五代ゆうさんの創作作法をかいま見る~即興でファンタジー長編を構想

 突如ツイッターで始まった、ファンタジー作家五代ゆうさんの未知の作品披露。あれよという間に組み上がってゆく世界、綴られる物語、そして躍動するキャラクターたち。がんじがらめのルールに縛られて、異世界に行こうがお耽美になろうが、結局は密室殺人をやらかしてしまうミステリ者からは目からウロコが落ちまくりのひとときでした。よって勝手にトゥギャらせていただき、世の創作を志す人々のご覧に供する次第です。五代さん、断わりもなくごめんね。  ……と言っている間に引き続いて「相棒」世界を借りての語りが始まりましたので、あわてて補完。併せてごらんください。
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五代ゆう @Yu_Godai

あとなんか、当日会場で話が出てた「五十枚書いてくださいと言われたら350枚になってそのまま文庫に」というのはMFの『パラケルススの娘』の一巻です。正確には「50枚の短編書くつもりで書いてください。絶対350枚になるから」でした。いやその通りだったんだけど。#sousaku

2011-12-01 00:50:37
五代ゆう @Yu_Godai

おんなじようなことは最近もあって、350枚のミステリ、と言われて「じゃあ二時間サスペンスくらいですか。一時間ものの刑事ドラマとか」「だめです。それだと絶対1500枚になります」「じゃあ30分のコナン君」「それもだめです。絶対800枚になります」#sousaku

2011-12-01 00:53:03
五代ゆう @Yu_Godai

「うぅ…(言い返せない)」「五代さんはウルトラファイト書けばいいんです。ウーちゃんとイカルス君がケンカ。セブンさんが仲裁に入る。ウーちゃんのパンチがセブンさんにヒット。怒ったセブンさんは両方倒してしまいましたおわり、で書いてください。そしたら350枚です」#sousaku

2011-12-01 00:58:07
五代ゆう @Yu_Godai

まあそれで書いたやつが来年わりと早めに出るんですけど640枚だよ!大丈夫五代ゆう3倍の法則(MFの担当さん命名)にはなってないよ二倍弱だよ私えらい!(゚∀。)アヒャ#sousaku

2011-12-01 01:00:34
五代ゆう @Yu_Godai

でもまあ考えてみると下のウルトラファイトな枠組みでも切り方でいくらでも話ができるっちゃできるんですよ。たとえば今日放送してたので『相棒』の一エピソード風に仕立ててみるとですね。#sousaku

2011-12-01 01:02:05
五代ゆう @Yu_Godai

ある日、アパートの一室で男女の遺体が発見される。女性は男からたびたびDVを受けていたとの証言。事件当日の夜、アパートの下の部屋の住人が争う物音を聞いたという。女性は全身に打撲傷、男は包丁で腹を刺して絶命しており、#sousaku

2011-12-01 01:03:59
五代ゆう @Yu_Godai

DVのあまりに女性を殺してしまった男が、自殺したとして警察は事件を被疑者死亡として処理。しかしこの女性の死体の打撲傷が、継続してDVを受けていたにしては新しいものばかりなのを不審に思った杉下右京、調査を開始。 #sousaku

2011-12-01 01:06:00
五代ゆう @Yu_Godai

アパート周辺を聞き込みして回る特命コンビに、町内の自治会長である老人が接触してくる。彼は昔警察署長を務めたこともある元警察官で、「二人のケンカは近所迷惑で、よく自分が仲裁に駆り出されていた」ときっぱり証言。警察官だった頃のコネを使い、特命係に圧力をかけてくる。 #sousaku

2011-12-01 01:08:54
五代ゆう @Yu_Godai

もちろんそれで引き下がる右京ではなく、いったん退くと見せかけて、アパートの借り主を調べる。すると、女性の住んでいたアパートの名義は女性のものだが、アパートそのものの持ち主は自治会長の老人であることがわかる。 #sousaku

2011-12-01 01:10:27
五代ゆう @Yu_Godai

さらに調べていくと、女性の部屋に出入りしていた男性はもうひとりいることがわかる。実はそれこそ自治会長。階下の部屋の住人に問いただしたところ、事件当夜に争う物音を聞いた、というのは嘘の証言だとわかる。誰が嘘をつかせたか。 #sousaku

