横浜市会議員選挙・神奈川県議会議員選挙(横浜市分)の記録・コメント(2023年) (鶴見区・神奈川区・栄区・戸塚区・泉区・瀬谷区)

コメントは予告なく変更することがあります。 横浜市会議員選挙・神奈川県議会議員選挙(横浜市分)の記録・コメント(2023年) (保土ケ谷区・旭区・港北区・緑区・青葉区・都筑区) https://togetter.com/li/2159111 続きを読む
0

※総得票 有効投票数(無効票・白票を除く)
※前回増減 前回(2019年)選挙からの増減。
※候補者欄の「前回増減」 今回の候補者と同じ政党の候補者が前回出ていたら前回増減の対象とした。
※予想 私が、2022年参議院選挙を基に作った横浜市議選予想。無所属等細かい所は限りなく適当。
※予想乖離 私の予想と実際得票との違い。私の予想は2022参院選を基にしたので、乖離がプラスだと、参院選より盛り返した(立憲・国民など)、マイナスだと参院選より勢いを失った(維新・公明など)と考えられる。
※最下位次点差 最下位当選者と次点落選者との得票数の差
※今回不出馬票 前回立候補し、今回立候補せず、所属政党も候補者を出さず(一部例外あり)、後継候補もいなかった人の前回の得票。
※市議計 当該区の所属市議の得票数を合計した票。なお、自民党は自民党系無所属の得票を加え、公明推薦が出ている場合公明党の得票を加えた。県議が無所属で、前所属を出て間もない場合は、前所属の市議の得票数合計を記した。

鶴見区 市議
総得票 93711 前回増減 +953
  氏名     所属 得票 前回増減 予想 予想乖離
当 井上 さくら 無所属 14989 +3988 11860 +3129
当 尾崎  太  公明  13078 -781 17654 -4576
当 山田 一誠  自民  11181 +2299 12099 -918
当 古谷 靖彦  共産  9976 -596 12552 -2576
当 柏原  傑  維新  9705 +8062 11491 -1786
当 東 美智代  自民  9606 +484 11143 -1537
当 渡辺 忠則  自民  8721 +586 8596 +125
  有村 俊彦  立憲  8693 +1071 11470 -2777
  青島 正晴  無所属 4385 -140 1107 +3278
  足立 秀樹  国民  3377 -44 6080 -2703
最下位次点差 28 
今回不出馬者票 13976(立5805・無4278・維2405・無1488)

鶴見区 県議
総得票 93032 前回増減 +830
  氏名     所属  得票  市議計
当 川崎 修平  自民  30996 29508
当 鈴木 秀志  公明  17042 13078
当 木佐木 忠昌 共産  15740 9976
  榎並 正剛  維新  14743 9705
  爲谷 義隆  立憲  14511 8693

 市議選は、前回定数7で14人も出て、今回4人減った。減って浮いた票がどこに行くか…ほとんど井上氏に行ったのかもしれない。なお、柏原氏は前回も諸派で立候補しているので、前回増減は柏原氏自身分に留めた(維新票を入れなかった)。
 前回2人出したのを1人に絞り、それで落選した立憲の有村氏、最下位次点差が28票だが、本来は渡辺氏を引き離していないといけない状況である。有村氏が初当選した時はネット票の移動が基礎票だった。今回その基礎票が離れたのかもしれない。
 自民党は3人とも前回より伸ばした。本来鶴見区は歴史的に2人で、3人目は浮動票目当てで出した観があるので、誰か1人はいつかは落ちると思っていたところ、今回「も」3人が踏みとどまったのは大きい。ただ、山田氏が3人の中で一歩前に出たので、次回山田氏が「取り過ぎる」と、他の2人は危ない。
 井上氏は不出馬票と立憲票を取って圧勝。5日には他区候補の「応援弁士」になるほどの貫禄であった。
 維新は音喜多駿氏を2回、藤田幹事長を1回投入。共産は小池晃氏、志位和夫委員長を1回投入。維新はもう少し得票が欲しかっただろうが、共産は成功した。
 

 県議選は接戦。前議員で活動実績のある木佐木氏は「楽勝できなかった」。前回は233票差で落選、4年間古谷市議と共に活動したのに、次点バネもなく今度は997票差の復帰。あまり有権者受けしないのか(共産党幹部には受けが良くて)…。榎並氏が柏原票に5000票余りを上乗せ、立憲の前職に「勝った」というのは大きい。

