柚木麻子の月9ドラマ企画書(仮想)「じゅうはん!」第2話

柚木麻子 @yuzukiasako 「あまからカルテット」祝重版! なので喉元まで出かかっていた第2話を、柚木麻子が機関銃のようにツイート! 某雑誌の“『新人作家これやっちゃダメ!』を見事にやっちゃってる!これからはお口チャックで、ネットから極力離れます!”って言ったくせに! 大切なことなので何度も言いますが、全部妄想です。 続きを読む
2
@yuzukiasako

フォロワーさんの皆様のお力で、拙作「あまからカルテット」に重版をかけることが出来ました。心からのお礼を申し上げます。それでは公約通り「じゅうはん!」http://t.co/7WPPS0Ch http://t.co/hhLaiNCs 第二話いっちゃいまSHOW TIME!

2011-11-26 17:40:02
@yuzukiasako

「第二話 ゲゲゲゲラ直し」…文子(菅野美穂)と寝て以来、野添(向井理)はスランプに陥っていた。セフレの美和子(吉木りさ)と寝てもさっぱり快感が得られない。頭にチラつくのは、激しくもスナップのきいた小技を繰り出す文子の姿。いやいや、あんな頭でっかちの眼鏡女、それも担当の作家なんか!

2011-11-26 17:45:46
@yuzukiasako

「リョウちゃん(野添の下の名前)、最近、ヘンだよ。まさか恋でもしてるとか?」半裸で骨盤体操する無邪気な美和子だったが、割り切った関係なのに心がチクチクする自分がいた。野添の部屋に転がっている文子の著作(全三冊。いずれも初版)を目に留める。これがリョウちゃんが新しく担当する作家…

2011-11-26 17:50:51
@yuzukiasako

加代子(幽霊役 濱田マリ)ナレーション「ノーハートボーイの野添さん、早くも文子ちゃんのギャップに陥落かな?この美和子って女、莫迦そうに見えてなかなかの読み手なのよね。そんなこんなで『じゅうはん!』第二話はじまっちゃうかも!」タイトル&OP http://t.co/ExNRuMWo

2011-11-26 17:57:05
拡大
@yuzukiasako

異動初日。文英社書籍編集部に晴れて出社した野添。前任者の森本( 香川照之)のデスクに案内される。非常に編集者らしいゲラと本で溢れたゴチャゴチャの席。綺麗好きの野添はさっそく掃除をして、ほとんどをゴミ箱行きにする(後に森本を激怒させるはめに)。隣のデスクに座る女が声をかけてきた。

2011-11-26 18:02:11
@yuzukiasako

「織田文子を担当するんだって? 頑固だし遅筆だし、売れなくて大変よ。野添君頑張ってね」セクシーボイスの妖艶な彼女は、一年先輩の葉月レイカ(渡辺直美)。相当の巨体だがものすごい女の魅力を放っている。野添の頭から一瞬で文子がふっとんだ。レイカ先輩をモノにしたい…「あの女はやめときな」

2011-11-26 18:10:06
@yuzukiasako

耳打ちしてきたのは先輩社員の鮫島(小松和重)「百人斬りのとんでもない女だぞ。おまけに真鍋恭二郎先生(小日向文世)の長年の愛人だ」「えっ、だって先生は『加代子』で知られる有名な愛妻家じゃ」「あんなの嘘嘘。加代子さんが生きている間、浮気ざんまいだったんだぞ」文壇の表と裏に絶句する野添

2011-11-26 18:50:50
@yuzukiasako

レイカの背後には幽霊、加代子の姿が…。絶世の美女とうたわれたレイカ(ビフォアは神楽坂恵)が激太りしたのは、加代子による呪いのせいだった。しかし、どんなに祟ろうとも、レイカは好きなモノを食べ男を抱きまくり、真鍋との仲も絶好調。その頃、入院中の森本は何度目かの脱走を試みていた。

2011-11-26 18:51:59
@yuzukiasako

「織田文子を一人前にすることが出来るのは俺だけだ!退院させろ!」看護師や医師(陰山泰)の制止を振り切り、青筋を立ててパジャマ姿のまま病院を飛びだそうとする森本。ついにベッドに固定されるはめに。「あらあら、いい格好じゃない。敏腕編集者の森本さん」歌うような声に顔をあげるとそこには…

2011-11-26 18:52:56
@yuzukiasako

文子の同期デビュー、今や超売れっ子の朝倉華(平岩紙)!「森本さん、文子はもう今の担当の野添君と仲良くやってるわ。退院したらあなたの居場所なんてどこにもなかったりして。きゃはは」華の手土産は甘い物や酒など血圧に悪いモノばかり。彼女が何故、こうまで森本を憎むのかには理由があった。

2011-11-26 18:54:03
@yuzukiasako

文子と華が同時にデビューした時、ルックスの良さ、筆力で圧倒的に注目を浴びたのは文子。反対に華は文英社の編集者達に邪険に扱われ、本もなかなか出ず、あげくパーティーで「今年の受賞者ほど差がある年はめずらしいなあ」と酔った森本に面と向かってからかわれるなど、悲惨なスタートだった。

2011-11-26 18:54:55
@yuzukiasako

その日から、地味で内気な文系女子だった華の、森本を見返すための復讐の歴史がはじまった。徹底した読者リサーチを行い、「書きたいもの」から「受けるもの」へシフトチェンジ。ツイッター、ブログを利用したPR活動。さらにヘアとメイクで「北欧系ほっこり女子」に作り込み徹底して女性受けを狙った

2011-11-26 18:55:49
@yuzukiasako

玄人筋からの受けは悪いものの、今や出せば十万部は見込める大人気作家へと成長した華。しかし、自分の力が小手先であることを知っていて、文子への憧れとコンプレックスは募るばかり。でも、とりあえず森本だけは許せない!入院している今がチャンス。血圧をどんどん上げ死ぬまでいびりたおしてやる!

