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論文を書きました。興味のある方、ぜひご覧ください。以下、概要をツイート。 twitter.com/mathLOb/status…
2023-04-04 20:37:05Daisuke Ikegami, Nam Trang: Preservation of AD via forcings arxiv.org/abs/2304.00449 arxiv.org/pdf/2304.00449
2023-04-04 11:38:21多くの巨大基数の性質は、非自明な初等埋め込み j: V to M の存在として記述されます。M が V に近ければ近いほど、考えている巨大基数の性質は強くなります。
2023-04-04 20:38:32Kunen は、M が V と等しくなる場合の諸島埋め込みについて考えて、以下を証明しました:非自明な諸島埋め込み j: V to V で (V, in , j) が ZFC のモデルとなるものは存在しない。
2023-04-04 20:39:44ここで、(V, in, j) が ZFC のモデルであるとは、j に対応する二項関係記号を集合論の言語に加えた拡張された言語における各論理式に対して、Replacement, Comprehension を含む ZFC の公理が成り立つ、という意味です。
2023-04-04 20:42:22というわけで、ZFC における素朴な意味での「最強の巨大基数」の存在は、矛盾を導くことがわかりました。
2023-04-04 20:44:26一方で、ZFC の代わりに (V, in , j) が ZF を満たすような非自明な初等埋め込みが存在しうるかは、まだわかっていません。
2023-04-04 20:44:33Hamkins, Kirmayer, Perlmutter は、Kunen の結果を拡張し、以下のような定理を証明しました:V の(順序集合による)強制拡大 V[G] と非自明な初等埋め込み j : V to V[G] で、(V[G], in, j) が ZFC のモデルとなるようなものは存在しない。
2023-04-04 20:47:15ここでも、 ZFC の代わりに (V[G], in, j) が ZF のモデルとなるような G, j は存在しうるか、という問いが考えられます。Woodin は、そのような G, j が存在することを、symmetric model のテクニックを使って証明しました。
2023-04-04 20:49:59さらに、Woodin は、(V[G], in, j) が ZF + AD のモデルとなる G, j の例も構成しました。
2023-04-04 20:50:40しかし、Woodin のどちらの例でも、j は順序数上恒等写像になっており、特に、j の臨界点は存在しません。そのため、巨大基数の文脈で考えると、Woodin の例はあまり面白くないものになっています。
2023-04-04 20:52:09そこで、我々は、「V の(順序集合による)強制拡大 V[G] と非自明な初等埋め込み j : V to V[G] で、(V[G], in , j) が ZF + AD のモデルとなり、j が順序数上で恒等写像とならないものは存在するか」という問いについて考え始めました。
2023-04-04 20:54:35特に、AD は、実数や実数の集合に大きな影響を与えるので、j の臨界点が ω_1 となっている場合は、非常に面白い埋め込みになっているだろうと期待されます。
2023-04-04 20:55:35もし j の臨界点が ω_1 となるような G, j があったとすると、特に、ある順序集合 P による強制拡大 V[G] で、V, V[G] 共に ZF + AD のモデルとなり、V[G] が V にない実数を持つことがわかります。
2023-04-04 20:57:12そこで、我々は、「AD (の truth)を保ち、新しい実数を付加する順序集合は存在しうるか」という test question を考え始めました。この問いが、この論文の研究の出発点です。
2023-04-04 20:58:49この test question に対する答えは、未だにわかっていません。ただ、この問いについて考えていくうちに、(コーエン強制をはじめとする)実数を付加する多くの順序集合が AD(の truth)を保たないことがわかりました。
2023-04-04 21:00:59それでは、そもそも、どのような順序集合が AD(の truth)を保つのだろうか、という問いに話が移っていきます。実数や実数の集合の構造を大きく変える順序集合は、AD(の truth)を保たないだろう、という素朴な感覚が我々にはありました。
2023-04-04 21:03:04この感覚は、順序数Θ(実数全体から全射が存在するような順序数の sup)を使って、以下のような定理として、少し正当化できました(Theorem 3.1):ZF + AD^+ + V = L (P(R)) を仮定する。このとき、順序数Θを増加する順序集合で AD(の truth)を保つものは存在しない。
2023-04-04 21:05:42一方で、上記の定理の仮定 V = L (P(R)) が本質的であることも、以下の定理によりわかりました(Theorem 3.2):ZF+AD_R の無矛盾性を仮定したとき、以下も無矛盾である:「ZF + AD^+ + 順序数Θを増加し、かつ、AD(の truth)を保つ順序集合が存在する。」
2023-04-04 21:08:42これら二つの定理をセミナーで話した後、Chan と Jackson は、「どのような順序集合が AD(の truth)を保たないか」ということについて考え、以下の定理を示しました:非自明な順序集合で、(その台集合が)順序集Θの有界部分集合となっているものでAD(の truth)を保つものは存在しない。
2023-04-04 21:12:11さらに、彼らは、以下の定理も示しました:ZF+AD+順序数Θは正則である、と仮定する。このとき、非自明な順序集合で、実数全体から(その台集合へ)全射のあるようなものでAD(の truth)を保つものは存在しない。
2023-04-04 21:14:27そして、彼らは、最後の定理の仮定である「順序数Θは正則である」が排除できる仮定であるかについて彼らの論文で問題として提示しました。今回の論文では、この仮定が排除できることも証明しました(Theorem 4.1)。
2023-04-04 21:16:42このあと、論文では、AD (の truth) を保つ順序集合の話に話が移ります。AD を保つ非自明な順序集合の例は、ずいぶん昔から知られていました:Woodin は、ZF + AD + V = L(R) の下で、κ を充分大きな基数としたとき、HOD において κ のコーエン部分集合を P とすると、P AD を保つことを示しました。
2023-04-04 21:21:10最近、Cunningham は、上記の κ としてどのくらい小さな基数が取れるか、という問いについて考え、κ がΘ^++ に取れることを示しました。
2023-04-04 21:22:21そして、彼は、上記の κ として κ がΘに取れるか、という問いを立てます。(前述の Chan と Jackson の定理から、κ がΘ未満に取れないことがわかります)
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