神奈川区 市議
総得票 78862 前回増減 不明(前回無投票のため)
  氏名     所属 得票 前回増減 予想 予想乖離
当 藤代 哲夫  自民  12977 不明  18380 -5403
当 中山 大輔  立憲  12381 不明  11999 +382
当 田中 紳一  維新  10641 不明  11033 -392
当 小松 範昭  自民  9820 不明  9897 -77
当 宇佐美 清香 共産  9546 不明  9601 -55
当 竹内 康洋  公明  8880 不明  12486 -3606
  見矢木 素延 国民  5539 不明  5351 +188
  藤村 晃子  無所属 4751 不明  3181 +1570
  水島 順二  無所属 4327 不明  4241 +88
最下位次点差 3341 今回不出馬者票 不明

神奈川区 県議
総得票 77982 前回増減 +10890
  氏名     所属  得票  市議計
当 梅沢 裕之  自民  28800 22797
当 片桐 紀子  維新  18650 10641
当 中村 武人  立憲  15267 12381
  上野 達也  共産  10672 9546
  井口 浩一  無所属 4593

 市議選は申し訳ないが「結果は見えていた」。むしろ、落選した3人にコメントをつける必要が生じる。
 藤村氏は参政党を離党して極端なライトウィングとして出馬。見矢木陣営や水島陣営に選挙妨害をするという「弱い者いじめ」に出たという報告が出ている。しかし長井秀和西東京市議の応援を得て「反創価」をアピールし、「女性パワー」も加わり、ライトウィング候補にしては多い得票を得た。
 見矢木氏は…そもそも国民民主党が神奈川区に見矢木氏を擁立すること自体が戦略ミスだったと思うのだが。鶴見区市議選の足立氏同様、基礎票のない(民社・同盟系労組の票は四散してしまったし)選挙区に擁立された候補者がかわいそうだった。見矢木氏の地元が神奈川区だったら仕方ないけれど、そうでなければ港南区市議のほうが本人にも国民民主党にも良かったはずだ。今はツイッターアカウントの名前を変えているが、選挙後もヘイトが来るらしい。
 そして、水島氏。この人に期待したのが間違いだった。藤村氏に得票で負けて、即ツイッターアカウントを閉鎖。惨敗だった。細かい行政問題に対する具体的な政策を持ち、選挙前は毎日駅頭活動をし、反山中「ヤマナ禍」諸氏の期待を一身に受けて、この始末では、水島氏の人間性と信頼度を根本的に有権者に嫌われた、と疑わざるを得ない。
 今回の市議選全般に言えることだが、「次の市長選の前哨戦」という意味合いが見えなかったのが残念だ。山中市長は誰の応援にも行かなかった。候補者たちは、山中氏に代わる市長候補者の存在をほのめかさなかった(維新が、新市長擁立をほのめかしたが)。そして、唯一次回横浜市長選に意欲をもつ田中康夫氏が、この市議選で全く動かなかった。田中氏の不作為は非常に期待外れだった。田中氏は水島氏を最大限応援すべきだった。水島氏を落とし、港北区で豊田氏を落とし、田中康夫氏は勝算の無い市長選を戦うことになってしまう。

 県議選は、市議から県議、南区から神奈川区に替わった片桐氏が立憲に勝って議席を得たのは、維新戦術大成功、見事だと言える。維新の「鞍替え」戦術は今回は成功した。市議の田中氏も保土ケ谷区からの転身で、2011年以来の議席を得た。議員経験者で、つまり落選経験者は、そこでは不人気でも、他の選挙区に廻せば有権者はその人を知らず、政党の看板で勝てるという「新しい選挙戦術」を生み出した。そして「女性パワー」も加わった。
 上野氏が、選挙期間中はSNS発信をやっていたし、2度の幹部演説を受けたのに票が伸びなかった。「共産党(幹部)には受けが良く、有権者には悪い」人なのかなあ。前回は公明党がいなくなった後釜で当選したので基礎票も弱かった。しかも落選した時の鶴見区の木佐木氏と違い、大差負けだから今後の展望も開けない。

<神奈川3区 次期総選挙予想>

 立憲民主党はどちらの区でも神奈川維新の党に県議選で負けた。もはや立憲が3区に候補者を擁立するのはナンセンスである。むしろ、神奈川10区に替わる「共産党に献上する選挙区」にしたほうが良いだろう。
 維新は榎並正剛氏を3区支部長にすることができる。ただ、神奈川3区は小此木家・横山家・梅沢家・山田家など「ミナトヨコハマ」を代表する自民党の家柄のある所で、そこに「保土ケ谷区の榎並家」が自民以外の政党で来ても厳しいと考えられる。
 その反面、自民党は盤石であり、アーリーバード中西健治氏の地位はびくともしないだろう。今回の市議選では「公明票の転居」があったが、総選挙までには戻ってくるだろう。
 ただ、先ほど述べた通りこの区は「自民名家」の区であり、外様の中西氏にとってはやりにくい所が多少あるだろう。「自民名家」の誰かが名乗りを上げたら中西氏は選挙区を変えるかもしれない。


