【戦国絵巻・燕の城SP】「決戦!名古屋城」その1
前回 第18話
本編
【戦国絵巻・燕の城SP】「決戦!名古屋城」・・・関東での隣国との決戦を勝ち抜き、再び尾張へと進撃を開始した南青山軍。だが、名古屋城の手前での遭遇戦で増渕隊が撤退する痛手を被った。畳み掛けるように襲いかかってくる尾張軍に備え、軍勢を再構築していた。 #swamou
2011-11-05 16:09:58と、南青山軍の先頭に悲鳴が上がる。「一体何じゃ、ありゃあ」老齢の為、輿に乗って移動している家老の伊勢が呆れたように大きな声をあげる。視線の先には突如現れた大きな竜が暴れまわっていた。兵士達は陣を崩し逃げ惑っていた。伊勢が声を手近にいた飯原に声をかける。 #swamou
2011-11-05 16:10:58「おい飯原、あの魔物を何とかせい。」飯原が「何とかって・・ああいうのは久古の仕事ですよ。」と、慌てて返す。「やかましい!俸禄分の仕事せい!」持っていた杖で飯原を押し出す。目の前に迫る竜。(俺の太刀筋でこんなの斬れるわけないじゃないか)泣きそうになりながら刀を振る。 #swamou
2011-11-05 16:12:33だが、虚しく空を切るばかり。「馬鹿者!振りが大きい!もっと小さく!」後ろから伊勢の声が聞こえる。(小さく?)脇を締めて振ると刀の先が竜を捉えた。更に伊勢の声がする。「足の動きに無駄が多いっ!」飯原はバタバタとした足の動きを修正して振った。先程よりも手応えがあった。 #swamou
2011-11-05 16:14:19「そこは振り下ろすんじゃない!下段の構えから掬い上げろ!」声を聞き刀を流れるような動きで掬い上げる。竜の体から体液がほどばしり、大きく一度吼えると竜は飛び去って行った。(やった・・俺がやった・・)確かに残る手応えに飯原は「うおおおっ!」と、歓喜の雄叫びを上げた。 #swamou
2011-11-05 16:15:25「喜ぶのはまだ先のようだ。あれを見ろ!」畠山が声をかける。指差す方角を見ると、どんな偶然が働いたのか、尾張軍の部隊が無防備に休息していた。前日の戦いで遅れをとった畠山の部隊が急襲する。たちまちのうちに崩れる尾張軍の部隊。軍師の相川が小川公に進言する。 #swamou
2011-11-05 16:16:27「またとない好機です!今あそこを突破すれば一気に城下に突入出来ます!」しかし小川公は迷っていた。(ここで・・ただでさえ足りない戦力を失う訳には・・この攻勢を失敗すれは全てを失う。もう二度と尾張に攻め込む事など・・)目の前に石川、館山をはじめ、武将が集まっていた。 #swamou
2011-11-05 16:19:06館山が口を開く。「大丈夫です。僕らは行けます。」青木も続く「命令されれば地獄の閻魔様の屋敷でも攻め込みますよ。」石川が言って良いものかどうか迷った末に言う。「殿、ここで引き返せば、我々はもう二度と尾張へ攻め込むことは出来ません。」宮本が言う「殿、御決断を。」 #swamou
2011-11-05 16:20:52小川公は目を瞑って聞いていたが(・・なんだ、そうか。ここに至っては失敗も撤退も結果は一緒か。ならば可能性のあるほうにかけるべきか。済まんな、増渕。俺がもっと積極的ならば、みすみすやられる事もなかったのに)目を開けて立ち上がり、自信に溢れた自軍の武将達に命令する。 #swamou
2011-11-05 16:22:46「命令!畠山隊に続き敵陣に突入せよ。陣形など構わぬ。一人でも多く突破して、あの城にたどり着け!」一斉に動き出した軍勢に尾張軍の戦線は混乱しはじめた。・・・「伊勢殿!」飯原は伊勢に礼を言おうと輿に近づいた。しかしそこで見たのは倒れている伊勢の姿だった。 #swamou
2011-11-05 16:23:21伊勢に駆け寄る飯原。「伊勢殿!伊勢殿!目を開けて下さい!」反応のない伊勢の姿に飯原の目から涙が浮かんでいた。「伊勢殿ぉ・・・くっ・・」と、突然伊勢の目が開く。「何だうるさい。お前が退屈な戦をするから眠ってしまったじゃないか。」 #swamou
2011-11-05 16:24:33唐突に目を開けて喋り出した伊勢に驚いて飯原は「あーっ!」と声にならない声をあげてあとずさる。「全く、勝手に殺すでない。・・ワシは小便してから陣に一人で戻る。お前は先に戻れ。遅れをとるな!」と森の中へ入って行く伊勢に一礼すると、飯原は陣に向かって走り出した。 #swamou
2011-11-05 16:26:19森の中へと進む伊勢。そこには先程の竜が待っていた。「あんな感じで宜しかったですか?」竜の問いに伊勢が答える。「無理言って済まなかったな。敵陣への誘導までしてもらって。傷は痛むか?」傷を心配する伊勢に、竜は傷を舐めながら「いえ、掠り傷程度です。しかし荒療治ですね。」 #swamou
2011-11-05 16:27:56「まあな。飯原にはあの位しないと働かんでな。」「随分気にかけてらっしゃるのですね。」「奴は、力はあるでな。出し方を教えてやらねば。」それを聞き、竜はニヤリと笑う。「さて、そろそろ私は行きます。せっかく近くまでいらしたのですから、久々に神宮に帰られては如何ですか?」 #swamou
2011-11-05 16:29:24竜の誘いに「あそこは堅苦しくてな。しばらくはこの体でいるわい。人間界の温泉も良いものだぞ?」と、伊勢が笑って答えると「そういうと思ってました。では、またお会いしましょう、大明神様。」そう言い残し竜は空高く飛び上がって行った。 #swamou
2011-11-05 16:30:29上を見上げ「ああ、またな。」と言うと、伊勢大明神・・・又の名を天照大御神。いや今は南青山城の家老、伊勢は遠く名古屋城を見た。南青山軍は名古屋城城下へと攻め寄っていた。(続く) #swamou
2011-11-05 16:32:21