分の予定が2時間に。児玉先生は、私と非常に異なるタイプの思考法の方。現在私の言葉に翻訳中。
2011-11-01 21:58:28@ishikawakzさんが私の言説にコメントして下さっており、また先日児玉龍彦先生に面会したこともあり、少し論点を整理しておきたい。以下長くなって大変恐縮だが、9連投する。
2011-11-04 11:47:04①内部被曝か、外部被曝かという点では多くの専門家が指摘しているように内部被曝の方が問題。ただ汚染している土地がある以上食品が汚染する可能性があるので、最終的には内部被曝問題も除染を要する。
2011-11-04 11:47:20②では除染の可能性はどうか。先日児玉龍彦さんに直接伺ったところではコストを度外視すればほぼ完全な除染は可能。実際、南相馬市で児玉研が手がけた保育園は0.1μSv/h近くまで線量が下がっている。問題は短中期的にこれを面的に行うことができない点。
2011-11-04 11:47:38③児玉さんの描く除染の最終形。1)山林:バイオマス発電で30年間かけて山を燃やす。2)民家:屋根の葺き替え、表土のはぎ取りなど徹底した除染(ハウスメーカーの技術)。3)農地:農地の完全除染は難しいので、クリーンな土壌の代わりにクリーンな商品出荷を目指す(全品検査:技術開発済み)。
2011-11-04 11:47:51④住民主体。短中期的には現地は線量の高い状況が続く。この土地に住むかどうかは、住民が避難による生活破壊のリスクと被曝による健康被害のリスクを天秤にかけて決めなくてはならない。ただしこれは住民には究極のジレンマ。移住先の生活支援と、生活環境の可能な限りの除染でジレンマの緩和必要。
2011-11-04 11:48:05⑤自治体。自治体は基本的には、人口や産業の維持に強い関心をもつので、住民に住み続けてもらう方向の施策にバイアスがかかる。このバイアスを修正するのに自治体を非難することは有効ではない。むしろ、受け入れ側の自治体にあるバリアを取り除いてゆくこと、生活支援を市民が支援することが重要。
2011-11-04 11:48:22⑥ボランティア。④で述べたように住民は非常に厳しいジレンマの中にある。これを全体として支えることがボランティアの役割だろう。除染ボラはその一部と理解すればよい。児玉さんは除染ボラの役割は重視しない立場だが、私は除染ボラにも一定の意味があると考えている。特に短中期的に。
2011-11-04 11:48:37⑦ボランティア続き。被曝環境での作業という面からみると、除染はボランティアか、住民か、業者に雇われた労働者が行うことになる。どれが正義の観点からみて優越しているとは言い難いが、除染ボラには自分の意思で来るという点で、一定の利点がある。
2011-11-04 11:48:53⑧東京。福島市渡利地区の住民の6割が現地に住み続けることを希望しているという事態は、東京の人びとには理解不能かもしれない。これは、東京の人びとが、福島で生きることのリアリティから遠いことを意味する。ボランティア(除染に限らない)は、この2つの異文化を繋ぐことにもなる。
2011-11-04 11:49:08⑨低線量被曝の健康被害。児玉さんによれば、現在の疫学による中心学説は検出力の低い調査から構成されており当てにならない。すなわち学説を覆す事実がどんどん出てくる可能性が排除できない。むしろ環境に存在する放射性物質の総量が、今回の被害の説明変数となるのではないか。
2011-11-04 11:49:24但書
@softark ご苦労さまです。おまとめになった内容の文責は私にあり、実際私の考えを述べた部分がメインです。児玉先生にくれぐれもご迷惑をおかけする結果とならないようご配慮頂ければと存じます。
2011-11-05 03:16:52猪飼さんご自身の考えを読むために、いっそ、こちらのまとめを読む方が良いかも、、、