BSE対策の再評価について

@hideoharadaさんのBSE対策の再評価についての連続ツイートをまとめました。
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原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について①】10/31について厚労省の薬事・食品衛生審議会で本件がキックオフ。メディアでは米国産牛肉の輸入条件の見直しのことばかり議論されるけど、国内措置の再評価も重要なテーマ。BSEに関する国内対策の現状を確認してみましょう。

2011-11-06 13:36:41
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について②】BSEの原因はタンパク質の一種である「異常プリオンタンパク質」とされ、BSEに感染した牛を原料とした肉骨粉を飼料として牛に給与することで感染が拡大する。このため、BSEの発生防止には、肉骨粉の牛への給与を禁止する飼料規制が重要となる。

2011-11-06 13:36:57
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について③】このための飼料規制には、意識して肉骨粉を牛に給与しないというものと、間違っても牛の飼料に汚染された肉骨粉が混入しないというものがあるが、我が国では牛の肉骨粉(食肉の処理過程で出てくる肉、皮、骨等の残渣が原料)は飼料利用せず焼却。

2011-11-06 13:37:07
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について④】更に、肉骨粉を製造するレンダリング施設での牛肉骨粉の製造ラインの分離、飼料工場での牛用飼料製造ラインと豚鶏用飼料製造ラインの分離など徹底してきた。この結果、平成14年2月以降に生まれた牛からはBSE陽性牛は確認されていない。

2011-11-06 13:37:17
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑤】異常プリオンタンパク質は牛の臓器の中で、脳、脊髄、小腸などに蓄積される。これらを「特定危険部位」といい、と畜場等で除去することでBSEの感染リスクを大幅に低減できます。我が国では全月齢の頭部(舌と頬肉を除く)、脊柱、脊髄、小腸の一部です。

2011-11-06 13:37:28
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑥】更に、と畜場で食肉用に処理される牛と、農場で死亡した牛を検査して感染牛を摘発しています。と畜場検査は13年10/18から全頭を対象とし、17年7月からは21ヶ月齢以上を法令上の対象としてますが、その後も都道府県の自主的な検査で実質上は全頭検査。

2011-11-06 13:37:38
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑦】農場での死亡牛検査は15年4月から24ヶ月齢以上の牛で実施。と畜場検査は厚労省が、農場検査は農水省が担当し、と畜場検査では23年9月末までに約1223万頭を検査し21頭で陽性。死亡牛検査では23年7月末までに約76万頭を検査し14頭で陽性。

2011-11-06 13:37:47
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑧】これに13年9月の初感染確認牛を加えて、国内でこれまで確認が確認された牛は36頭。平成21年1月以降は(私が動物衛生課長の時が36頭目)、BSE感染牛は確認されてません(今後、飼料規制前に生まれた高齢牛で確認される可能性はありますが)。

2011-11-06 13:37:56
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑨】こうした国内のリスク管理措置は相当のリソース(お金と人)をかけているので、安全性を担保することを前提に、従来の対策を再評価して、低減したリスクに応じた対策に変更することが重要。評価の対象は①飼料規制、②特定危険部位除去、③BSE検査となるが、

2011-11-06 13:38:05
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑩】今回、飼料規制は見直す予定はない(評価の対象ではあるけど)ので、厚労省が所管している②特定危険部位の除去(特定危険部位の範囲の見直し)、③BSE検査月齢(今回はと畜場検査のみ。死亡牛検査については、今回の食安委の再評価後、農水省の審議会で検討か)

2011-11-06 13:38:14
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑪】特定危険部位について。特定危険部位は「異常プリオンタンパク質が溜まりやすい場所」なので、BSEの発生リスクの高い国と低い国では、その範囲が異なってくる。OIE基準では、「無視できるリスクの国」では特定危険部位を除去する必要はない。

2011-11-06 13:38:27
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑫】日本のように「管理されたリスクの国」のOIE基準は、30か月齢以上の頭蓋(頭部の骨、脳、眼などを含む)、脊髄、脊柱と全月齢の扁桃、腸(回腸遠位部)とされている。具体的には、各国が決めるので、米国はOIE準拠、EUは頭部と脊髄は12ヶ月齢以上に。

