リュート(楽器)と果物が描かれた静物画を見たら死を覚悟しろ

知っているか? なぜ果物の静物画にリュートが一緒に並べられているのかを。リュート弾きのKaoru Yamashita(@KaoreKaora)さんのつぶやきに端を発するリュート絵画の謎をKei TAKAHISA(@pokopenus)先生が解いてくれたぞ。 そしてその秘密を知ってしまったお利口さんは禁断の知識と引き替えに一歩また死に近づくのだ! ♪ぽろろ~ん
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Pinguino @kaorekaora

絵画におけるリュートの立ち位置や扱われかたは…やはり不思議としか言いようがないよねえ、木村洋平さんが言うように。

2011-12-01 02:23:28

【木村洋平さんブログ】
http://idea-writer.blogspot.com/p/blog-page_29.html
絵画への言及は最近上梓されたご著書にあるのかな?

糖類の上 @tinouye

@kaorekaora 図像ってどこまで信じていいのやらって、やはり思ってしまいます。リュートに限らずあらゆる楽器の描かれ方に関して、、、

2011-12-01 02:34:42
Pinguino @kaorekaora

そうですね。それでも図像がないと当時の楽器を探るためのヒントがまったくなくなってしまうのでしゃあないです…RT @tinouye @kaorekaora: 図像ってどこまで信じていいのやらって、やはり思ってしまいます。リュートに限らずあらゆる楽器の描かれ方に関して、、、

2011-12-01 15:31:07
Pinguino @kaorekaora

音は一瞬で消え去るけれど、絵画は(半恒久的に)残る

2011-12-01 15:33:40
Pinguino @kaorekaora

写真ですらリアルな現実世界をありのままに切り取れるわけではないのだから、絵画に描かれたものがそのままそうだったと信じることは危険には違いないけれど、それでも同時代の複数の人が同じもの(たとえば中世フィドルなら中世フィドル)を描いている場合はそれらを照合することで相当参考になるはず

2011-12-01 15:44:40
鮎麻呂 @aymro

リュートは静物画向きな上(なぜ果物の脇に)、涙滴型、半月型と視点で見え方が激変するんで往時の透視図法の教科書への掲載例多いですね。 QT @kaorekaora 図像がないと当時の楽器を探るヒントがまったくなくなってしまう RT @tinouye 図像ってどこまで信じていいのやら

2011-12-01 16:48:42

とりとめなしの時差チャット状態だったところへ明晰な教示! このまとめの要旨はここ↓に集約している。感謝。

Kei TAKAHISA @pokopenus

@aymro @kaorekaora @tinouye 全体が「残ってしまう」絵画において楽器は消え行く存在である音楽を暗示することでされこうべなんかと並んでmemento mori, vanitasといった儚さを表すものとして働いていた面も大きいような。

2011-12-01 22:43:47

‘vanitas’についてはこちら。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヴァニタス

Pinguino @kaorekaora

されこうべリュートがセットで書かれてる静物画とかたしかにあるね

2011-12-01 22:50:12
鮎麻呂 @aymro

楽器のタイプにも依りそうですがリュートに即すなら、天竺の鐘が諸行無常を告げるのをメタ次元で物語る座のお供に平家琵琶が在ったのは因縁めいてる。 QT @pokopenus @kaorekaora @tinouye 楽器は消え行く存在である音楽を暗示する(…)儚さを表すもの

2011-12-01 22:56:53
鮎麻呂 @aymro

普通に「lute skull」で画像検索すればいいのにまず思いついたのがハンス・ホルバイン《大使たち》だったのは何かが歪んでいるからhttp://t.co/AMurLHIQ QT @kaorekaora: されこうべとリュートがセットで書かれてる静物画とかたしかにあるね

2011-12-02 00:14:39
"The Ambassadors"(1533) -- Hans Holbein the Younger

『アナモルフォーシス/アナモルフォーズ』の典型例として有名な絵。どくろ様の在り処はお解りですね? さらに大きな画像はリンクでどうぞ。この絵は象徴だらけです。 リュートの手前にある本はルター訳の聖歌集(五線楽譜)とのことで、聖職者と学者の協調とも摩擦とも、またカトリックと英国国教会の軋轢とも解釈される。エラスムス、トマス・モアのツテでドイツ人ホルバインが仕えた王が、妻を6人取り替えたヘンリー8世..

