企業スパコン・大学スパコン

主に自分向けのメモですが、編集したい方はご自由にどうぞ。
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Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

健全な方向性であり、欧米では企業の公的機関のスパコン利用による成果は多い。TSUBAME2.0も多くの企業利用があるが、その経験からも課題は「京」が企業利用に供する運用ができるかだ。「スパコン「京」の運用経費「産業界も負担を」 文科相」http://t.co/bJaz7X2Z

2011-12-11 13:34:09
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

逆に言えば、すでにスパコンを利用している多くの企業にとって、「京」やTsubame2のような公的機関の最先端のスパコンの利用に期待するのは何であろうか?少なくとも今自分たちのマシンで今出来ることはそれで粛々とやれば良いので、意味がないわけである。

2011-12-11 13:40:31
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

歴史的にもスパコンの進化速度は通常の計算機より速いので、今の世界トップレベルのマシンも5年後は企業が十分に購入し運用できるようになる。今TSUBAME2.0は世界5位だが、2006年11月の世界5位のスパコンはバルセロナSCのMareNostrumでピークは高々100TFもない。

2011-12-11 13:47:44
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

2011年末の今、100TFは高々2-4ラック1億円程度の中規模スパコンである。IDCのレポートでも企業が導入するスパコンとしてのメイン市場の上の方だ。つまりスパコンを製品開発に応用している企業にとって、ライバル社が秘密に用いているであろう計算規模の妥当な予測とも言える。

2011-12-11 13:57:53
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

これらから、企業の公的機関トップスパコン利用は (1) 現行の製品開発で、自分達が持つにはROIがきつ過ぎるぐらい最先端巨大なスパコン資源が必要なので、実質公的負担を獲得する形で利用する、(2) 将来の製品開発で自己資源として持つ可能性は高いが、その準備の基礎研究的利用、がある。

2011-12-11 14:03:04
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

これらの利用は性格が微妙に異なる。(1)は企業の現行利用法とのかなりの連続性がハード・ソフト・アプリ・運用において必須となる。多くはハイエンドのLinuxクラスタでISV・OSS・自己開発のアプリである。それらが有効に活用できるか、また京レベルのスケールに並列化可能かが鍵だ。

2011-12-11 14:08:04
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

(2)はより実験的なので、多少の不連続性や利用チャレンジがあっても「将来このようなシステムが主流になる可能性が高い」という予測が成立すれば良い。ただし、運用センター自身が研究開発センターとして高レベルに企業と連携しないといけない。DoEのセンターや本学GSICはその典型だ。

2011-12-11 14:10:45
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

ROIのためのマネタイズ、という意味では(1)の方が直接的にその効果を算出しやすい。ただし、その為には(クラウドのように)企業用の業務センタとしてのコストがかかる。なのでその体制をきちんと造りROIはそのコストを組入れなくてはならない。果たしてそれが理研AICSができるかが鍵だ。

2011-12-11 14:14:53
H.Torii @torii_h

ただし、企業側で先端的な利用が進まない理由も。スパコン関係ではlsfもLustreもVoltaireもベンチャー企業の産物。それを最終的にIBMクラスの既成大企業が買ってメインストリームになる流れが出来ている…

2011-12-11 14:15:01
H.Torii @torii_h

…米国の産業モデルを観察していると、ハイリスクな研究開発はまず研究者自身が民間に出て、ベンチャー企業ないしDARPA的国家プロジェクトとして育ち、バイアウトないし公開でマネタイズするという流れが出来ている。Apple製品の機能にしてもそうだ。

2011-12-11 14:18:31
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

今までは(1)は大学系のスパコンの基盤センターがユーザ・企業べったりの保守的かつ高額な運用を行い、地球シミュレータのような国策大規模スパコンが(2) に通じる先端科学のための限定された運用を行ってきた。しかしそれは機関の性質からしても、マシンの特質からも真逆であろう。

2011-12-11 14:22:10
H.Torii @torii_h

…そうなる理由、IT周りの研究開発が大企業からベンチャー研究者へと主体が変わっていった理由は、金融をやってると良くわかる。それは知的能力に対する必要資本が小さいから。ウォール街からプロップトレーダーが流出しHF業界が出来たのと同じことが起きている。

2011-12-11 14:24:32
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

今後はフラッグシップスパコンほど企業が使いやすい保守的造りとして、企業と一体化したROIを算出できる高連続性・高品質運用を高額でも行うべきである。大学のような基礎研究機関のセンターは逆に冒険的で未来を先取りした高コストパフォーマンスなスパコンや技術を研究開発し(2)に供すべきだ。