2011-12-01 01:12:36
五代ゆう @Yu_Godai

それはアパートの持ち主である自治会長だった。彼は口裏を合わせなければアパートから追い出すと脅して住人に嘘の証言をさせたのだった。さらに自分が出入りしていたことも口止めしていた。#sousaku

2011-12-01 01:14:08
五代ゆう @Yu_Godai

再び自治会長に迫る特命コンビ。しかし頑として認めようとしない自治会長に、右京は彼が手に巻いていた包帯を外してくれるよう頼む。動揺する自治会長。入ってきた捜一トリオが無理に包帯を外すと、そこには痣だらけ傷だらけの拳が。#sousaku

2011-12-01 01:16:23
五代ゆう @Yu_Godai

「この傷はどうなさいました?」「あんたには関係ないだろう!」「死亡した女性の身体に残されていた打撲傷はほとんどが新しいものばかりでした。止めに入らなければならないほどしばしば彼女が殴られていたなら、新しい傷と古い傷がまざっていなければおかしい」 #sousaku

2011-12-01 01:18:46
五代ゆう @Yu_Godai

「女性の爪の先には、人間の細胞片が挟まっていました。失礼ですが、あなたの皮膚のサンプルを、少しいただいてもかまいませんか?」「そんな必要はない!」「何故です?ご自身の細胞片とDNAが一致すると、困るからですか?」「…………!!」#sousaku

2011-12-01 01:20:45
五代ゆう @Yu_Godai

争った末に女性を殺したのは、自治会長だった。以前から愛人として自分の持っているアパートに彼女を住まわせていたが、彼女が他に恋人を作り、まともになってその相手と結婚したいと言いだしたため、衝動的に女性を殴って殺してしまう。#sousaku

2011-12-01 01:22:24
五代ゆう @Yu_Godai

怒りの収まらない自治会長は、その後、女性を連れ出すために部屋へやってきた男を包丁で刺殺し、いかにもDVの果てに女性を殺してしまった男が自殺したように見せかけたのだった。#sousaku

2011-12-01 01:23:59
五代ゆう @Yu_Godai

「俺は警察官だ…自治会長だ、地元の名士だ。その俺が愛人を殺したなんて話を、表に出すわけにはいかない。こういうことは警察自体の体面にかかわる。あんただって警察ならわかるだろう」#sousaku

2011-12-01 01:26:42
五代ゆう @Yu_Godai

「警察官だからこそ、罪を犯したならば、誰よりもまず司法の裁きを受けるべきです。人を二人殺した上に、住人を脅して自らの罪を隠蔽しようとした。あなたの行為は、けっして許されるものではありません」(右京さんプルプル)うなだれる自治会長。#sousaku

2011-12-01 01:28:05
五代ゆう @Yu_Godai

……とまあ、即興でこねあげたのでかなり粗いですが、ウルトラファイトの単純な図式から、それなりに『相棒』っぽいシナリオが一本こね上げられた、ということでひとつ。#sousaku

2011-12-01 01:29:02
五代ゆう @Yu_Godai

これが、『相棒』じゃなくて、探偵役が被害者の親族だったり、友人だったり、または加害者の娘だったり、あるいは場所を移して学校内で生徒同士の心中事件にしちゃったり、いろいろ加工のしようはありますわな。 #sousaku

2011-12-01 01:30:27
五代ゆう @Yu_Godai

結局は榊さんと同じ意見にたどりつくんですが、お話を考えること自体は実はそんなに難しいものじゃないんですよ、ということ。むしろ考えた状況をどう転がしていくか、どう持っていくか、のほうに、創作の工夫がかかっている、ということです。長々と、おそまつでした(^-^;sousaku

2011-12-01 01:32:35
五代ゆう @Yu_Godai

@ashibetaku うおう、なんだか浮かぶままに書きなぐったものをありがとうございます(^-^; いやほんとに「お話」を考えること自体は難しくはないんですよね。それをどう転がしていくか、のほうが問題で。

2011-12-01 01:34:04