2011-11-26 18:57:27
@yuzukiasako

さて、その頃。肝心の文子は、文英社ロビーで野添から真っ赤になったゲラを突き返されていた。「君が言いたいことが俺にはよくわかんないんだよね〜〜」「それはあなたに読解力がないから!漫画ばっかり読んできたような人に言われたくありません!」長年、少年漫画誌で頑張ってきた野添はむっとする。

2011-11-26 19:18:30
@yuzukiasako

「じゃあ、君、漫画ちゃんと読んだことがあるの?」「ありません、そんなもの。漫画も嫌い。テレビも大嫌い」文子は大のメディア嫌いで、新作のPRのためのYOU TUBE動画出演もかたくなに拒んでいた。マイナーで格調高い存在でいたいという、彼女の傷つきやすさだった。野添はある提案をする。

2011-11-26 19:26:50
@yuzukiasako

「僕のお薦めの漫画を読んでよ。僕も君のお薦めの本を読むから」ちなみに野添の愛読書は「ジョジョの奇妙な冒険」(最終回ゲストは荒木飛呂彦)、文子は三島由紀夫「春の雪」。「じゃあ、今から私の家まで来て。どうせなら初版を貸してあげる」野添は文子に連れられ、叔父(でんでん)の営む古本家に。

2011-11-26 19:31:00
@yuzukiasako

なんと、叔父のうんちくに耳を傾ける元彼の遠藤(オードリー若林)が!!普段はむっつりした叔父が楽しげだ。「文子ちゃん、久しぶり。この間はどうしたの?約束の場所に行ったら、君はもういなくて。あの、こちらは…」遠慮がちに野添を見る遠藤。寝たことがある男が差し向かい、それもよく似てる!

2011-11-26 19:37:38
@yuzukiasako

パニックになる文子。コミュ力の高い野添は、すぐに名刺を差し出す。文子が二階の部屋から「春の雪」を手に戻ってくる頃には、すでに遠藤と遊びに行く約束をしていた!なにこの関係!店にも「ジョジョ」は並んでおり叔父にも遠藤にも「読んだことないの?」と驚かれ、文子はしぶしぶ読むことを約束。

2011-11-26 19:42:20
@yuzukiasako

野添が「春の雪」を手に帰り、遠藤と文子はいつの間にか、二階の部屋でどら焼きを食べながらジョジョを読むはめに。付き合っている時もいつもこんな感じ。二人でいるのに無言で読書だった…。柴犬みたいに寝そべる遠藤を見つめるうちに、先週のセックスが思い出され、文子はムラムラしてくる。

2011-11-26 19:47:41
@yuzukiasako

思わずキスしようとした瞬間、遠藤は照れたように顔をそむけた。「だめだよ。だめだめ!僕なんか…」「そんなことない、遠藤君可愛いよ」「だって、さっきの編集者さんみたいに、カッコいいわけでも、面白いわけでも、働いているわけでも…」どんよりとうつむく遠藤を見て、文子ははっとする。

2011-11-26 19:49:26
@yuzukiasako

そうだった。高学歴ニートの遠藤は優しいが、すぐに同性と自分を比較し落ち込む、という面倒な性格なのだ。そのため、女友達は多いが、男はさっぱり…。彼の異常な傷つきやすさに疲れ、こちらから別れを切り出したことを思い出す。「それに、文子ちゃん、あの人のこと好きそうに見えたよ」と遠藤。

2011-11-26 19:51:36
@yuzukiasako

「ないないない!あんなチャラ男とあたしが!絶対ないっ」カッとして思わず赤字だらけのゲラを突き出す。「見てよ、これひどいでしょ?文学が分からない最低野郎よ!」ゲラを目にした遠藤は静かにつぶやいた。「よく読んでごらんよ。君の作品をすごく深くまで理解しようとしている。今日はもう帰るね」

2011-11-26 19:55:58
@yuzukiasako

その頃、野添もまた美和子の隣で「春の雪」を読んでいた。難しいかと思ったけど、すっげー綺麗な文章…。ふと美和子を見ると、なんと文子の著作を読んでいる。「あ?これ?リョウちゃんが担当している作家さんだよね?売れてないみたいだけど、けっこう面白いよ。もっとわかりやすければ良くなるよ」

2011-11-26 19:57:51
@yuzukiasako

野添はどきりとする。中卒でおバカキャラの美和子だけれど、彼女が面白いといった漫画は必ずヒットするのだ。「よし!」本を閉じ、パソコンに向かって文子売り出し作戦を色々と考え出す野添。その後ろ姿を切なげに見つめる美和子だった。一週間後の打ち合わせの席。文子は丁寧に直したゲラを持ってくる

2011-11-26 20:00:35
@yuzukiasako

その脚には何故か包帯が…。野添がたずねると「ああ、『ジョジョ立ち』しようとしたら失敗しちゃって」とぶっきらぼうな文子。「読んでくれたんだ」「まあね。複雑な世界観なのに読者にすっと届ける技量、すごいと思った。そこを踏まえて直してみました」野添は嬉しくなる。「三島由起夫って面白いね」

2011-11-26 20:03:44