ディフュージョン・アキュミュレイション・リボーン・ディストラクション ＃４

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第二部「キョート殺伐都市」より：「ディフュージョン・アキュミュレイション・リボーン・ディストラクション」#4

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

（あらすじ：ナラク・ニンジャの復活に必要な力の源は、フジキドをニンジャスレイヤーに生まれ変わらせたあの惨劇の舞台、マルノウチ・スゴイタカイビルの直下にあるらしい。ニンジャスレイヤーとシルバーキー、そしてテンサイハッカーのシバカリは、結末すらも曖昧なこのミッションに取り掛かった）

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（だが事態はそうすんなりとは行かないものである。彼らをめがけマルノウチ・スゴイタカイビルに接近するは、ザイバツ・シャドーギルド。シルバーキーの尾行装置を無事切除したにも関わらず、その強大な情報力を背景にした包囲網に対しては、一時的な目くらましにしかならなかったのだ。）

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（ニンジャスレイヤーを討伐すべく直々に遣わされたのはグランドマスター位階のニンジャ、ダークドメイン。亜空間との接点を自在に創り出す実際恐るべきニンジャだ。敵対組織アマクダリ・セクトの襲撃においてその実行隊長を早々に叩き潰し、現場を部下に任せると、彼はスゴイタカイビルへ足を向けた）

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（一方ニンジャスレイヤーとシルバーキーはスゴイタカイビルの地下深く、巨大な空洞を発見した。そこには謎の祭壇、「ナラク」のショドーと謎の御影石があった。ここへきてニンジャスレイヤーの聖なるヌンチャクを通し、彼の中のナラク・ニンジャが覚醒。力の源は目前にあるのだ）

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（シルバーキーはニンジャスレイヤーと御影石を中継し、力の道を拓くべく、精神世界へダイブ。そこで彼が見るものとは？ナラク・ニンジャの力は戻るのか？ダークドメインが迫り、残された時間はわずかだ！迷うヒマなし！待ったなし！とにかくなんとかどうにかせよ！Wasshoi！）

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上へ！上へ！シルバーキーはくねくねと歪む細い階段を駆け上がる。シバカリの発する警告が再び耳の奥で鳴り響く。「0101ヤバイこのフロア降りて来てる、ニンジャだ、かなりヤバイ010100なぜバレてる0000101どう考えてもお前ら目当て0001101」「……！」 1

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「あンたは大丈夫なのかよ」走りながらシルバーキーは問う。「001いや実際ヤバイ010」シバカリの声が返る。なぜネットワークの向こうの相手と「会話」が出来ているのか……この緊急時でなければ考えを巡らせる事もできただろうが、遥か上のゲートが今は最優先である。 2

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シルバーキーの視界にシバカリが投げた定点監視カメラ映像が映り込む。駐車場通路を歩き進むニンジャが映った。エレベータでは無く自動車進入口から来るのは用心のためか。「00110時間稼ぎはしたが011俺もここまでだ00010トンズラさせてもらう001101」 3

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「よくわかんねえけど、わかったよ！ありがとうな！」シルバーキーは叫び返した。ゲートはいつのまにか目と鼻の先だ。「……シルバーキー=サン！」背後のはるか下、階段のふもとから発せられた声あり。シルバーキーは立ち止まり、振り返る。 4

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

闇の中に小さな星のように浮かび上がる赤い輝き。ニンジャスレイヤーだ。シルバーキーは片手でアイサツした。「へへッ、それじゃ、ちょいといじって来るぜ」それだけ言うと、彼は向き直り、頂上の踊り場へ到達した。 5

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巨大なトリイ・ゲートをくぐった途端、シルバーキーの身体は消滅した。彼は人型の光となっている己を発見した。手の中の銀の鍵だけが……精神世界でそう言うのも妙ではあるが……実体である。彼はトリイ・ゲートの奥にある扉を見た。無骨な鎖が巻きついている。鎖には南京錠。鍵を差し込む。 6

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（一世一代、男の見せ所ッてな）シルバーキーは心の中で呟いた。誰かのため？否、この冒険は己のため。鍵を回すと扉を封じる鎖はバラバラに崩壊した。両開きの扉がイナズマめいた勢いで開け放たれる。扉の奥からイメージが激流めき、光と化したシルバーキーは逆にその流れの源へ……吸い込まれる！ 7

