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米国の「統合エア・シー・バトル」構想への誤解について

豪州への米国海兵隊の常駐話とか東アジア首脳会談(EAS)における南シナ海問題への注目などで米国の「統合エア・シー・バトル」構想への関心が日本でも高まってきた感があるが、日本人はこの構想を一般的に過大評価し過ぎであると思う。それは、①国防総省内で、②検討中の、③作戦概念ではあるが、米国の「大戦略」でも「戦略」でもなく、米国の外交・安保政策に全面的な影響を与えている訳でもない。この構想は基本的に海軍と空軍の連携をめぐる極めて軍事的/技術的な話に過ぎないのである。
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fj197099 @fj197099
アジア太平洋で海兵隊役割増す 在日米軍基地の比重も拡大 米対中新戦略(http://t.co/JhrOPYsq)…記者の誤解かウォーツェルという人物の誤解かわかりかねるが、日本人は専らエア・シー・バトル構想を過大評価し過ぎであると思う。それは米国の「戦略」でも何でもないのである。
fj197099 @fj197099
正確にいえばそれは①米国防総省内で、②検討中=未完成&未公表の、③作戦概念に過ぎない。作戦概念というのは戦略と戦術の中間段階にあるもので、その具体的な策定には各地域の統合軍が関与するものだ。端的に言えばエア・シー・バトルとは海軍・空軍間の連携の話というレベルのものに過ぎない。
fj197099 @fj197099
具体的に問題となるのも、前方展開基地がどうのとか、中国に対する外交・安保戦略がどうのとかというレベルの話ではなく、いかにしたら海軍と空軍の間で共通の指揮統制システムを確立できるか、通信やISRのシステムを共有できるか、という技術的な話になる。大半の人にとっては興味のない話である。
fj197099 @fj197099
それは優れて戦闘=戦い方に関する極めて軍事的かつ技術的な領域の話なのであって、本来外交や安全保障に関心を持つ人々が広範に興味を持つようなものではない。それは冷戦末期のエア・ランド・バトル構想に源泉を持つが、エア・ランド・バトルと同じ位に関心を集める程度で十分なレベルの話である。
fj197099 @fj197099
エア・シー・バトルとは何であるかについては言った。何でないかについて述べれば、それは①国家の「大戦略」ではない。米国の国家安全保障戦略のどこにもエア・シー・バトルの記述はない。国務省やその他の機関もこの構想を国防総省と共有している訳ではない。それは国防総省のみの構想に過ぎない。
fj197099 @fj197099
それは②戦争に勝利するための「戦略」ではない。既に述べたようにそれは「戦略」よりは一段落ちる「作戦概念」に過ぎない。「作戦概念」は初期の戦闘の指針を示し勝利の前提条件を作ることに貢献するが、それだけでは戦争に勝利はできない。「戦略」はエア・シー・バトルより一段上で必要になる。
fj197099 @fj197099
それは③前方展開基地の再編や海兵隊の豪州常駐に関連するものではない。南シナ海問題を念頭に置いた構想でもない。それはあくまで西太平洋正面を念頭におく海/空の連携構想である(一応常に対象はグローバルという但書がつくが)。海兵隊はこの構想に関与しているが役割は限定されたものに過ぎない。
fj197099 @fj197099
すなわち最近の米国の対中外交・安保政策が全面的にこの構想の影響を受けていると考えるのは明らかにエア・シー・バトルを過大評価しすぎているのである。南シナ海問題はエア・シー・バトルと無関係とは言えないまでも直接の関係はもたないし、豪州への海兵隊の常駐は基本的にこの構想の外の話である。
fj197099 @fj197099
そういう考え方はおそらくエア・シー・バトルを米国の「大戦略」と錯覚しているのだ。繰り返せばこれは米国防総省内で検討中の作戦概念に過ぎない。国防総省内ですら「戦略」の位置づけをもたないのにましてや国家の「大戦略」であるはずがない。日本人はしばしば過大評価しすぎていると言いたい。

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