2011-11-06 13:38:35
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑬】今回の再評価で特定危険部位の範囲の見直しが対象になるかは不明ですが、日本の特定危険部位はほとんど食べる習慣がない部位なので、このままでも経済的なデメリットは小さいかと。ただ、米国などは脊柱は「Tボーンステーキ」に残るので、食べることも。

2011-11-06 13:38:47
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑭】最大の課題は食肉としての検査月齢。OIE基準では特に定めはなく、ほとんどの国でもと畜場での検査はしてない(サーベイランスは実施)。例外が日本(20か月齢超とEU(72ヶ月齢超)。EUは30か月齢→48ヶ月齢→72ヶ月齢とリスク評価を踏まえ緩和。

2011-11-06 13:38:56
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑮】こうしたきめ細かい月齢を指定できる背景には、EUと日本が月齢を特定できるトレーサビリティ制度を有しているから。従って、日本でも月齢に応じたリスクの変化が推定できれば、現在の安全性を維持できる、検査月齢の上限を設定し、実行することは可能。

2011-11-06 13:39:05
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑯】現在、規制上では20ヶ月齢超に義務付けられていると畜場でのBSE検査は、都道府県が自主検査し全頭検査。この大きな理由に20か月齢で検査を仕切ると、平均と畜月齢が20か月齢程度の乳用種の牛肉が検査済みと未検査とに分かれるのが困る、という事情が。

2011-11-06 13:39:13
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑰】そういう意味では、仮に再評価で検査月齢を30ヶ月齢超とした場合にも、和牛の平均と畜月齢が30ヶ月齢程度なので、同じような問題が起こり、都道府県が30ヶ月齢以下でも自主検査を行われざるを得ないという事態になりかねない。

2011-11-06 13:39:22
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑱】なお、サーベイランスとしてのBSE検査は、OIEでは30ヶ月齢以上の高リスク牛の一部とされ、米国は同様、EUは48か月齢超の高リスク牛、日本は24ヶ月齢以上死亡牛などとなっている(日本とEU以外では食肉検査はせず、このサーベイランスのみ)

2011-11-06 13:39:30
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑲】話題になりがちな米国産牛肉について、各国の輸入条件を整理すると、①OIE条件準拠(月齢制限なく、特定危険部位除去)の国:カナダ、中南米(但し、メキシコを除く)、フィリピン、マレーシア、インドネシア、EU(但し成長ホルモン不使用条件で限定的)。

2011-11-07 06:49:47
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について⑳】②30か月齢未満の国:メキシコ、ロシア、香港、シンガポール、韓国(国家間ではOIE準拠、当面の間、30か月齢未満)、中国(中国の一方的発表で米中合意はない)。③その他の国として、日本(20か月齢以下の牛肉+全月齢の特定危険部位除去)

2011-11-07 06:49:59
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について㉑】米国はOIEから「管理されたリスクの国」の認定を受けてからは、全ての貿易相手国に対して国際基準(OIE基準)に整合した貿易条件(月齢制限なく特定危険部位の範囲は全月齢の扁桃と回腸遠位部、30ヶ月齢以上の頭部・脊髄・脊柱)への変更を求めている。

2011-11-07 06:50:11
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について㉒】米国の主張はある意味、一貫性がある。要するに自国で食べている牛肉を世界中どこの国にも同じ条件で輸出したい、ということ。ツイ⑲、⑳のような各国別に違った条件の牛肉を輸出する手間は大きいですから。また「リスク評価」をせずに門前払いはおかしいと。

2011-11-07 06:50:26
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について㉓】米国のBSE管理措置の問題は飼料規制。2007年のOIE認定時にも、OIEは飼料の交差汚染の可能性が残ると指摘。2009年、米国は飼料規制を強化。30ヶ月齢以上の脳・脊髄について、反芻動物以外の豚・鶏を含む全ての動物用飼料への利用を禁止。

2011-11-07 06:50:39
原田 英男 @hideoharada

【BSE対策の再評価について㉔】米国の飼料規制の強化から2年以上経過するので、そうした最新のデータの提供を求めて、食品安全委員会に諮問→リスク評価をすることは重要だと思います。「なんで、このタイミングなんだ!」という気持ちはわかりますが、じっくり評価して頂ければ良いかと。

2011-11-07 06:50:44