栄区 市議
総得票 45851 前回増減 -51
  氏名     所属 得票 前回増減 予想 予想乖離
当 大桑 正貴  自民  11556 -5032 14040 -2484
当 長谷川 悦子 立憲  9830 +4377 7597 +2233
当 輿石 且子  無所属 7364 -1543 2407 +4957
  角田 宏子  無所属 5300 +5300 3410 +1890
  田畑 清隆  維新  3683 +38 4815 -1132
  植木 眞理子 共産  3286 -1143 4712 -1446
  石渡 由紀夫 国民  3127 -1727 2355 +772
  吉永 優那  無所属 1725 +1725
最下位次点差 2064 今回不出馬者票 2044(無所属)

栄区 県議
総得票 44868 前回増減 -755
  氏名     所属  得票  市議計
当 楠 梨恵子 無所属 24794 24220(大桑+輿石+角田)
  江川 晋一郎 立憲  11086 9830
  田邊 耕児  維新  8988 3683

 市議選は区外の人にはわけがわからなくて、予想も何もあったものではなかった。
 自民党は大桑氏と、角田氏を当選させたがっているということはわかった。それで大桑氏は角田氏に票を分けたのだろう。公明票は大桑氏についた。大桑氏にとっては、これ以上角田氏に票を出すわけにもいかないから、このような結果になった。
 維新と国民が候補者を出して、保守票が充分に自民党(系無所属)に行かなくなったのも、角田氏の敗因、大桑氏の得票減の原因になるだろう。一見無謀に見える維新田畑氏の出馬も、結構大事だった。 

 県議選は、自民党対抗馬がいなくなった楠氏が圧勝。ただし、市議選や4区総支部との関係で、楠氏の意味合いがかなり違ってきている。
 本来楠氏は「浅尾慶一郎氏直系」だが、今回は「限りなく自民党候補で、むしろ浅尾氏から距離を置かざるを得なくなった」ように見える。前回対戦した角田氏が市議選に移って楠氏と協力体制を築いた。ただ、本来「有権者の少ない選挙区には候補者を立てない」傾向にある維新が県議市議とも出してきたというのが、後々効いてくるように見える。
 江川氏は「議員会館秘書」。SNSでは一人で盛り上がっていたが、まあこれが精いっぱい。

<神奈川4区 次期総選挙予想>

 神奈川4区は横浜市栄区の他に、鎌倉市・逗子市・葉山町を含むので、ここで予想するのは不適切かもしれないが、「ある傾向」を紹介するためにこの項を設けた。
 「維新が『浅尾票を狙っている』」ということである。浅尾慶一郎氏は完全に自民党であり、腹心の楠梨恵子県議も自民会派に入った。しかし、神奈川4区の維新の総支部長高谷明彦氏はみんなの党出身。逗子市議の平野和之氏も同様。そして、今回栄区市議に立候補した田畑氏は高谷氏の元秘書(逗子市議選に当選した笹本貢史氏は違うようだが)。表面上は神奈川4区自民は山本朋広氏に一本化した(山本氏が本当に4区支部長なのか、という話はともかくとして)ように見えるが、それに異議のある浅尾票を、維新は集めたいという作戦である。
 早稲田夕季氏は逗子市で公認候補を落とし、葉山町でも唯一の公認候補を落としており、厳しくなっている。山本氏が余程下手を打たなければ勝ちそうだが、これでも早稲田氏が勝つようだったら高谷氏の比例復活もあり得る。


戸塚区 市議
総得票 99584 前回増減 +967
  氏名     所属 得票 前回増減 予想 予想乖離
当 鈴木 太郎  自民  23095 +2909 22003 +1092
当 山浦 英太  立憲  15366 +2771 15255 +111
当 伏見 幸枝  自民  14514 +2133 13486 +1028
当 中島 光徳  公明  13509 +3 15104 -1595
当 坂本 勝司  国民  12167 +3917 8081 +4086
当 大和田 章雄 共産  10642 -1978 9977 +666
  神﨑 豊太  維新  10291 +6486 13442 -3151
最下位次点差 351 
今回不出馬者票 12335(無所属6255・国民6080)

戸塚区 県議
総得票 98674 前回増減 +788
  氏名     所属  得票  市議計
当 松田 良昭  自民  27069 37609
当 北井 宏昭  無所属 20722
当 森田  学  立憲  15623 15366
  後藤田 弥生 国民  14563 12167
  黒田 秀雄  維新  12522 10291
  佐藤  清  共産  8175 10642

