青空文庫とTPP(@aobeka) ２

富田倫生 @aobeka

著作権の国際的な枠組みに、ベルヌ条約がある。19世紀末に生まれ、日本も1899年に加盟。保護期間は作者の死後50年。日本はこれに従っているが、より長い設定も認められている。ばらつきには、短い方に合わせる調整の原則がある。長く不参加だった米は、1989年になって参加した。

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保護期間については、原則と許容と調整の国際的枠組みが、長く機能してきた。TPP協定交渉では、これが取り上げられる。世界から、地域に限定して、再調整を図ろうというわけか。国家戦略室がまとめた、「TPP協定交渉の分野別状況」36頁を参照。 http://t.co/2uO2eV0c

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リークされた、TPP協定交渉におけるアメリカの要求項目によれば、彼らは作者の死後70年の保護を、全協定参加国に求める。リンクしたPDFのARTICLE4, 5., (a)参照。 http://t.co/Y8z0d7nP

富田倫生 @aobeka

2012年元日、青空文庫には新しく著作権が切れた、小川未明、宇野浩二、津田左右吉、柳宗悦、古川緑波、長与善郎の作品が並ぶ。岩本素白、桂三木助、喜多村緑郎、知里真志保、外村繁、矢内原忠雄、高山毅等も。翌年は、吉川英治、柳田国男、中谷宇吉郎。翌々年は、野村胡堂。嗚呼、胸がはずむ。

富田倫生 @aobeka

2015年、尾崎士郎、三好達治、佐藤春夫、高群逸枝。16年、江戸川乱歩、中勘助、梅崎春生、谷崎潤一郎。17年、山中峯太郎、小宮豊隆、大下宇陀児、亀井勝一郎。そして1918年には、山本周五郎。保護期間70年延長となれば、彼らの公開は、例外なく、一挙に20年後に遠のく。

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国会図書館は、収蔵図書の電子化を進めている。同館の近代デジタルライブラリーには、明治、大正、昭和前期刊行図書のデジタル画像、約57万冊分が収められている。ただし、インターネットから参照できるのは、著作権が切れるか、著者の没年が分からない際の対応措置がすんだ約24万冊分だけだ。

富田倫生 @aobeka

今後も年ごとに、保護期間を過ぎた人たちが加われば、近代デジタルライブラリーにあって、ネットから見られる作家は増えていく。だが、70年に延長となれば、サーバーに置かれているにも関わらず、外から見られない、電子化メリットの半分も生かせない「館内幽閉作家」がますばかり。

富田倫生 @aobeka

公有作品のアーカイブは、言うまでもなく、青空文庫や近代デジタルライブラリーの独占物ではない。著作権切れなら、個人のウェッブページにも載せられる。書籍だけではない。楽譜、演奏、映画…、文化的所産共用の青空は、どの領域にも育てられる。

富田倫生 @aobeka

インターネットがごくごく当たり前のものになった今、私たちは、さまざまな領域に公有作品のアーカイブを育て、存分にそのメリットを享受する可能性を手にしている。著作権保護期間死後50年を生かして、その可能性を確かな実態に育てるのか。それとも、

富田倫生 @aobeka

その可能性は捨てて、70年に伸ばすというのなら、そこで私たちの社会が、文化が得られるメリットはなんなのか。死後50年が脅かされるのなら、私は何度でも、公を細らせて私の利に傾く選択の意味を問おう。いつも、どこでも、誰に対しても。繰り返し、かなうことなら永遠に。

富田倫生 @aobeka

TPP交渉で保護期間の延長が取り上げられるのなら、50年の設定で私たちがなにをやれているのか、交渉担当者がはっきり認識し、その意義を守る、いやむしろ、各国に積極的に訴えかけられるよう、成果を積み上げよう。国ぐるみで公の旗を高く掲げるために、やれることを探そうと思う。

富田倫生 @aobeka

『TPPはネットと著作権をどう変えようとしているのか!?』シンポジウムの第二回が、本夕6時30分から開かれる。会場は講談社セミナールーム。予約なしで観覧可能。生中継もある。 http://t.co/u9nOCwEz 受け付けがいるそうなので、馳せ参じる。私の一歩は、ここから。