鮎麻呂 @aymro

非常識にもリュートが伏せてある絵を観ては「怪しい…」と思ってた。vanitasを強調してたのか。枯れる花や腐る果物を並べるわけだ。 QT @pokopenus @aymro @kaorekaora @tinouye memento mori, vanitasといった儚さを表すもの

2011-12-02 00:17:28

弦楽器をうつ伏せに置くと絃やそれを支える部品にテンションが掛かって反ったり傷んだりしてしまう。画家は楽器のフォルムにのみ関心があってフェティッシュな愛情を持たず無頓着だったのか?と考えたりもしたが、航海用の測量器具を精緻に描くこの時代の画家がそんな初歩的な不注意をしでかすはずもないから何か理由がある気がずっとしていたのだった。
時間とともに消えていく「虚しい・はかない」音楽を奏でる楽器をvanitasの象徴として登場させる狙いを大胆に進めた、楽器自体が花や果物同様に放置され滅びていく様を示した絵が案外たくさん描かれていた、ということのようだ。

鮎麻呂 @aymro

楽器の静物画と云ったらバスケニスhttp://t.co/lkORhmrL 一見豪華コレクションのようでvanitasだから実は楽器の墓場。w 『アンサンブル・バスケニス』ってバロックマンドリン楽団もあったか。 QT @pokopenus @kaorekaora @tinouye

2011-12-02 00:18:21
”Agliardi Triptych (left)”(1665?-1670?) -- Evaristo Baschenis

左端の人物がエヴァリスト・バスケニス本人。17世紀のイタリア・ベルガモの画家。楽器を多く描いていたのはクレモナの職人集団と親交があったからと云われている。 そのくせ作品には工房の室内や製作中の楽器を描いたものがない。静物としての楽器を一貫してvanitasとして捉えていたことが想像できる。お尻を向けて突っ伏し絶命しているリュートの死屍累々……。 タイトルにあるようにこの絵は3枚パネルの左の部分..

Pinguino @kaorekaora

伏せてあるのは「リュートは果物です。」って意味かと勝手におもってましたが…なるほどなあ

2011-12-02 00:19:27
Pinguino @kaorekaora

Still life の生命が静かにそこにとどまってる感じが静物画って言ってしまうと何故か失われる気がするの

2011-12-02 00:23:04
Pinguino @kaorekaora

静物画よりも静命画って言おうか

2011-12-02 00:25:12
Kei TAKAHISA @pokopenus

絵画が失われゆくものを、音楽が永遠に残るようなものを志向するってのはどちらも同じことなのかも。その媒体で表現し得ないことを表現しようとする背理した努力というか。プッサンのEt in arcadia egoはそのことを絵の中の楽園での死と絵による固着化の死でメタ的に見ている感じ。

2011-12-02 00:33:57
"Et in Arcadia ego” (1637-1638) -- Nicolas Poussin

《アルカディアの牧人たち》と訳される。出先で石碑を見た羊飼いたちが狼狽している。書いてあったのは『あるんだよね~。楽園にも、やっぱりアレがサ』みたいなこと。『アレ』=『死』と解釈されている。マジか~! 詳細はリンク。

Kei TAKAHISA @pokopenus

クレーの絵のいくつかなんかは実際に絵画面が剥離することを念頭に描かれて時間性を導入されているけど、それには彼がヴァイオリンもよくしたことを抜きには考えられない気がする。綱渡り師の絵なんてヴァイオリンと弓そのものにしか見えないし。

2011-12-02 00:43:39
"Seiltänzer” (1923) -- Paul Klee

リンク先のブログが面白いコメントを書いてる。