2011-12-11 14:25:38
H.Torii @torii_h

…逆に言えばここを阻害している限り日本における企業の先端的コンピュータ利用の将来も暗いと言わざるを得ない。製薬業等、R&Dに巨額の投下資本を必要とする事業分野に限定されるだろう。

2011-12-11 14:26:46
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

「京」を基礎研究で使うなとは言わないが、企業が運営費の半分のコスト負担をし、その分利用するような運用モデルが有効であろう。最先端は大学系のセンターにもその分お任せいただければ良い。半分を企業にコミットした「京」と企業と(2)をやってるTSUBAME2は丁度そのような関係となる。

2011-12-11 14:28:18
H.Torii @torii_h

…ゆえに「京」の費用負担を企業側に求めるということは、少なくとも短期的には「京」ユーザーがいなくなり、次期プロジェクトの予算が厳しくなることを意味すると思う。おそらくは実質的に骨抜きとなり、中途半端なダンピング利用料が決まると予想します。

2011-12-11 14:33:21
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

それは正にクリステン流の破壊的イノベーションで、松岡が(2)として大学とかのセンターの役目としてるのはそれ。但し(1)の話しもある。で、骨抜きになっては困るのはそっち。すでに開発費や設備費は払ったのだから、運営費を企業側が基礎研究分を含めてコスト負担しても得。@torii_h

2011-12-11 15:38:26
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

京は普通のLinuxクラスタのMPI並列アプリは結構そのまま動くから、半分程度今企業で数百並列のを数万並列に上げて現業の製品開発を加速してもらえれば良い。マシン半分の5PF年で運営費の半分以上の100億なら、100TF年で2億で手厚いサポート付きはまあオケイ。@torii_h

2011-12-11 15:50:18
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

後は大学側とかのスパコンセンターを最先端の破壊的イノベーションR&Dセンターとして位置付け、アカデミアのワークロード含めた(1)的な「運用センター」を廃すること。それ等は自分で買うか「京」かクラウドに託する。昔ならいざ知らずスケールメリットが希薄な状況で運用ごっこしても税金の無駄

2011-12-11 15:57:10
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

後、戦略分野の方々には怒られそうだが、何故おためごかしでは無く、京の半分規模を使った企業の大規模有償プログラムを真っ先に実現すると結局は全員にとって長期的に意味があるのかを述べてみよう。それはグランドチャレンジ枠を一部潰してでも、である。今からでも始めるべきだ。

2011-12-11 17:40:18
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

最も大事なのは、企業の早期利用によって京プロジェクトの最も重要な産物であるFX-10が企業に多く売れる可能性が高まることである。昔の国プロスパコンを大学や国研のそれぞれのメーカー毎の御用センターが盲目的に買って、それを商機に周辺の企業が、というビジネスモデルは崩壊している訳だ。

2011-12-11 17:47:38
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

スパコンの旬は桜のように短い。だからFX-10の商機は「今」だ。所が辛うじて金銭的余裕のある東大は数十年来の日立御用独占を破って入ったものの、逆に京大、遺伝研と落とし、その先も不透明だ。このままだと更にIntel, NVIDIA, IBMの大攻勢の前に急速に売れなくなる。

2011-12-11 17:54:41
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

では「今」FX-10が旬なうちに直ぐ買ってくれそうな所は、国内では企業需要を掘り起こすしかない。というか、企業のハイエンドのx86 Linuxクラスタ市場をFX-10が奪うしか無いのだ。これは実は値段付を間違えなければTCO的に結構競争力がある可能性がある。

2011-12-11 17:58:59
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

つまり、企業である大きさ以上のクラスタを管理してる人間は、スケーラビリティ管理の難しさに気づいてるから、万規模のCPUコア、100TF級で信頼性やマネジビリティがFX-10が有利で、かつそれらを加味したTCOでパリティならば十分そちらを選ぶ可能性がある。すると数が出て安くなる。

2011-12-11 18:03:38
Satoshi Matsuoka @ProfMatsuoka

ところが今企業のスパコンベースは殆どx86だから、そこにFX-10もいいですよ~とか言っても明後日来やがれの可能性が高い。昔、IT担当者が「IBM(互換機含む)買ってればクビにならない」という冗談があったが、時代は完全に逆転し、今やFX-10はデファクトに対する挑戦者なのだ。

2011-12-11 18:10:22