ShindyMonkeyさんの‘山野浩一傑作選’に関するツイート

‘山野浩一傑作選’に関するレビューや過去のベスト投票の結果など非常に興味深い内容だったのでまとめました。
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牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

山野浩一『鳥はいまどこを飛ぶか』読了。創元SF文庫から出たばかりの《山野浩一傑作選》全2巻のうちの第1巻。 (続く

2011-11-02 17:10:53
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

惰性化した日常から逸脱する話が多い。雑駁にまとめれば、外宇宙から内宇宙への旅だ。ぼくがこれらの作品を最初に読んだのは、中学から高校にかけてだが、そのころは単純に「大人は厭々生きているんだなあ」と思ったものだ。 (続く

2011-11-02 17:11:43
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

いま読むと、日常/非日常の二分法ではなく、これらが重なりあったのが世界であって、ひとはふとしたきっかけで非日常に入りこんでしまうのだとわかる。山野浩一が描いているのは突飛な状況などではなく、だれもが意識の片隅でとらえている領域だろう。 (続く

2011-11-02 17:12:06
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

山野浩一がバラードと似ているのは、作品がよって立つ論理を、作中でかなり説明してしまうこと。小説として面白かどうかは、作品全体が、その論理のみに還元しえぬ広がりをなしているかどうかで決まる。表題作や「カルブ爆撃隊」「霧の中人々」は成功していると思う。 (続く

2011-11-02 17:12:32
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

作中の情景でぼくが好きなのは、表題作で、主人公の前を鳥が通りすぎたときに、白いカンバスが切り裂かれるイメージ。 (続く

2011-11-02 17:13:10
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「赤い貨物列車」の、たんなる交通手段・移動手段ではなく、走る軌跡、町と町を結ぶ動点としての列車という感覚もステキだ。

2011-11-02 17:13:22
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

『鳥はいまどこを飛ぶか』では、「著者あとがき」もまた面白い。かなりまえに書いた小説なので、山野さん自身も細部を覚えておらず、いま、それらに読者として接して「読後感」を述べている。 (続く

2011-11-02 17:22:46
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ふつうのひとがやると自画自賛っぽくなったり、妙に卑下したかんじになるのだが、山野さんはまったく平然だ。客観的というのとも違う。過去の自分との距離感や、思わぬ親和度を素朴に楽しんでいるというか。

2011-11-02 17:23:03
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

山野浩一『殺人者の空』読了。いま読むと、山野作品はずいぶんとSFらしい。異様なシチュエーションをそのままに提示するのではなく、それなりに合理的な説明がくっついてくる。 (続く

2011-11-06 17:06:04
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

たとえば「メシメリ街道」。どうやっても横断できない大きな車道という不条理で、このアイデアだけでじゅうぶんに面白い。しかし、そこを走りつづけるクルマのために、止まらずに給油したり食糧を供給したりする業務車がある。支払いはチケット制。 (続く

2011-11-06 17:06:52
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

そうした日常的な辻褄は、この小説には不必要じゃないかと、ぼくは思う。もっと突きはなして描いたほうが効果的じゃないかな。 (続く

2011-11-06 17:07:10
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

そんなケチをつけるのも、中学のころ、SFM初出時に「メシメリ街道」を読んですごく感心したからだ。ぼくの記憶のなかの「メシメリ街道」は、ロブ=グリエが書いたような凄い小説なのだ。

2011-11-06 17:07:32
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

山野浩一傑作選全2冊を通して、ぼくが好きなベスト5を選ぶと、「ザ・クライム」「鳥はいまどこを飛ぶか」「霧の中の人々」「メシメリ街道」「Tと失踪者たち」。

2011-11-06 19:36:23
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

山野さん自身が主宰していた〈季刊NW-SF〉の8号で、「山野浩一短篇ベスト10」という企画があった。 (続く

2011-11-06 19:36:41
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

投票者は大和田始、国領昭彦、野口幸夫、土方潤一、山田和子、山野浩一。土方潤一というひとは知らないが、同誌7号によるとNWワークショップの新人で17歳とのこと。 (続く

2011-11-06 19:37:09
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「山野浩一短篇ベスト10」は1973年までの作品が対象だが、1位が「首狩り」、2位が「国家はいらない」、3位が「メシメリ街道」、4位が「レヴォリューションNo.5」、5位が「虹の彼女」。ちょっと意外な結果。 (続く

2011-11-06 19:37:37
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

このうち「国家はいらない」「レヴォリューションNo.5」は、《レヴォリューション》シリーズなので、こんかいの傑作選には収録されていない。 (続く

2011-11-06 19:37:54
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ちなみに山野さん自身が高得点を入れているのは、順番に「メシメリ街道」「国家はいらない」「虹の彼女」「受付の靴下」「首狩り」。

2011-11-06 19:38:10