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0001010010010010100010100101001010101011110101011001010001000101010010100001010010100010100100100101001010101111010110101011101010101001 （8）

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ドォン！ドォン！身長70フィートのスモトリが巨大なイクサ太鼓を打ち鳴らす！「「「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」」」その爆音をすらかき消す鬨の声！見渡す限りのススキ、それを染める血！東西から殺到しぶつかり合うニンジャレギオンの血！ 9

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太鼓を乱打する両陣営のスモトリめがけてツブテのごとく投げかけられるスリケン！「ブモオオオオ！」スモトリ達は咆哮し、いっそう狂ったように巨大なイクサ太鼓を乱打する。そして林めいて無数に掲げられた双方の旗印よ！西は黒！東は白！ 10

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西の旗に極太ルーンカタカナ書きされるは「カツ・ワン・ソー」、東には「ハトリ」！東西各ニンジャ将軍達の旗印！「敵を倒す」「私は残虐です」「ムカデ」「脚が速い」「朝の光」「バラバラにして殺します」「うちの兵隊はお前たち百人分強い」「スゴイ」「子供も命は無い」……サツバツ！ 11

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「ブモーッ！」西軍のスモトリ兵が巨石を投げつけると、「アバーッ！」東軍兵の一角が惨たらしく圧殺！直後、東の空から飛び来たるは、虐げられた無眼の飛竜の背に乗ったニンジャ！イナズマめいてスモトリ兵に接近、眉間をカタナで刺し貫く！「ブモオオ！」巨人は即死、西軍兵を巻き添えに転倒！ 12

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「「「「イヤーッ！」」」」西軍兵が大空へスリケンを一斉投擲！だが飛竜に乗ったニンジャは悠々と旋回し飛び去る。そして投げられたスリケンは雨となって東軍へ！しかしその落下地点周辺に突如、超自然のタタミが屋根めいて出現、スリケンを全て受け止めてしまう！「ハッハッハハハ！」 13

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

さらに見よ、あれを！今まさに相まみえた両軍の二人のニンジャ将軍が互いにオジギした！「ドーモ、ケイトー・ニンジャです」「ドーモ、フマー・ニンジャです」遠目からもありありとわかるその圧倒的ニンジャ・アトモスフィア！オジギが終わるや、二者の間に赤い稲妻が激しく閃く！ 14

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「実際貴様らの行いは神に楯突く行為」ケイトー・ニンジャが嘲笑う「サンズ・リバーの橋を永劫にわたって支えるニンジャ人柱となり苦しみ抜く定め」「フォハハハ！愚かな」フマー・ニンジャが嘲り返す「カツ・ワン・ソー？腐肉めいて臭い時代遅れのソクシンブツに過ぎぬわ。機を見るに敏！」 15

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウランガ！これはまさに、古事記に断片的に記されたニンジャ大戦……！西に浮かんだ黒い太陽も禍々しき、いにしえのいさおしの場だ！だが視界はその輝かしいイクサ場を滑るように離れ、そのイクサ場の末端へ……まばらなカラス麦の畑と、藁葺き屋根のもとへと飛んでゆく。 16

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ボロ家の隣にある囲いの中では無残に殺められたニワトリが数羽。そして不穏に家の前で待つ数頭の馬。家の中からは悲痛な叫びが漏れる……「アイエエエエ！」「どうか！どうか娘だけは……娘だけは」 17

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ダマラッシェー！」「アイエエエ！」下品なニンジャスラングと打擲音！なにか言うをはばかる行いが、今まさに行われつつあるのだ。だがイメージは容赦無くその視線をボロ家の中へと滑り込ませる……。 18

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男はニンジャに頭を踏みつけられ、歯を食い縛って泣きながら、壁際に追い詰められた年頃の娘を見ていた。数人のニンジャはキセルを吸いながら娘を取り囲む。彼らは西軍？東軍？たまたま戦場の近くで暮らしていただけの奴隷の男に、そんな高度な事情がわかるはずもない。 19