 (戸塚区は私の地元なので、呼び方が変わります)
 市議選は少数激戦。私は坂本氏を落選予想した。国民民主党は参院選で十分な得票がないので、実は私は国民民主党の候補は全て落選予想を出した。しかし公認3人、実質国民1人が当選して予想は大外れだった。「現職の強み」と「女性パワー」が参院選後の巻き返しを産んだ。坂本氏は前回国民から出馬のベテラン川辺芳男先生の票を取ったというより、自分の基礎票を手放さなかったことのほうが大きかったと思う(そこが鶴見区立憲の有村氏と異なる)。
 市議・県議ともに落選した維新だが、両方とも「(多分)議員会館秘書」だったのが災いした。選挙が上手ではなかった。幹部応援も来なかった。
 自民党は伏見氏が「女性パワー」で得票増、しかし太郎先生はさらに得票を増して23095票は横浜市議候補最高得票である。伏見氏が伸びているので、太郎先生が取り過ぎても盤石である。
 共産党は市議・県議とも候補者の年齢が高く、しかも新人であり選びにくい要素が多かったが、大和田氏が岩崎氏票の流出をギリギリで止めた。というかほぼ選挙期間も大和田氏の傍らにいた岩崎氏の勝利だろう。

 県議選は個性のある候補者が6人出て混戦模様だった。
 北井さんは中島氏との「友達関係」から公明票を引き付けるという「離れ業の使い手」である。さらに自民票も相当取って圧勝した。本来野党系の票が基礎票だったが、全く性格を変えた。選挙巧者であるし、不思議な魅力のある人である。次は県知事に挑戦してほしいと思う。
 松田先生は選挙期間以外はほどんど票のための活動はしない、それはそれで見事な人だ。そもそも戸塚区から泉区と栄区とが分かれて以降、戸塚区自民はこの人が最初から作ったようなものだから。戸塚区自民は昔から大変なのであった。
 森田氏は「梶尾バブル」(南区・港南区を参照)のような気がしてならない。次回が正念場である。
 後藤田氏は1060票差の次点だが、市議計より2231票しか上乗せしていない。浮動票を取り切れなかった。曽我部さんが引退して、正念場、背水の陣の戦いだったのかもしれない。次回後藤田氏が出るなら勝てる可能性が充分あるが…。

泉区 市議
総得票 51834 前回増減 -4462
  氏名     所属 得票 前回増減 予想 予想乖離
当 麓  理恵  立憲  15787 +596 8711 +7076
当 横山 勇太朗 自民  15328 +4522 8400 +6928
当 梶村  充  自民  8762 -4697 10267 -1505
  坂田 まさみ 無所属 4846 +4846 2563 +2283
  堀江 恵理子 共産  4475 -1725 5385 -910
  村花 宏史  無所属 1616 +1616
  福井 泉水  無所属 1020 +1020
最下位次点差 3916 今回不出馬者票 10640(公明・幸福)

泉区 県議
総得票 51160 前回増減 -3519
  氏名     所属  得票  市議計
当 田中 信次  自民  22200 24090
当 松本  清  無所属 20395 15787
  西岡 義高  国民  8565 4846

 市議選は、定数削減により公明党現職が引退し、まあ当選予想はできるのだが、得票予想は外れた。
 小泉進次郎自民党神奈川県連会長が5日に、菅義偉前総理が8日最終日に入っている。それなのに、梶村氏が4697票も前回より減らしてしまった。同じくらいの票数、同じ自民党の横山氏は増やしている。横浜市長選の時は、梶村氏は市連幹事長、横山氏は林陣営である。どう考えても梶村氏が得票するはずなのに、どうしたのだろう。
 私見だが、「公明党の半数は棄権したが、もう半数が梶村氏から横山氏(と坂田氏)に乗り換えた」という可能性がある。何でそんなことをするのかわからないけれど。もともと梶村氏は旭区から泉区に移動した菅氏の秘書、横山氏は親子2代の泉区の人、横山氏が自民に戻ったのを機に、横山氏が本流に戻った、ということかもしれない。
 定数削減があったとは言え、国民民主党は県議候補を出しているので、市議候補(具体的には、戸塚区が地盤の足立秀樹氏(鶴見区に行った))を出しておけばよかったのではないかと思う。(9月21日追記)坂田氏が国民民主党支援だった。かなり健闘したし、選挙後も西岡氏と一緒に戸塚区国民と一緒に戸塚区・泉区の駅頭に参加している。

 県議選は、「維新が出なかった場合の総選挙の形」になった。松本氏の「惜敗率」は91.87%で、比例復活圏内になる。田中氏が市議票よりも取っていないので、保守票が野党に行っている。
 西岡氏はタマとしてどうか、という人だったので、無理に立てなくてもよかった。泉区で維新と国民とが選挙協力を行い、維新が引いたという「苦労の賜物」だったのかもしれない。そうしたら、神奈川5区は維新は国民に譲るのだろうか。泉区は水戸将史氏(神奈川12区維新支部長)の元々の地盤だが、今はその面影がない。