Tip-Up銃身の話

フランチェスカ・ゴッテンベルク @fran_gottenberg

Tip-Up　Barrel、というものはあまり話題になりにくいもの、と思いますわ わたくしはあまり言及している方を見ませんもの しかし『民間向け自動式護身用拳銃』という需要を理解するうえでは、面白い一つの標本と言ってよろしいと存じております さて、Tip-Up　Barrelとは何でございましょうか pic.twitter.com/WOzFHpJk1q

拡大

フランチェスカ・ゴッテンベルク @fran_gottenberg

一般的にシンプルブローバック式の小型拳銃で見かける様式でありまして、銃身を上に引き上げて薬室に弾薬を直接装填し、銃身を戻して撃鉄をあげることで撃発準備姿勢になしえる銃、ですわ 薬室を空にして携帯できる、というメリットも感じる方もおられるでしょうけれど、そればかりでなはございません pic.twitter.com/HqOhwOvpAw

拡大

フランチェスカ・ゴッテンベルク @fran_gottenberg

シンプルブローバックといえば機関短銃な度では一般的でございますね 参考に一〇〇式機関短銃の分解写真を付します シンプルブローバックは銃尾機関に閉鎖を持たないため、撃発の瞬間遊底の質量と復座バネの弾発力のみで撃発の瞬間の腔圧による過早開放を起こさないように耐えねばなりません pic.twitter.com/NcAzfcD9LU

拡大

フランチェスカ・ゴッテンベルク @fran_gottenberg

先のツイートの一〇〇式を見ていただければよいのですが、遊底は非常に大きく重たくて、このところに耐えるべき質量を稼いでいることが一目瞭然にわかります 単純であるには単純であるなりの苦労がある、ということですわね 一方、拳銃であると拳銃としての取り回しがあるから遊底を大きくできません pic.twitter.com/s2j8xdnhi6

拡大

フランチェスカ・ゴッテンベルク @fran_gottenberg

すると必然的に復座バネに依存して過早開放に打ち勝つ必要がございます ですから、小型で単純な銃であるのに被筒は非常に引きずらい程硬くなることがあります まして小型拳銃でございますから、手をかけるところ自体が小さく、輪をかけて扱いにくい、ということにもなりましょうか pic.twitter.com/mZkNie3aCx

拡大

フランチェスカ・ゴッテンベルク @fran_gottenberg

であれば、Tip-Up　Barrelの意義もわかるでしょう 軍用拳銃は身分や役職の表彰という側面もあり、戦闘のさなかに使われるがゆえに重厚長大であります 民間では小型で携行容易なものの方が好まれるのは万国共通で見られる傾向と言えましょう ですから、単純で手入れが容易で、小型軽量で、撃ちやすい

フランチェスカ・ゴッテンベルク @fran_gottenberg

自動拳銃に慣れないと被筒を引き切って離す操作が不適切となり半閉鎖になったりする例もございますので、そういう普段拳銃を操作しない層向け、ともいえるでしょう これらを両立させたければTip-Up　Barrelに行きつくことは一種の当然と言えるでしょう 需要の変化や色々で廃れてしまったのですけれど

フランチェスカ・ゴッテンベルク @fran_gottenberg

それはそうとして、Tip-Up　Barrelはそういう需要の存在を教えてくれる興味深い標本と言えましょう それでは、みなさま、またいつか ごきげんよう